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日本企業、中国市場から撤退の動き ―— 日中友好の象徴の合弁事業を解消 / 急速にしぼむM&A

「日中友好の象徴でもあった日本製鉄と宝山鋼鉄の合弁事業が解消するみたいです」

女性

「中国市場から撤退するということですか?」

「完全撤退ではありません。他の中国企業との合弁事業は継続するとのことです」

女性

「中国経済が落ち込み始めたということと関係があるのですか?」

「解消の原因は、むしろ中国企業との信頼関係が保てなくなったからだと思います」

女性

「何か問題でもあったのですか?」

「特許の侵害による提訴事件が、日本製鉄と宝山鋼鉄との間で2021年に起きています」

女性

「あらあら、仲間うちでそういうことがあったのですね」

「信頼関係があった上での合弁事業ですからね」

女性

「社員の安全という面もあったのですか?」

「アステラス製薬の社員が拘束されたままですからね。多少は影響があったと思います」

女性

「中国全体の市況という点では、どうですか?」

「今では中国の鉄鋼メーカーは粗鋼生産能力で世界のトップを行きます。上位10社のうち6社が中国メーカーです」

女性

「日本の助けはもういらないということですね。ここからが本論です ↓表紙写真は「TBS NEWS DIG-TBSテレビ」提供です」

 日中友好の象徴の合弁事業を解消

合弁事業は日中友好と日中経済協力の象徴的な事業だったのです。日中国交回復が1972年ですが、1978年に鄧小平副総理(当時)が君津市の製鉄所を視察して、中国にも製鉄所を作ってもらえないかと要請します。その要請を受けて作られ製鉄所が上海の宝山製鉄所だったのです。やがてそれが、裏切りの象徴となることも知らないで……。

工事の方は難航に難航を重ね、技術指導で日本からは延べ1万人が訪中したとのこと。その生みの苦しみと中国に遺した日本人孤児の問題を重ね合わせて作られた小説が『大地の子』(文藝春秋社)です。主人公は日本人残留孤児。中国人の養父母に育てられ、様々な荒波を乗り越え日中共同の製鉄プラントを完成されるという話です。

作者の山崎豊子氏は胡耀邦総書記から取材許可をもらい、当時外国人が入ることが出来ない農村地区をまわり約300人の戦争孤児から取材をしています。山崎氏は「私はこれまで色々な取材をしましたが、泣きながら取材したのは初めてです」と言っています。彼らの大半が悲惨な人生だったのです。

(「X.com」/画像の記事は「夕刊フジ」)

 急速にしぼむM&A

中国企業が関わるM&A(合併・買収)が落ち込んでいます(下のグラフ)。『日経』の記事(7/31日付)によりますと、2024年1月~6月の総取引額は前年同期と比較すると約4割減とのこと。中国企業が関わるM&Aというのは、中国企業が他国の企業を吸収する場合と、逆に他国の企業が中国企業との合弁を進める場合があります。

M&Aの形態は様々あるのですが、基本的に相手との信頼関係が前提です。その上で市場が開かれ、なおかつ将来性が見込まれなければいけません。中国ではこれらの要素が急速に無くなっています。そして、それプラス「反スパイ法」を昨年の7月から施行したことが経済人に心配を与えています

現在日本人で中国当局に拘束されている人が17人います。その中の1人がアステラス製薬の社員ですが、彼も含めて、どのような行為が問題となって拘束されたのかが分かっていません。裁判も非公開なので、殆んど情報が遮断されたまま闇から闇へと処分されている状況です。不気味さだけが漂っています

(「日本経済新聞」)

 中国市場から撤退の時代

ある意味、最も親中的であった日本製鉄が中国の宝山鋼鉄との合弁を解消したことの意味は何なのか。日本の企業に対して、一つの戦略的な示唆を与えています。

冷戦が終わりグローバル化が進展したのですが、それもつかの間、米中対立やロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ侵攻など再び世界は分断の時代に入ってしまいます。そのため、多国間での合意形成が難しくなっています。国連がその最たるもので、何かあれば一応集まりますが、お互い言い合って何も決まらずに終わってしまいます。完全な機能不全に陥っています。

グローバル化という大きな流れに国の未来を委ね、改革開放路線を拡大して経済大国にのし上がったのが中国です。その路線を継承することが期待されたのですが、全く逆方向に舵を切ろうとしています。市場を開放するからこそM&Aも活発に行われます。市場を閉鎖し、自由を抑圧しようとすれば、カネとヒトは逃げていきます。当然、経済は下降線となります。中国市場から撤退する時代に入ったということです。

(「産経新聞:産経ニュース」)

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