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時事雑感 ―― 大相撲と政党政治 / 組織の歴史と伝統、それを忘れると衰退への道を歩むことになる  

  • 2021年7月20日
  • 2021年7月20日
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「昨日の大相撲、白鵬と照ノ富士戦を見ましたか? 両者から、物凄い「気」が出ていて、ブラウン管越しにそれを感じてしまう程でした」

女性

「泣いていた親子が映し出されていましたよね。あれは白鵬の家族なのかなと思いましたけど……」

「それは分かりませんが、私があの場にいたら勝手に涙腺が緩んだと思います。ブラウン管越しで感じる位ですからね」

女性

「よく、おっしゃっていますよね。勝手に目が泣いていると。そういう状態だったのですね」

「二人の今までの思いが狭い土俵の上で交錯して、凄まじい「気」となって飛び散っていたのです。めったにない経験です」

女性

「照ノ富士を応援していたのですけどね、ケガでかなり下まで落ちてしまって、ここまできたので是非勝って欲しかったのですけど、白鵬が勝っちゃいましたね」

「日本人は判官びいきなので、照ノ富士を応援した方が多かったと思います。ただ、結果はともかくとして、相撲界は終盤2日間の白鵬の取り口を問題にしているようですね」

女性

「ただ、優勝は優勝ですよね。そこには、何のルール違反もないんでしょ」

「ルール違反はありません。別に白線の内側なら、どこで仕切っても構いませんし、張り手が禁じ手ではありません」

女性

「じゃあ、何の問題もないので、おめでとうで良いと思いますけど……」

「相撲をスポーツと考えるならば、それで良いと思います。ただ、相撲は神事として発展してきた歴史があるので、その歴史を踏まえて判断されるべきだと思います」

女性

「そうなると、部屋や協会でそういったことを教えてもらってきたのかという問題が出てくると思います。彼はモンゴルの方ですよね。日本の伝統、武士道について理解していなかったのではないかと思います」

「その辺りは分かりませんが、ただ狭い相撲社会の中で長年綱を張ってきたのでしょ。理解していると思いますけど……」

女性

「ここからが本論です ↓」

 相撲はスポーツではなく神事

大相撲名古屋場所の最後の取り組みは、お互い全勝同士、横綱白鵬と大関照ノ富士戦という、2度とないようなシチュエーションの中での取り組みでした。普通に終わっていれば、白鵬全勝優勝おめでとうとなるのですが、相撲はスポーツではなく、もともと神事として発展してきた歴史があります。それを踏まえて、総てが判断されることになります。

どのような神事なのか。先人は禍をもたらすカミが土中から出てきて、この世で厄(わざわい)を引き起こすと考えたのです。厄をもたらすカミを土の中に閉じ込めておく。体重が軽い人では、それを跳ね除けてこの世界に出てきてしまう。この世界に出て来ないように、清めの塩を撒いて体格の良い若者が済んだ心で土を踏み固める。そうすれば、厄災を免れることができ、人々は平穏に暮らすことができるという言い伝えから来たものです。済んだ心を体現するために、ちょんまげを結って褌一丁で土俵に上がります

土俵を一段高い所に設置するのは、神事たる所以でしょう。俵によって結界が張られて、そこは神聖な場所であり、悪しきカミとの戦いの場所なので、女人はそこには上げません。それをかつて男女平等という観点から意見を言った人がいますが、弱き女性を悪しきカミの危険に晒すことは出来ないという武士道精神の考えから来ているものです。見当違いの批判です。

(「とさぶし」)

 神事としての伝統行事を守ることができるか

今回の白鵬の勝ち方について、マスコミの多くは批判的です。これについては、あのマスコミがということで少し意外な感じがしました。白鵬の立場からすると6場所休んで、絶体絶命という状況で臨んだ今回の名古屋場所です。現代スポーツという観点から、その気力溢れる相撲の取り組みへの執念と執着を評価しても良さそうと思いきや、そのような報道をしたところは読んだ限りではありませんでした。

「大一番で見せた荒っぽいかち上げや張り手、勝敗が決した後の派手なガッツポーズは物議を醸すだろう」(『産経』)と予言した通り、「さすがにこの2日間の相撲で協会も堪忍袋の緒が切れたのではないか」とある部屋の親方のコメントを載せたのが「日刊ゲンダイ」です。これまで万歳三唱、観客への黙とう教養、負けての物言い要求、6場所連続休場による「注意」など、白鵬については、角界の中に土俵外のことでいろいろ辛口批判をする人もいれば、その優勝回数に表れているように相撲の上手さと力強さにより土俵上で結果を出してきたのが白鵬です。評価が2つに分かれていたのでしょう

いろいろ問題はありつつもただ今回、特に最後の2日間の土俵で横綱らしくない取り口を見せてしまいました。ルール違反ではないものの、相撲道から外れた取り口でした。何をしても勝てば総て許されるとなってしまえば、神事とは言えなくなってしまいます。相撲という伝統を守らないと、という危機感が協会の中に走っていると思います。

白鵬はすでに日本国籍を取得していますので、将来は部屋持ちの親方として後進の指導にあたる予定でいるでしょう。ただ、そうなるとこのままでは「スポーツ相撲」を協会が認めるということになります。協会がどう動くのか、あるいは動かないのか、注目されるところですが、相撲の原点に戻って判断しないと、相撲に対する支持も人気も無くなっていきます。


(「Yahoo!ニュース/Yahoo! Japan」)

 相撲と政治、ジャンルは違うが原点に立ち返って考える点では同じ

ちょうど今日の朝刊(7/20)に世論調査の結果が掲載されていました。内閣支持率が下がっているというニュースです。相撲と政治、ジャンルは違いますが、ある程度考え方は共通しています。歴史と伝統を尊重しなければ必ず支持者は離れていくということです。

内閣支持率低下の一番の原因は、政権政党の自民党の「立ち居振る舞い」が一番の問題です保守政党を自認するのであるならば、皇統の問題を解決し、憲法改正に向けて議論を進める必要がありますが、余り真剣味が感じられません。かといって、隣国の中国に対して毅然と対応しているかと言えば、中国共産党100周年の祝電を打ったり、ウイグル問題で国会決議もできないあり様なので、後は推して知るべしです。

そういった状況を見て「最近の自民党は、立憲民主党と主張や有り方に大きな差異はないように思えることもしばしばある」(阿比留瑠比「与党も野党もリベラルばかり」『産経』2021.7.15日付)と言われる始末です。

現内閣は大局観がなく、目先のことしか見えていないため、重心が上がってヘッドがふらふらしています。コロナ対応や非常事態宣言の出し方、オリンピックの無観客対応など、本来ポイントがとれる場面なのに、逆に失点を重ねてしまっています。たった今、日韓会談の中止の報が入ってきました。練習不足で試合をするようなものです。ロクな結果が望めません。このタイミングで行えば、さらに支持率が下がったでしょう。時間をとって苦労して調整しても、何の益もありません。流して正解です

(「Reader Store」)

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