(この文章は3/17日に書きました)
戦後しばらくの間、言論界は左翼が支配し、世界の常識とは違った論理を自己満足的にまき散らしていました。それがようやく、ここに来て静かになってきたというのが、私の実感です。60年安保の頃、安保反対ゴッコをして遊んだ記憶があります。意味が分からないまま、4、5人でアンポ、アンポと言って走り回っていました。
私が大学に入った頃は、70年安保が終わって虚無感みたいなものがありましたが、各セクトのタテカンは毎日のように出ていましたね。
左翼思想の退潮がはっきり見えてきた
戦後のしばらくの時期というのは、思想とくれば左翼思想を指すというのが、一種の社会常識のようなところがありました。マルクスやレーニンの著作物を読み、何か判断に迷うことがあると、マルクスは何と言っていたのかと本のページを探したりしたものです。自由、平等、平和といった言葉は、左翼の専売特許のような言葉として扱われていたような時代でした。自由、平等から入って、マルクスやレーニンの文献を読み、社会主義、共産主義を極めていくというのが、人間としての思想の完成と思っていた人も多かったと思います。
(マルクス)
その当時の言論界をリードしたのが、朝日新聞であり、岩波書店です。「朝日・岩波文化」と称される戦後の教養文化の中身に、マルクス主義は大きな影響を与えたと思います。実際に、岩波文庫には、マルクス、エンゲルスの著作が多く収録されています。さらに、岩波は「世界」、「思想」、「科学」、「文学」(2016年で休刊)といった硬派の月刊誌を出版してきましたが、今や街中の書店では置いても売れないのでしょう、殆ど見かけなくなりました。買うためには、新宿の紀伊国屋など大きな本屋に行くしかないという状況だと思っています。岩波文庫も前ほどには、売れていないと思います。今はむしろ『WILL』とか『Hanada』といった保守系の言論雑誌がよく受けるようになりました。これも時代の流れだと思いますが、そこには必ず因果関係が働いています。単なる偶然ではなく、必然性がそこにはあると思います。
戦後の左翼の運動のピークは1970年代半ばから1980年代にかけて
1955年に左派社会党と右派社会党が合流します。そして、戦後は日本共産党が合法政党として活動をします。社会党は90年代の半ば以降、議席を急激に減らしますが、それまではコンスタントに衆議院で100議席くらいを確保していました。共産党の過去の最多議席をとった年が1979年の39議席です。この頃がピークだったのでしょう。
左翼勢力に大きな影響を与えたものは、1972年の日中国交正常化を経て、1978年の日中平和友好条約の締結です。友好条約を結んだこともあり、中国語ブームが起こり、社会主義に対する親近感のようなものが起こったと思います。そして、何と言っても左翼陣営に大きな影響を与えたのは、1991年のソ連崩壊です。
冷戦体制が崩れ、時代はアメリカがリードするグローバリズムの時代に入っていきます。社会主義に対する幻想が消え、逆にネガティブな影響を受けることになります。特に大きな影響を受けたのが、社会党です。1996年に社民党に党名変更して出直しを図りますが、現在に至るまで党勢を回復するに至らず、泡沫政党になろうとしています。
科学的社会主義は、非科学的独裁主義である
ⅰ)日本の伝統的な統治システムに革命思想は合わない
日本は世界最古の王朝です。そのシステム(国体)をどうするか、権威者の天皇と権力者を切り離した上で、お互いに民と手を結びながら一つの家族のような存在として国をつくっていこうと考えたのです。西洋的な権力機構として国家を考えたわけではありません。日本では百姓を「おおみたから」とし、側近の部下を「臣」と考えて家族の一員のように大事に考えてきました。国は一つの家(宅)と考えました。大宅(おおやけ)が公、つまり国を家族の延長と捉えたのです。
革命思想というのは、その前提において社会契約の考えがなければなりません。国民と権力者との関係を契約関係で考えるのが、社会契約説のおよそのところです。その契約が守られていない場合は、約束違反となるので、国民はもっている権利(革命権・抵抗権)を行使して革命をすることが出来るというのが(社会主義)革命の考え方です。このような革命思想は、西洋近代国家が前提で成り立つ考え方です。もし、無理矢理この革命思想を現実の日本にあてはめるとすると、一体何を革命の標的にするのでしょうか? 天皇制をなくすつもりでしょうか? そうなると、長年続いた最古の王朝がなくなり、それは日本がなくなることを意味します。
ⅱ)社会主義・共産主義は独裁主義になる
中国や北朝鮮で流通している紙幣の顔は、金日成であり毛沢東です。ベトナムの紙幣の顔は、ホーチミンです。日本のお札の「顔」はすべて文化人です。権力者はいません。
独裁国家で独創的なアイディアは出ません。従って、ノーベル賞をとるような方は現れないでしょう。仮に現れたとしても、社会的に抹殺されます。実際に、中国の著名な人権活動家の劉暁波氏はノーベル平和賞を受賞していますが、中国共産党は彼をノーベル賞受賞者ではなく、国家政権転覆罪で2009年に有罪判決を受けた人間として最後まで扱いました。現在、中国で「劉暁波」の文字で検索しても、何も出てこないと言われています。自分たちに不都合なものは、すべて消し去ってしまうというのが共産主義の考え方です。
米国大統領のトランプ大統領は、ロシア革命100年にあたる2017年11月に「前世紀から、世界の共産主義者による全体主義政権は1億人以上の人を殺害し、それ以上の数多くの人々を搾取、暴力、そして甚大な惨状に晒(さら)しました。……」と演説しました。全く、その通りだと思います。
共産主義は人民を共産党全体で搾取し、その経済力で他国を侵略する国家体制です。中国に多くの企業が進出していますが、何のことはない、そこでの利益は共産党が世界支配のために自由に使える資金に化けているだけです。最後の最後には、その資金が軍事費となり、それに反抗する人々や国や企業は葬り去られます。現在、ウイグルでは民族丸ごと弾圧を受けています。
ⅲ)日本文化を破壊し、日本国解体をねらう日本共産党
3つの方面から攻撃を仕掛けています。1つは、天皇制を破壊しようと画策しています。潜在的改憲勢力であるにも関わらず、その本性を隠して護憲を言っていますが、将来的に自分達の都合のよい憲法を制定することを考えているはずです。皇室典範によれば、天皇は男系男子が継承するという規定があり、第一位継承者から第三位まで決まっています。それを知りながら、男女平等という屁理屈を持ち出して、愛子天皇ということを「つぶやいて」います。世論誘導を狙っています。それに乗っかかるマミコミもいます。
女系天皇がダメな理由はこちらをどうぞ
2つ目は、「選択的夫婦別姓」の決議を県議会レベルで上げさせるために、新日本婦人の会という共産党員が主導する大衆団体を使って動いています。日本の家制度は1つの文化です。
結婚によって、どちらかの姓にすることを戸籍法が定めています。そこには姓を一つにすることにより気持ちを一つにして、家庭生活を共にする中で子育てをし、そこに幸せがあると考える日本の古来よりの考え方が込められています。改姓がどうしても苦痛ならば、相手に改姓を頼めば良いし、相手もいやと言うならば、事実婚の状態で過ごせば良いと思います。ただ、子供が出来たらどうするのでしょうか。家庭の中に親同士は違う姓、子供は片一方の姓を名乗る、場合によっては、兄弟で違う姓となります。その子たちが将来就職した時に、会社に何と言って説明するのでしょうか。多分、突き詰めて考えていないと思います。
要するに、この問題の本質は、共産主義者による日本の家族制度の破壊をねらっているに過ぎないのです。一種の日本文化の破壊行為です。
現在まで、愛媛県、滋賀県、兵庫県、三重県で請願が出されて審査されています。三重県では、可決されています。その他では、不採択です。日本のその他の地域で請願権に基づく審議要請が行われると思います。
3つ目は、国政レベルで他党を引きずり込んで、政権を弱体化させる行動を取り続けるでしょう。政権に近づくためには、どんな野党ともひっつく覚悟だと思います。そこには、高き志は何もありません。香港の市民や台湾の国民が毛嫌いした中国のような国にしたいのでしょうか。国民は街中に張りめぐらされた監視カメラとQRコードによって監視され、インターネットで発信しても共産党に不都合なことは削除される、自由も選挙権も何もないような国にしたいのでしょうか。志位和夫の顔が入ったお札を使いたいのでしょうか。日本には何十万という多くの共産党員がいますが、あなた方の良心に期待したいと思っています。
以上の文章を書くにあたって、福富健一著の『日本共産党の正体』(新潮新書.2019年)を参考にさせて頂きました。マルクスの剰余価値説や唯物史観を分かりやすく批判しています。
読んで頂きありがとうございました。