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『戦後史の正体 1945-2012』を読む(その1) ―― 8/15ではなく降伏確定の9/2を基準に考えるべき / 戦後の日米関係をどう見るか

  • 2026年4月4日
  • 2026年4月4日
  • 歴史
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「地元の駅前で「古本市」を開いていたので行ってみました。古本市の楽しさは、掘り出し物がたまにあることです」

女性

「ありましたか?」

「2冊ありましたね。そのうちの1冊は元外務省のキャリア官僚が書かれた本です。今、話題のイラン大使を経て、2009年まで防衛大学の教授をされています」

女性

「どういう内容ですか?」

「いわゆる暴露本です。戦後史を「米国からの圧力」という観点から掘り下げた内容になっています」

女性

「何という題名の本ですか?」

「『戦後史の正体』という本です。その後、ネットで検索をすると著者の孫崎氏自身が出演したUチューブもありました。多分、本が書かれた2012年当時に収録したものだと思われます。本人が出演して、10分間話し続けるというものです。なぜ、本を書いたのか、その動機がよく分かりました」

女性

「戦後にアメリカからある程度の圧力は当然あると思いますが、我々が想像する以上のものがあったのでしょうか?」

「外務省に入省して、各国の大使、さらには国際情報局長も歴任されています。現場の最前線にいて感じたことを率直に書かれています」

女性

「ここからが本論です ↓ 写真提供は「紀伊國屋書店」です」

 全体が分かって、初めて個々の状況が理解できる

先日の辺野古沖の事故があったことを機に、修学旅行の体験学習調査が行われ、結構多くの学校が平和教育ということで沖縄を訪れていることが分かりました。ただ、仮に現地に行ったとしても、正確にその状況を把握することは出来ません。理科の学習であれば、現地に行って生き物の生態を観察することによって様々なことが分かるのですが、社会の学習は同じことをしたからといって、分かることと分からないことがあるのです。地理的、考古学的なことは分かることが多いでしょうが、政治学、社会学、経済学、法学関係では現場があってないようなものなので、行っても全体像を掴めないことが多いと思います

2人の会話で話題になっていた書(『戦後史の正体』)は、戦後の日本の全体像を掴む上で有益な書だと思います。社会科の教員は、こういった書を読んで、自らが全体を理解をした上で、戦後史を子供達に語ることが重要だと思います。全体像が分からなければ、見学をして一部の実態を知ったからといって、何の理解にも繋がりません。下手をすると、単なる自己満足で終わります。

ニュートンは落ちるりんごを見て、万有引力の法則を発見できたのではありません。リンゴが落ちた時に、彼はそれを宇宙の視点からとらえ直したから法則に辿り着けたのです。北半球のリンゴは上から下に落ちますが、南半球のリンゴは下から上に落ちます。必ずしも、物体は上から下に落ちる訳ではないので、そこには何かの力が働いているはずだと考えて、その思考を繰り返す中で法則を発見したのです。現場も大事ですが、それをマクロの視点でとらえ直すことによって、新たなことが分かるのです。

(「見るだけで賢くなる理科の話」)

 本は「はじめに」が一番重要――それで買うかどうかを決める

古本屋はよく行きますので、必要な本を探すのは、かなり早い方だと思っています。昨日も30分くらいで7冊の本を見つけました。題名と著者を見て、およその見当を付けて本棚から取り出して、「はじめに」を読みます。これで大体、本のレベルが分かります。読者を惹きつけるような言葉をここに並べる必要があります。ここにのんびりと「ご挨拶」を書いたり、謝辞を書いたりしている人がいますが、中身もそれに連動しています。

著者の孫崎氏は「はじめに」のところで「戦後の日本外交を動かしてきた最大の原動力は、米国から加えられた圧力と、それに対する『自主』路線と『追随』路線のせめぎ合い、相克だったということです」「世界中の国々の歴史は、大国との関係によって決まります」「『自主』と『対米追随』、このふたつの路線のあいだで最適な回答を出すことが、これからも日本人には求めつづけられているからです」という言葉を並べました。これでこの本を買おうと思ったのです。

戦後史をどう捉えるのかという問題があります単純に経済発展史、政治史として捉えているようでは、正確に語ることは出来ないと思っています。先日このブログで紹介した辻田真佐憲氏の「戦後の正体」(『文藝春秋』2026.4月号所収)は、経済発展史として捉えており、平板な歴史として語られており、日本社会の構造的な歪みを一切見ていません。新憲法が制定されたものの、現実の政治は官僚主導によって行われています。それプラス、アメリカの意向・圧力ということを勘案して戦後史を読むということだと思います。戦後の80年は平板なアスファルトの道ではなく、でこぼこの曲がりくねった上に、助手席から右に行けとかスピードを出せとか、様々な雑音が聞こえます。自分の思った様な快適なドライブが出来ていない状況です。

(「トヨタイズム」)

 8/15ではなく降伏確定の9/2を基準に考えるべき

孫崎氏の本の魅力は、現場での豊富な経験もさることながら、そこでの素朴な疑問を大事にして、そこから論を進めていることです。ニュートンは「なぜ、リンゴは落ちるのだろうか」でしたが、孫崎氏は「なぜ日本は米国の圧力に弱いのか」でした。その疑問を解くために、敗戦直後の日米関係に着目します。このように最初の取っ掛かりを重要視しています。これが「座標軸」になるのです。実はこれが論を正確に進めるために重要なことなのです。

我々は8月15日の終戦記念日を基準に考えてきましたが、そうではない、9月2日の降伏文書調印式を基準にすべきだと言います。8月15日に玉音放送があり、戦争を終わらせたのは日本だという考えが「終戦記念日」という言葉に込められていると言います。しかし戦後は勝者のアメリカの圧力を受けるという厳しい状況の中のスタートとなったので、9月2日の敗戦確定日を起点に考えるべきだと言います。

降伏文書に署名した後、アメリカが要求してきたのは、①日本は米軍の管理下におかれ、公用語を英語とする、②米軍に対する違反は軍事裁判で処分する、③通貨を米軍の軍票とするといったものでした。それに対して正面から交渉をして撤回させたのが当時の外相の重光葵(まもる)だったのです。ただ、交渉は成功したものの彼は9月17日に外相を辞任させられています。その後に外相に就任したのが吉田茂でした。

その後は戦勝国アメリカに対して、「対米追随」路線と独立志向の「自主路線」路線の2通りの為政者が現れます。これは、どの組織にも当てはまることです。シッポを振るのか、否かです。前者の代表格が吉田茂、後者の代表格が重光葵です。その後もそれぞれの路線から首相が登場しますが、後者の首相は短命で終わってしまう特徴があります。次回はこの続きを書きたいと思います。

(「~シリーズ沖縄戦~-はてなブログ」)

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