「12月1日付の「赤旗」の1面トップが、学術会議問題でしたね。そして、毎日新聞は12月3日に「政治プレミア」に志位共産党委員長が寄稿した文章をSNSで配信しました」
「私もそうですが、国民は食傷気味だと思います」
「全員をクビにしたのではあればともかく、6人だけ任命しなかったというだけの問題をここまでこだわるのは凄いですね」
「というか、余程重要な人物だったのだなと思っています」
「共産党は最終的には革命を考えている政党なので、当然「秘密党員」を国家の重要機関に潜り込ませています。6人のうち、何人かはそういう方だったと思われています」
「デモや機関紙だけではなく、一般紙に投稿して学術会議問題を訴える。ここまで執着するのは何かなと、普通は考えますよね」
「自分たちの機関紙があるにも関わらず、それだけでは足りずに『毎日』に委員長自ら投稿する。新聞社は一応党首からの寄稿なので無視する訳にもいかず、配信しています」
「すべて計算している訳ですね」
「「赤旗」の記事を見ると、大学生や高校生をデモに動員しています。大学生はともかく、高校生のデモ動員は非常識だと思います」
「人生経験も少ないし、学びも浅い中で、特定の考え方に基づいた政治活動は余り良いことだとは思いません」
「一種の刷り込みですよね。「学問」とか「自由」という彼らが共感できそうなスローガンを掲げさせて、日本の政府は、その対極にある存在と思わせる訳です」
「現在の時点では政治的効果は殆どないけれど、その思いをこのデモによって強くしてくれれば、将来革命の力になるだろうということでしょうか」
「そんなところでしょうね。考えていることは。ただ、すでに日本は普通選挙制が実施され、2院の民選議会もあり、それを基盤にして政府が構成されるような国です。革命の必要性がないと思っています」
「一党独裁の社会主義革命ですか?」
「中国のような国になりたいのですか?」
「ただ、日本共産党は尖閣のことで中国を批判していましたよね」
「そういうことを含めて、よく分からない政党だと思います」
「ここからが本論です ↓」
日本は階級国家ではない
外圧、特に中国からの圧力が凄まじいばかりに増しています。日本という国の中で、いつまでも冷戦時のような感覚の言動を繰り返している場合ではありません。日本は和の国なので、まとまってこそ力を発揮する国です。
戦前の日本と戦後の日本、まとまり方が違います。戦後すぐの時期は「残り火」がありました。今は殆どありません。国会を見れば分かります。あの姿を見れば、未来は明るくないと思ってしまいますし、現にそうなりつつあります。
和の国に一生懸命分断を入れているのが、日本共産党です。
階級国家という思い込みのもと、国民感覚から遊離した認識のもと、大真面目に機関誌を発行し、ひたすら革命を目指す姿は殆どマンガの世界のようです。階級国家というのは、封建時代の身分制国家のことです。日本も含めて、そのような国は世界には殆どありません。それを含めて、客観的には日本においてそれなりの影響力をもっているため、正面から批判していきたいと思います。
マルクスを使えば、劇場の「イドラ」が広がる
人間は自分の感情を交えて社会を認識することがあります。そのため、正確に社会を捉えることができないことがあります。イギリスの哲学者のベーコンは、4つの「イドラ」ということでそれを体系化しました。「イドラ」は偶像、偏見と訳されていますが、簡単に言えば「落とし穴」です。人間は思い込みが激しい動物なので、「落とし穴」に引っかかってしまうのです。自分はオレオレ詐欺なんかに引っかからないぞと、思っていても騙されることがあります。
マルクスと聞けば、何でも正しいという思い込みが働く、そういうのを彼は「劇場のイドラ」と名付けました。権力や権威によって真実が歪められてしまうということは、古今東西いつでもありました。天動説がそうです。教会公認の学説だったため、地動説を唱えたガリレオは宗教裁判にかけられています。日本人が陥りやすいのは、このイドラです。
大人が最も行ってはいけないことは、子供たちに先入観を植え付けることです。思考がストップするからです。そのため、改正教育基本法は旧教育基本法をそのまま受け継いで、「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」と定めています。
ところが、『赤旗』は現役の高校生から高校名を出した上でのコメントを掲載しています。どういう神経かなと思います――「明星学園高校2年生(17)は、「学問の自由」への政治介入を許してしまえば、戦前のような社会になりかねないと危機感を感じて抗議を呼びかけたと述べ、「自由にモノが言えなくなる社会にするわけにはいきません。そのために声をあげ続けていきます」と語りました。」
内容を見ると、殆ど共産党の受け売りです。学術会議問題は、単なる政府の任命権の問題なので、表現の自由とか、学問の自由とは全く関係がありません。
国会前で高校生にスピーチをさせたようです。香港の民主化運動のつもりなのでしょうか――「次つぎと高校生がスピーチ。和光高校1年生(16)は、「時の政府に不都合なことを言う人たちを排除する政治はおかしいし、信頼できません。菅首相は、説明責任を果たす必要があります」と述べ、まともな政治や社会をつくっていきたいと話しました」。 抗議は、「学問の自由」への政治介入に対し、学生が声をあげなければいけないと考えた高校生や大学生の有志で主催したとのことですが、それはあくまでもそう見せかけているだけで、裏で共産党が動いているのだと思います。でなければ、タイミングよく写真を撮ったり、取材などできません。
時の政府に不都合なことや、文句を言う人は国会にもマスコミにも多くいます。一般の国民もSNSを使って自由に発信しています。別に排除されていません。任命権者がすべて説明する責任はないのです。
占領下のGHQと日本共産党
このように、学生やマスコミ、機関紙、さらには国会の代表質問を利用して、事あるごとに学術会議問題を取り上げる姿は一種異様ですが、その秘密は戦後すぐの日本共産党とGHQとの間の蜜月期間と関係が深いのです。
敗戦後、日本はGHQに占領されますが、それは学問界の共産主義者の支配の始まりだったのです。1946年1月に中国から野坂参三が帰国します。GHQ民生局のジャスティン・ウィリアムズは、アメリカ本国からGHQへの指令は「オーエン・ラティモア、アンドリュー・ロス、野坂参三、それに国務省内の中国派の考え方が色濃くにじんでいた」と述べています (福富健一『日本共産党の正体』参照) 。野坂参三の『日本共産党の計画』と題する5ページにわたる文書は中国の延安でアメリカの外交官の手に渡り、初期の対日占領政策に利用されたと言います。
その内容としては、軍国主義者の追放、大資本の権力と影響力の打破、労働組合の承認、人民民主主義政府の樹立などが書かれていたのです。
それらを総合して「占領初期、GHQ民生局と野坂参三や日本共産党は、密接な関係にあったと」(福富健一 前掲書、88ページ) 指摘します。そして、その関係は1949年の中華人民共和国の誕生の頃まで続きます。
上記の蜜月期の間に日本国憲法、労働組合法、学術会議法が制定されています。ほぼ、当時の法文として残っているのが、日本国憲法と学術会議法です。その故あって、憲法学会と学術会議には多くの共産党に近しい人たちが入り込んだのです。共産党にとってみれば、ノスタルジアであると同時に橋頭堡(きょうとうほ)だと思っているのでしょう。
単なる任命拒否という問題ではなく、日本革命を遂行ないしは革命政権の科学技術の在り方を考えた場合、支配下に置いておく必要が大いにあります。長期的な視点から、どうしても必要な組織と考えているのです。
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