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USスチール買収問題 ―— アメリカは対等な同盟国と見ていない / 何をどうすれば、対等な同盟になるのか

「前回、アメリカ経済の話をしたところでしたが、ちょうどタイミング良くUSスチールの問題が飛び込んできました」

女性

「日本製鉄との合併話ですよね。バイデン大統領が結構ムキになって阻止すると言ったのは意外でした。2つの会社はラブラブなんでしょ?」

「変な表現を使いますね。日本製鉄もUSスチールも、さらにはUSスチールの従業員も合併には賛成しています」

女性

「どこが反対しているのですか?」

「まず最初に反対の狼煙(のろし)を上げたのが全米鉄鋼労組(USW)です。それを受けて対米外国投資委員会の判断に委ねられ、そこで決着がつかなかったため、バイデン大統領に決めてくれとなったのです」

女性

「素朴な疑問ですが、当事者同士は合意ができているのでしょ?」

「昨年の12月23日に2つの製鉄会社は正式合意をしたのです」

女性

「当事者が合意したのに、第三者がダメというのは、何かおかしいと思いますけど……」

「多くの人がそう言っています。普通に考えれば、2つの製鉄会社の合意を尊重すべきという結論になると思います」

女性

「どこで引っ掛かっているのでしょうか? 日米は同盟国ですよね。中国の企業が買収を仕掛けて、それを嫌ってストップは分かる気がしますが、日本の会社でしょ……」

「今回の事例は、アメリカが日本を実際にどう見ているのかがよく分かる事例だと思っています」

女性

「えっ、どういうことですか? 続きは本論を ↓  表紙写真は「日テレNEWS NNN-日本テレビ」」

 対等な同盟国とは思っていない

日本人は自分本位で考えるクセがあります。そのため、状況判断を誤ることがあります。この問題に対して、マスコミや識者の論調はほぼ同じです。一言で言えば、遺憾表明ということです。

バイデン大統領の声明が新聞などで報道されていますが、彼はそこでは本当のことを言いません。あくまでも、建前的なことしか言っていません――鉄鋼業は米国の屋台骨、鉄鋼業はサプライチェーンや安全保障の観点から重要、USスチールは米国の誇りある企業。

バイデン大統領とトランプ大統領の2人とも、この合併を阻止すると言っているのは、日本を同盟国として、まだ信頼していないということです。これが一番大きな理由です。ただ、これは口が裂けても言えません。だから、日本製鉄が合併に当たっての様々な好条件―—買収後もUSスチールの社名は残す、雇用調整つまり解雇をしない、USスチールの主要な役職、取締役会の過半数はアメリカ人とする――を提示しても、無駄なのです。彼らの問題意識は、そこには無いからです。

(「TBS NEWS DIG-TBSテレビ」)

 経済問題ではなく政治問題

この合併話は経済問題ではなく、政治問題です。日本の政府は純粋に企業間の合併話だという捉え方をしていますが、そうではありません。安倍総理あたりだと、何となく感じてトランプに電話を入れる、あるいは首脳会談の話題にするかもしれませんが、日本の政治家で動きそうな人を、管見(かんけん)の限り見つけることができません。

同盟国という言い方をします。日本の受け止め方は対等の同盟と考えています。アメリカは、決して対等とは思っていません。ただ、これも口が裂けても言えません。ただ、日米地位協定を見れば、客観的に分かります。

たまに日本の国会議員の中から、地位協定の見直しという声が上がります。政府筋がそれを受けて動くことはありませんでした。動いても無駄ということが分かっているからです。地位協定は1960年、つまり安保条約が締結されたと同時に結ばれたものです。それ以来、一度も改正されていません。改正できないとアメリカが判断しているからです。決めるのは、アメリカにあります。

(「朝日新聞デジタル」)

 何をどうすれば、対等な同盟になるのか

一つは、隣国の韓国との関係を何とかしろ、とアメリカは思っているはずです。隣国と上手く付き合えないような国を信頼する訳にはいかない。アメリカの合理主義的な考えです。韓国ともう少し上手く付き合ってくれれば、アメリカとしては有難いと思っているはずです。

二つ目は、戦前、戦中の日本を肯定する動きが顕著に出てきたことです。戦死した人たちの慰霊やその生き方を顕彰するのは良いのですが、指導者は別というのがアメリカの考え方です。平泉澄(きよし)という「皇国日本最大のイデオローグとしての影響力」(立花隆『天皇と東大 下』文藝春秋、2005)を持った人が戦後創刊した雑誌が『日本』(日本学協会)です。その令和7年正月号の編集後記に「特攻隊員の純烈さは日本人そのものなのでせう。一方で、不利な状況の中で作戦を続けた軍指導部のあり方も、検討すべきではないでせうか」

指導部の人間はいかに兵隊を殺さないようにするかを考えなければいけなかったのです。特攻隊とか回天のように、兵隊を人間ではなく、鉄砲の弾のように使うことがあって良い訳がありません。こういった戦前回帰的な論説が少しずつ出てきたように思えます。アメリカはこういった情報をチェックしていると思います。こういったことが、実はUSスチールとの合併を阻んでいるのです。

(「日本の古本屋」)

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