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財務省という巨大装置 ── 霞が関に巣食う権力の実像 /「失われた30年」を招いたキャリア官僚制度の問題点

女性

「この間、このブログの訪問者が増えましたので、改めて配信日をお伝えします。火、木、土の週3回配信です。よろしくお願いいたします」

「今日は「失われた30年」を引き起こしてしまった日本の官僚制度そのものの問題点について話をしたいと思います」

女性

「ところで素朴な疑問ですが、失ったことは分かりましたが、戻ってくるのですか?」

「戻ってきません。失われたままです。国政レベルで一度舵取りを間違えると、大変な損失を生みます」

女性

「人間のすることなので、ミスは当然あります。許容範囲ということで、不問に付すという考え方もあると思います」

「あなたは心の広い人ですね。というか、典型的な日本人の考え方ですね」

女性

「どういうことですか?」

「『国家の品格』を書かれた藤原正彦氏が、日本人は突きつめて考えようとしないのが、特徴であり欠点だと言っています」

女性

「突きつめて考えて、様々な原因を洗い出すことによって多くの人を傷つけてしまうのではないか、と考えるからですよ」

「「和をもって貴し」の国ですからね」

女性

「水に流すという言葉もあります」

「個人の責任と組織の責任があります。水に流して良いのは前者だけです。組織に問題があれば、そこに属する人が同じような過ちを今後も繰り返すことになります。戦前の軍部がそうでした。徹底的に分析する必要があります」

女性

「組織的な過ちは、水に流してはいけないのですね。ここからが本論です ↓表紙写真は「日本経済新聞」提供です」

 『ザイム真理教』が示す財務省の特異性

『ザイム真理教』という本があります。故森永卓郎氏の遺作と言っても良いかもしれません。彼が言うには、原稿を大手出版社に持ち込んだところ、財務省を批判する内容だったので断られたそうです。このエピソードは出版界における財務省の影響力を如実に物語っています。

何を恐れているのでしょうか。その答えの一端は、大村大次郎氏の『財務省の秘密警察』に記されています。その中で、安倍元首相の回顧録を紹介していますー―「予算編成を担う財務省の力は強力です。彼らは、自分たちの意向に従わない政権を平気で倒しに来ますから。財務省は外局に、国会議員の脱税などを強制捜査することができる国税庁という組織も持っている」。国税庁には全国民を対象に調査できる徴税権があり、この権限を使って金融機関のデータをすべて手に入れることが出来ます。これが財務省の強力な権力の源です。

その徴税権と予算権を使って、個人や企業、団体を揺さぶるのです。財務省は文科省も揺さぶります。そのように多くの権限を有している組織が、省益優先、前例踏襲のカルチャーで凝り固まり、東大出身者を中心とするキャリア官僚に囲まれている。この閉鎖性と排他性が、まるで宗教団体のような雰囲気を醸し出している。それが『ザイム真理教』と命名した所以なのでしょう。言い得て妙です。

(「宝島社」)

 東大キャリアと「インブリーディング」

国家公務員試験は総合職試験(旧Ⅰ種)と一般職試験に分かれており、総合職の合格者を「キャリア官僚」と呼び、試験の合格者で点数が高い順番に希望省庁に配属されることになります。総合職試験の合格率は例年10%前後です。例えば、2023年度は13.3%、2024年度は14%でした。最近は少し入りやすくなったと言われていますが、難関試験であることには変わりません。そんなこともあり合格者の多くが東大生です。東大の前身の東京帝国大学時代から「官吏養成機関」としての役割を担っていた名残が今なお色濃く残っています

中には、国のためという高い志を持って東大に入り、国家公務員になった人がいると思います。合格して仮に財務省に入省した場合は、生涯にわたって財務省の所属となります。これは組織の多様性や柔軟性を損なう制度であり、おかしな人事制度だと思います。視野を広げる意味で、入省して10年くらいは4~5の省庁を経験させ、最終的に本人の希望を聞いて所属先を決めるべきでしょう。

アメリカでは、集団をつくる場合に、出身校が同じ人を多く採用すると「インブリーディング(近親交配)」が生まれると言って避けようとする傾向があります1つの集団が等質的になると、視野が狭くなり、活力や健全なアイディアが生まれなくなります。どの省庁もキャリア官僚は東大が多いので、こういう場合は、省庁横断的人事の導入が必要です。地方自治体では既に当たり前の制度であり、霞が関にも「風通し」をもたらす方策となるでしょう。

(「朝日新聞」)

 官僚制度の閉塞と天下りの構造

集団づくりというのは、難しいのです。成績優秀な人間だけ集めて囲い込めば良いというものではないからです。その集団をどのようなシステムで動かしていくかが実は重要なのですが、日本の官僚制度は「出世主義」+「共済方式」を年功序列で動かす仕組みになっています。このシステムは戦前からのものであり、時代に合っておらず、人材を育てられていません。だから「霞が関は人材の墓場」(古賀茂明『官僚の責任』)と言われてしまうのです。

キャリア官僚は、入省後、同期の中で出世レースを戦います。そして、1年に1人だけが事務次官となり、他の同期は退職するという変な不文律があります。そして、その退職者のために用意される受け皿が天下りポストです。独立行政法人や公益法人、あるいは所轄する民間企業が受け入れ先となります。

コーポレートガバナンス(企業統治)コードが今から10年前の2015年に導入されました。日本企業の多くは社外取締役のポストを設けましたが、これなどは完全な天下りポストです。社外取締役制度を導入したからと言って、すべてのガバナンスの精度が上がると考える方がおかしいのです。天下りのキャリア官僚は、学歴とキャリアはありますが、本当にその企業にとって役に立つ人材かどうかは分かりません。にも関わらず、なぜ受け入れるのか――「企業にとって不必要な人間を受け入れるためには、それなりの見返りやメリットがなければならない。そこで、その企業に対していわば阿吽の呼吸で便宜を図るようになる。これがもう一つの理由である」(『官僚の責任』)。つまり、財務省出身者を企業が受け入れるのは、企業統治に資するためではなく、財務省とのパイプを持つ“保険”としての意味合いが強いのです。

(「PHP研究所」)

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