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地方創生、空転10年の本当の理由 ―— 権限を委譲しない改革は不発に終わる / 立法と教育の権限を分権されたし

「「まち・ひと・しごと創生本部事務局」という看板を内閣官房の担当部署に掲げたのが今から10年前の2014年9月です」

女性

「上の子が生まれた頃です。まだ私も若かった頃です」

「当時は安倍政権です」

女性

「地方創生という言葉が一つの合言葉のように言われ始めました」

「しかし、この10年地方の衰退は進行しています。少子化に歯止めが掛かっていません」

女性

「何故だと思いますか?」

「一言で言えば、地方分権を進めていないからです」

女性

「地方分権一括法を制定して、それを行ったと学校で習った記憶があります」

「あの時に地方に渡した権限は、例えば都市計画、学級編成権、待機児童対策といった枝葉抹消的な事務権限です」

女性

「それではダメということですか?」

「それはそれで利便性が高まり良かったとは思いますが、飴玉をしゃぶらせて肝心なものは渡さないというものでした」

女性

「肝心なものとは何ですか?」

「国家権力に関わるものです。立法、行政、外交、教育といった大きな国家権限があります。その一部を地方に分権するということです。簡単に言えば、地方の代表者が直接その権限行使に関わるような仕組みの導入です」

女性

「それが地方創生に繋がるということですね」

「権限を委譲しない改革は不発に終わります。これは歴史の教訓です」

女性

「ここからが本論です ↓ 表紙写真は「毎日新聞」提供です」

 権限を委譲しない改革は不発に終わる

「地方分権一括法」という威勢の良い名前を付けたものの、行ったことは一部の事務権限の委譲というものです。イメージを持ってもらうために、いくつか具体例を示したいと思います。

国有地が市町村に払い下げられたり、工場跡地を市町村が買い取ったりということがあります。それを市町村が何か施設を建てる等をして利用する際に、国が定めた緑地面積比率を守る必要があるというのが従来の規定でした。その比率についてすべての市町村の判断で緩和できるようにしたのです。

介護保険の指定は都道府県の事務でしたが、これを指定都市または中核都市でも行えるようにしました。保育所の待機児童の問題がありました。保育所について国の基準があったのですが、都道府県条例で緩和できるようになったのです。パスポート交付申請は事務処理特別条例を制定して、市町村レベルで行えるようになりました。いくつか具体例を示しましたが、こういった類のことがこの10年間行われたということです。これはこれで意義があるのですが、地方創生に繋がる権限移譲ではありません。

(「倫理政経.com」)

 立法と教育の権限を分権されたし

「何がうまくいかなかったのか反省しないと、これから先の展望はない」と石破首相が8日に開かれた地方創生閣僚会議の初会合で述べたと言われています。石破氏は初代の地方創生担当大臣なので、それなりの思い入れがあるはずです。

2014年の合計特殊出生率は1.42でした。当時、掲げた数字は1.8だったのです。現実は逆方向に進みました。2023年は1.2です。大都市圏に人が流入している流れを変える必要があるということで、様々な権限移譲をしたのでしょうが、その流れは止まっていません。2014年に10.9万人だった転入超過は2023年に11.5万人に拡大しています。人口減少・少子化が続いている中での人数拡大を見ると、枝葉抹消的な権限移譲では効果がないということです。

単なる権限移譲ではなく、地方分権を実施する必要があります。候補としては、立法の一部と教育だと思います。参議院は「盲腸状態」なので、構成の一部または全員を地方の首長ないしは代表者に替えるのです。不登校が30万人を突破して文科省行政失格の証明が出ましたので、地方分権教育に踏み出す時代です。地方にはすべての自治体に教育委員会がありますし、江戸時代には各藩で独自の教育を行ったという歴史的経験もあります。利権が絡んでいるためなのか、文科省が権限を手放そうとしないのが現状だと思います。

(「ジチタイワークス」)

 秋田県の事例を検証する

全国で最悪のペースで人口減が進んでいるのが秋田県です。県庁所在地の秋田市も少子化や若者の流出に悩んでいると言います。秋田はあきたこまち、ひとめぼれといったブランド米の産地として有名ですが、これでは農業の未来まで心配になります。

実は人口を激しく減らしている自治体は学校統廃合を一貫して進めてきたという特徴があります。これは私が前に調べたデータですが、2010年から2015年までの人口減少率日本一が実は秋田県でした。3番目が隣の青森県でした。その両県で戦後からその年まで廃校にした小学校の数を調べてみると、929校もありました。秋田県が457校、青森県が472校という凄まじい数の小学校を廃校にしてきました。要するに、統廃合によって新校舎にする時に補助金が国から支給されます。学校は新築となり、地元業者は潤うので良いと思ったのかもしれません。

地元の子供や住民からすれば迷惑なことです。小学校は自分たちにとっての心の故郷だからです集会所や避難所としての役割もあったでしょう。それが無くなれば、地元への愛着もなくなります。私も名古屋の亀島小学校を統廃合で無くされました。2度と戻らないと思ったものです。その亀島地区ですが、やがて周りの商店街が廃れ、町内の運動会も出来なくなりました。近隣の3校を統廃合してほのか小学校を新しく建てたのですが、通学圏が広くなります。地域としてのまとまりも無くなり、結局その学校も児童数を年々減らすことになるのです。

それを県全体で長年行ったのが秋田県です。そして、逆に小規模校を大事にしたのが沖縄県です。沖縄は最近まで日本で唯一の人口増の県だったのです。

(「秋田市」)

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