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日本は「エセ民主主義」国家 ―― 現代官僚制の問題点 / 戦前からのシステムをいまだに使っている

「民主主義国でも完全な民主主義国と不完全な民主主義国があることを知っていますか?」

女性

「初めて聞きました。それはどういう定義ですか?」

「英エコノミスト誌が毎年公表している「民主主義指数」報告書による区分けです。それによると、完全な民主主義国は世界で25カ国しかありません」

女性

「日本はどうなんですか?」

「日本はその中に入っているのですが、アメリカは入っていません。どう、思われますか?」

女性

「トランプさんが、結構強引に物事を決めてしまうからではないでしょうか」

「日本については、どうですか? やはり、完全な民主主義国だと思いますか?」

女性

「選挙も頻繁に行われていますし、議会政治も行われていますので、私は25カ国の中に入って当然だと思いますけど……」

「多分、そう答えるだろうと思っていましたが、それは違うという話をしたいと思います」

女性

「ここからが本論です ↓ 表紙は「日経ビジネス」提供です」

 官僚主導の政策形成と「エセ民主主義」の実態

私たちは日々、政治家が国会で議論を交わし、政策を決定している姿を報道で目にします。しかし、現実にはその多くが、官僚たちによって立案・設計された政策を政治家が追認しているにすぎません。こうした実態は、「表面上は民主主義だが、実態は官僚制が支配する」という日本特有の「疑似民主主義(pseudo-democracy)」の構造を浮き彫りにしています。実際に戦後の移民政策、市町村合併、学校統廃合、二人っ子政策、ゆとり教育、そしてバブルと誤って認定した上での間違った金融・財政政策、これらすべて官僚主導で行われたものです。

その背景には、日本の官僚制度が持つ省庁別採用の仕組みがあります。明治期からの官僚制度では、内閣よりも先に大蔵省、文部省、陸軍省などの官庁が設置され、省庁ごとに人材を独自採用する縦割り体制が構築されました。この制度は、各省庁の縄張り意識を強め、予算や規制を巡る利権争いを助長することになります。

また、こうした縦割り構造は省益の追求を優先させ、国益や国民の声が置き去りにされる原因ともなっています議会が政策形成に介入しようとしても、日本の国会は150日の会期制を採用しており、継続的かつ深い監視が困難です。欧米の議会は通年制ですが、日本は戦前の「協賛機関」の名残りで、年間の半分しか活動しません。ちなみに、戦前の議会は90日の会期でした。

年中無休の官庁に主導権を取られるのは当たり前です。結果として、政策決定プロセスは官僚主導で進み、国民による政治的統制が形骸化してしまうのです。なお、変に会期制を採用して短期間で多くのことを処理しようとするため、その負担が官僚たちにかかるのです。霞が関が国会期間中の「不夜城」は、そういった問題があるのです。通年制にして、審議を午後2時くらいにすれば、霞が関の不夜城の問題も、官僚にイニシァティブをとられる問題も解決するのです。

(「日本経済新聞」)

 階級的身分制度としてのキャリア・ノンキャリア制

日本の官僚制度には、もう一つ根深い問題があります。それが「キャリア・ノンキャリア制」と呼ばれる制度的なヒエラルキーです国家公務員は、いわゆるエリートコースの「総合職(キャリア)」と、それ以外の「一般職(ノンキャリア)」に分けられ、採用時点で将来の幹部候補がほぼ決定されてしまいます。この制度は、明治時代に導入された身分的序列の名残りであり、今なお制度として温存され続けています。昇進スピードにも明確な差があり、キャリア官僚は若くして課長・審議官となり、ノンキャリアは定年まで現場職員として終わることが多いのが実情です。

もし、こうした構造が民間企業で行われたならば、社内の士気は低下し、組織の一体感は失われるでしょう。入社試験の点数によって将来の昇進が左右されるような会社はないと思います。ところが、国家行政という公共の場では、そのような不合理が半ば当然のように行われています。現場で国民と接する職員の知見が政策に反映されることなく、少数エリートが机上で国の方向を決めてしまう。こうした構造は、民主主義の本質である「多様な視点の反映」と明確に矛盾しています。それから、エリートと言っても偏差値エリートなので、本当に能力が高いか分かりません。インプット能力とアウトプット能力の両方を兼ね備えた人をエリートと呼んで良いと思いますが、試験ではインプット能力しか測ることが出来ないからです。

つまり、キャリア制度はそのエリート支配の再生産装置であり、民主的な意思決定を妨げる制度的要因の一つであると言えるでしょう。実は、このシステムも戦前からのものです。陸軍や海軍もこの方式を採用していました。つまり、システム的に問題があり、だから惨敗だったのです。それを戦後80年も経った今でも使うという、その感覚自体がおかしいと思っています。

(「note」)

 天下りが生む官民癒着と政策の歪み

日本の行政構造を語るうえで、忘れてはならないのが「天下り」の問題です制度として明文化されているわけではありませんが、実態としてはすっかり根付いており、退職した官僚が所管していた業界や団体に再就職する流れが常態化しています。

この仕組みによって、官僚は退職後も「人事支配」や「情報ネットワーク」を通じて影響力を保持し続けます。特に規制官庁と業界団体との間には「持ちつ持たれつ」の関係が築かれ、政策は業界の利益に沿ったかたちで形成されがちです。かつて、コーポレートガバナンスの強化を名目に導入された「社外取締役制度」も、実際には天下りポストの確保という側面が強く指摘されました。JAにも多くの農水省の元官僚たちが天下りしていますし、膨大な赤字を出している農林中金にも天下りポストがあります。

こうした構造は、公共の利益よりも特定業界の利益を優先させる「利益代表型行政」を助長します。政権交代によって政治主導を掲げた2009年の民主党政権でさえ、官僚機構の抵抗により改革は頓挫しました。それほどまでに、官僚機構は政治権力よりも深く国家の構造に根を下ろしているのです。このように、日本の官僚制度は「民主的な外観」と「官僚的な実態」の間に深刻なギャップを抱えています。真の民主主義を実現するには、この二重構造にメスを入れ、制度の抜本的見直しを進める必要があります。

参議院選挙が終わり、勝った負けたと騒いでいますが、重要なことは日本を実質的に動かしている官僚制をどうするのかということです。どの政党もそのことを未だに触れていませんが、それが一番重要だと思っています。

(「You Tube/高橋洋一チャンネル」)

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