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人口減少時代の選挙制度改革 ―― アダムズ方式は日本に合わない / 議員定数削減に向けた現実的な選択

「参議院選挙が近づいています」

女性

「いつ行われるのですか?」

「任期満了が7月28日なので、6月28日から7月27日の間に行われることになります」

女性

「参議院改革ということが言われていましたが、あまり進んでいないようですね」

「政党化が進んで、第二衆議院といった状態が続いています」

女性

「ちなみに、どの政党にも属さないという無所属議員は何人位いるのですか?」

「調べてみましたが、17人いらっしゃいます」

女性

「それ以外は、何らかの政党に所属しているということですね」

「そうですね。これを多いと見るか、少ないと見るかです」

女性

「そもそも参議院を創設した意義は何ですか?」

「国民の多様な意見を吸収するというのが、当初の目的ですが、実際にはそうはなっていないように思います」

女性

「ここからが本論です ↓ 表紙写真は「nippon.com」提供です」

 衆議院選挙制度、改革の要諦

日本の衆議院選挙は現在、「小選挙区比例代表並立制」が採用されています。これは1994年の政治改革によって導入された制度で、すでに30年以上が経過しました。制度導入当初は、政治の安定性と多様な民意の反映を両立させることが目的でしたが、今ではその実効性や公平性に対する疑問の声が多く上がっています。今年1月には「衆議院選挙制度協議会」が発足し、年内をめどに一定の結論を導き出す方針です。

協議会は、自民党から3人、立憲民主党から2人、その他の会派が1人ずつ参加し、与野党あわせて13人の構成です。しかし、このような議論においては、何を目的として改革するのか、論点を明確にすることが重要です。例えば「一票の格差是正」を優先するか、それとも「地方の声の確保」に重点を置くのかで、対応策は大きく変わります

特に立憲民主党や日本維新の会の代表委員は、一票の格差是正を訴えています。これは裁判で繰り返し違憲・違憲状態と判断されてきた背景があるため、理解はできます。しかし一方で、地方創生が国の大きな課題となっている今、地方の議席を維持・強化する方向性も重要です。選挙の平等性は憲法14条に基づく原則ですが、地方自治の尊重も92条に明記されています。都市と地方のバランスを取る視点を持つことこそ、今後の選挙制度改革の核心と言えるでしょう。

(「参議院」提供/選挙制度協議会)

 アダムズ方式は日本に合わない

2020年から日本では「アダムズ方式」が議席配分に導入されました。これはアメリカの第6代大統領ジョン・クインシー・アダムズの名を冠した方式で、人口に比例して議席数を割り当てる方法です。たとえば、人口100万人のA州と、75万人のB州があった場合、除数を25万とすればA州が4議席、B州が3議席となります。極めて合理的で、数理的には整っています。

しかし、日本にこの方式が適しているかといえば、必ずしもそうとは言えません。アメリカは大平原が広がる比較的単純な地形ですが、日本は山脈、半島、島、湖といった地形的に複雑な国です。島の数だけでも1万4千を超えるほどで、交通や生活インフラの整備も地域ごとに大きく異なります。加えて、東京一極集中が進んでおり、単純に人口に応じて議席を配分すれば、地方の声はますます届きにくくなります。普通に考えれば分かることですが、何故かアダムズ方式を導入してしまったのです。

そのため、議席配分には形式的な人口比例ではなく、地方公共団体という単位を重視すべきです。具体的には、どれだけ人口が少ない県でも最低1議席は保障し、そのうえで人口要素を加味する形が望ましいと考えます。これは「地方創生」を掲げる国家方針にも合致し、地方と都市の共生を促す設計となるはずです。

議員定数の削減を

昨日、総務省が2024年10月1日時点の人口推計を発表しました。それによれば、日本の人口は1億2380万人となり、前年から89万人減少しました長期的には人口減少が続くと見込まれており、これに合わせて国会議員の定数も見直すべきではないでしょうか

戦後最初の衆議院選挙が行われた1946年当時、議員定数は468人でした。その後、選挙制度や人口の変動に応じて調整が行われ、最多時には512人、現在は480人となっています。現在の人口規模と政治的実効性を考えると、450人程度に減らすのが現実的だと思われます。

参議院も同様に見直す必要があります。発足当初は250人、現在は247人ですが、220人程度まで削減しても問題はないでしょう。これにより、衆参合わせて60人の議員定数が減り、年間で60億円程度の経費削減が可能になると試算されています。もちろん、議員削減が単なるコストカットにとどまってはいけませんが、人口が減少し行政サービスの見直しが求められる中、立法府も自らの規模と役割を再定義する時期に来ているのです。定数削減は、国民の政治不信の一因である「身を切る改革」にもつながります。政治の信頼回復のためにも、象徴的な改革として定数の削減を検討すべきです。

(「日本経済新聞」)

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