「ネットを見ていたら、「衝撃…多くの人が全然知らない『学校統廃合』その驚きの実態」となっていたので、思わず読んでしまいました」
「どういう方がレポートしているのですか?」
「「現代ビジネス」が7/29に配信しているのですが、配信した方の名前は出ていないのですが、当該の広島県福山市に住んでいない方なので、立場的には第三者です。言葉のやりとりで大学の先生だということが分かります」
「衝撃でしたか?」
「コロナ禍もあり、小規模校を存続した方が良いのに、まだ統廃合と言っている市があることと、その強引さが衝撃でしたね」
「レポートした大学の先生は、いつ頃から関わっているのですか」
「3年前ですね。その方は、統廃合をできるだけやらない方が良いという立場です、そして、行う場合は、丁寧に取り組んで欲しいという考えです」
「だけど、そのようなレポートがインターネットに載るということは、そうはならなかったということですよね」
「概要を説明すると、小中学校7校による「(仮称)千年小中一貫教育校」への大規模な統廃合計画です。その結果、瀬戸内海の離島にある小中学校はすべて無くなります」
「離島に住んでいる子供たちはどうなるのですか?」
「市教委の考えだと、橋を渡って本土の「(仮称)千年小中一貫教育校」に通えということだと思います」
「それも可哀そうですよね。こちらは、廃校にするから向こうに行けというのは。登校できる距離なのですか?」
「私は、登校できるから廃校にしても構わないという発想自体が間違っていると思いますけどね……」
「アンケートか何かで、住民の意思を確認しなかったのですか?」
「アンケートは住民側と行政側が実施しています。結果がかなり違います。2018~19年にかけて住民側のアンケートが実施されますが、結果は統廃合賛成0です。それに対抗して2020年の1月に行政側が実施したのですが、回答世帯数が38(対象世帯数/94)という少なさです。その中で、学校を残して欲しいというのが18ありました」
「行政のアンケートの集約数が少ないですね」
「本来、アンケートというものは、何かを始める前に行うものなのです。ある程度方向性を決めてしまった後で、アリバイ的にやろうとしたため、参加しなかった人が多かったのだと思います。(下に続きます)」
目次
一番の問題は、学校教育法施行規則の規定――「小学校の学級数は、12学級以上18学級以下を標準とする」(第41条)
この規定は、実はベビーブームの時に作られた規定です。つまり、大規模校を作ると子供たちに目が行き届かなくなります。ついては、基準が必要ということで作ったものです。1学年2~3クラスが適正であろうという判断があったのです。その時は、それが上限ということであって、クラス数が少ないのは、別に構わないというニュアンスだったのです。
それが時代を経て、統廃合の規準となっていったのです。規則が一人歩きしたのです。一人歩きを止めるためにも、この条項の撤廃をする必要があります。国会議員は、一体何をしているのかと思っています。一人くらい問題意識をもって取り組んで欲しい問題です。
学校というのは、地域の中心的な機関です。特に、小学校は子供を通して、親どうしが地域を舞台に関わるきっかけを与えてくれます。また、子供たちも学校という場を通して、地域の様々な年齢層の子供たちと関わることができます。
単に授業を受ける場というだけではなく、地域のネットワークの中心的な役割を果たしてきたのです。そういった面を全く見ようとせず、「12学級以上18学級以下」という基準を金科玉条のようにしてこの間、学校統廃合が日本全国で、この50年間遮二無二進められます。その結果、地域の弱体化さらには人口減が進むことになりました。
ただ、中には「ただし、地域の実態その他により特別の事情のあるときは、この限りでない」という条項を生かして機械的な統廃合を実施しなかった県や市もありました。実は、そういう自治体の人口は増えているのです。その典型が沖縄県です。前に、このブログで沖縄県石垣市の学校統廃合に反対する地域の取り組みについてレポートしたことがありました。沖縄は反中央という風土が強く遺っていることと、子供たちが通っている学校を地域が守るという気風が強い地域なのです。石垣市も一時は人口を減らしたこともありましたが、今は人口が微増しています。
福山市の教育委員会の強引なやり方は批判されるべきこと
福山市内海町は2003年に、そして沼隈町は2005年に、福山市と合併しました。この2つの町に7つの小中学校があるのですが、それを1つにしてしまおうという、かなり乱暴な計画です。
内海町は離島で、本土とは橋1本で繋がっているような島ですが、この統廃合によって島内に学校が1校もなくなってしまうという事態が起きることになります。
当然のように島の住民から反対の声が上がりました。もともと、町が市に合併する時に、「島の学校を守る」という約束をしていたようですが、それが反故にされた形になっています。まるでどこかの国の約束破りと同じです。
学校は小規模にして、英才教育を目指すべき時代
1か所に多くの子供たちを集めて、検定教科書を使って一斉授業で教えるというスタイルは工業社会の時代までのもので、これからの時代には通用しません。
これからは単に個人の能力を高めるための教育という従来の捉え方にプラスして、国を守るための教育という側面を考える必要があります。
どういうことか。21世紀は国と国同士の大競争時代に突入します。最先端の科学技術を手に入れた方が、その戦いを有利に進めます。米中の経済戦争は、そういった面が多分にあります。やがては、日本はアメリカか中国かを選ばなければいけない時が来るでしょう。
日本として考えなければいけないのは、どっちの陣営につくかということ、最先端の科学者、技術者をどう育てるかということです。アメリカやイスラエルではエリート教育をすでにスタートさせています。能力がある者を早く見極めて、特別に養成するプログラムを導入しています。
エリート教育をするためには、少人数教育で個別具体的な指導が必要です。スポーツもレベルが高くなればなるほど、その選手に一人ずつコーチがつくのと同じです。すべて一律、一斉という発想では、せっかくの才能を潰してしまうことが多々あるからです。
そういうことを考えても、学校統廃合はもうするべき時代ではないのです。それ以外に、不登校や発達障害の子の教育の問題など個別具体的に対応しなければいけない問題が数多くあります。行政の都合で学校を設置するのではなく、子供の権利保障と英才教育遂行のために学校の規模と設置を考える時代です。
時代は確実に流れています。その流れに応じて、自身の思考を変える必要があります。
読んでいただき、ありがとうございました。
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