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経団連会長が「金融業界」から初選出 ―— 六次産業化の時代を象徴する人事 / 産業の「垣根」が取り払われる時代

「経団連の会長が金融業界から初めて選ばれました」

女性

「大きなニュースとして報道されていますが、私には今一歩その意義が分かりません」

「『日経』は1面トップで報じましたからね。経団連というのは、日本経済団体連合会の略称で、日本を代表する大企業の団体です。会長は「財界総理」とも呼ばれています」

女性

「その「財界総理」ですが、今までは製造業から選ばれていたそうですね」

「新日本製鉄、トヨタ、東芝といった製造業から選ばれてきていて、それが一つの慣例だったのです」

女性

「どうして、そういう慣例がつくられたのですか?」

「経済を支えるのはモノづくりという考え方が強かったと思います。一番象徴的なのは、新日本製鉄から会長を3回出していることです」

女性

「1期が4年なので、12年間新日本製鉄が会長職を占めていたことになるのですね」

「国家は鉄なり、という言葉もある位ですからね。特に、戦後すぐの頃は重厚長大の製造業に重きが置かれていたと思います」

女性

「ここ最近は化学工業が多かったのですね」

「現在の十倉会長が住友化学ですが、住友化学からは2人目です。その間に東レから1人出ています」

女性

「そして金融業から初めてということですね」

「かつて金融業は虚業と悪口を叩かれたこともありますが、そういう時代ではないということです」

女性

「ここからが、本論です ↓ 表紙写真は「PR TIMES」提供です」

 産業の流動化が進む――産業の「垣根」が取り払われる時代

経団連は来年の5月で退任する十倉会長の後任として、日本生命の筒井副会長を起用する人事を発表しました。金融業からの会長選出は初めてですが、人選にあたり「もう製造業にこだわる時代ではない」と十倉会長は語ったと言われています。

実態経済を見れば、経済のソフト化と個別化が進んでいます。単純にモノを作って売るのではなく、デザインや他のモノとの組み合わせといった企画、さらには必要な人に必要なモノを売るためのピンポイントの情報が重視されるようになってきています。

日本の産業別就業者の割合を見てみると、第一次産業が3.4%、第二次産業が23%、第三次産業が70%です。産業の中心が第一次産業から第二次、そして第三次へと移っていくことを産業構造の高度化と呼んでいますが、日本も戦後は高度化が進展しました。第一次産業は採取産業、第二次産業は加工業、第三次産業はサービス業という区分けですが、今まではそのテリトリーを頑なに守ってきたところがありますが、これからの時代はその枠を取り払うような動きが増してくると思われます。金融業はすべての産業分野に関係がありますので、今回の人選は、ある意味象徴的な出来事だと思っています。

(「ライブドアニュース-livedoor」)

 目指すは「農業の六次産業化」

第一次産業というのは、農林水産業です。農林水産業の担い手不足が深刻だと言われていますが、これからは第二次産業、第三次産業分野といかに合体していくかが重要だと思います。そうすることによって、担い手不足の問題や食料や植林の問題が解決していくのだと思われます。

農業人口が減り、農家は減少している一方で、農家一戸あたりの耕作面積は増えています。機械化、企業化の条件が整いつつあります。それはもうすでに動き始めています。一次×二次×三次=六次ということで、「農業の六次産業化」という言葉も生まれています。耕作地への大型機械やAIの導入により能率的な作物生産を行い、それを自前の工場で製品化します。例えば、最近の事例で言えば、規格外の果物をジュースとして加工販売するのです。

そしてそれを独自のブランドに仕立てて、国内や国外に販売します。SNSを使って、商品のPRを日夜配信し、販路を開拓するようにします。そのように生産から加工を自前で行い、そこに付加価値を付けて、独自の販売ルートで売りさばくのです。それらを一貫した流れとする企業を立ち上げることができますし、そうすればその会社の社員が農業に関わることもできます。農業のイメージが変われば、そういうかたちなら農業に関わっても良いと思う人が現れると思います。

(「ウェルカム上野もとしろ」)

 六次産業化の時代―—金融業に求められるもの

日本の林業も担い手不足が言われて久しいのですが、日本の国土の66%が森林です。この森林から流れでる水の栄養素が地域の農業や川魚、さらには沿岸漁業を支えていると言われています後継者不足を解消しながら緑を守るためには、林業の六次産業化を進めるしかありません。

幸い日本の木造建築技術は世界的レベルです。日本橋に国内最高層の木造ビル(地上18階高さ84m)の建設計画が今年の1月に着工を開始しました。竣工は2026年9月の予定だそうですが、そういった技術を生かして、様々な製品化を図る時代でしょう。木は何でも使うことができます。身の周りの製品から始まって、大型建築物まで、需要はいくらでもあります

日本には、山を神聖なものとして考えるという山岳信仰の伝統があります。日本人の精神文化に深く根付いていて、山の緑を守りたいという気持ちを多くの人が持っています。林業の担い手がいないというのは、地域教育の問題があると思っています。林業の六次産業化を進めていけば、新たな発展の方向性が見え、後継者も自然に現れるでしょう。そのことにおいて、金融業が接着剤的な役割を果たす時代になると思っています。

(「株式会社スマート・フォレスト」)

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