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改革開放路線は封印か ―— 中国から人と資金が逃げ始めている / 行き詰まりが出てきた「一帯一路」

女性

「日中首脳会談が開かれましたが、中国は日本の水産物を買ってくれるようになるのでしょうか」

「米中首脳会談のついでに開いてやったという意識でしょう。何も解決することはないと思います」

女性

「主席に直接訴えてもダメなんですか?」

「中国は一度出した方針を短期間で変えることは、まずありません。特に、首脳会談の直後に変更したら、弱腰と思われてしまいます。それは絶対に避けたいと思っているでしょうね」

女性

「私の感覚だと、規制を撤廃して欲しいと頼まれたので、友好を考えて相手の希望通りにしてもよさそうなものと思いますけど……」

「友好という頭はないと思います。常に自分たちにとって有利なポジションを取るためにはどうすれば良いか、その視点から判断していると思います」

女性

「有利なポジションを取れないアメリカと首脳会談をしたのは、何故ですか?」

「アメリカの求めに応じて開いたようですね。申し出を受け入れたということは、何か弱気になっているところがあると思っています」

女性

「やはり経済状態が悪いのですか?」

「日本も人のことは言えた義理ではないですが、中国の方が深刻ではないかと言われています」

女性

「ここからが本論です ↓」

 改革開放路線は封印か

先日、68歳の若さで亡くなった李克強が改革開放路線派でした。2013年の秋の三中全会で彼が中心となって打ち出された経済政策はリコノミクスと呼ばれ、経済活動に市場原理を導入するものでした。要するに、国民の自由な経済活動を大幅に認めたのです。起業や投資などについての規制を緩和しました。

習近平はもともと毛沢東を尊敬していますので、計画経済の信奉者です。水面下で路線対立がありつつも、経済分野で成果が上がっていたので、認めざるを得ない状況だったのでしょう。

ところが、コロナ禍で経済活動が停滞し、不動産不況が明るみに出たのを口実に、李克強を追い落とします。それと同時に、中央財経指導小組(指導委員会)の委員長に自らが就任します。今後は、社会主義計画経済を地でいくような経済政策が打ち出されてくると思います。

(「Slide Player」)

 行き詰まりが出てきた「一帯一路」

「一帯一路」を巨大経済圏構想ということで紹介されることが多いのですが、習近平が10年前の2013年に打ち上げた「世界征服計画」です。様々な国の重要施設の建設を資金面や建設面で中国がサポートしようという計画です。

資金面をサポートするために創設したのがAIIBです。関係各国から資金を拠出してもらい、それを基金とし、そこから各国に融資をします。インフラを整備して欲しいと思う国は融資によって得た資金を使って発注をかけるという仕組みです。

2018年までは順調に実績が伸びますが、その年を境に下降線となります。2021年にはピーク時の4割程度の150億ドル(約2兆2千億円)まで減りました。何故、行き詰ったのか。一つは、融資と資金回収が上手く行かないケースが出たこと。二つ目は、実際に現地で工事を請け負うのは中国企業が多く、得をするのは中国だけという実態が明るみになったからです。相手国の反発から頓挫したプロジェクトもあったのです。


(「Yahoo!ニュース-Yahoo! JAPAN」)

 中国から人と資金が逃げ始めている

強権国家になればなる程、人と資金は逃げていきます。これは物の道理です。「中国から資金流出が加速し、9月は流出超過額が7年8か月振りの規模となった」(『日経』10/26日付)とのことです。外資の撤退や富裕層の資産の海外逃避が原因だろうと分析しています。

資金が流出しているので、為替レートは元安に振れます。現在、1ドル=7.3人民元を一つのラインにして動いています。最近、何回か為替介入をした形跡があります。当局は全く発表しませんが、為替相場の動きが不自然なので分かります。

中国は自分たちで変動幅を決めており、人民元がある程度下がった場合は、保有している米ドル国債を資金にしての介入を決めているようです。ただ、それはあくまでも応急手当に過ぎないので、実体経済を改善しない限り元安は続くことになります。

(「日本経済新聞」)

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