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再評価される「高専」教育の真価 ―― AI時代に求められる実践力と、日本型エンジニア育成の未来

「今、高専が注目され始めています。知っていますか?」

女性

「コウセンって何ですか?」

「高等専門学校です。略して高専です。デジタル人材の需要がこれから高まるのは必須ですので、そういったことで熱い視線が注がれ始めているのです」

女性

「高専は何年間行くことになるのですか?」

「5年制です。そこからもう少し学びたい場合は、2年制の専攻科があります」

女性

「途中で大学に進学したいと思った場合は、どうするのですか?」

「本科の5年を終えて、もし、大学に進学する場合は、3年に編入することになります。専攻科の修了は大学と同じ扱いなので、その場合は大学院の修士課程を目指すことになります」

女性

「本科を卒業した人は、殆んど就職するのですか?」

「平均すると6割位が就職して、残りの4割が専攻科に進学するか、大学3年生に編入するそうです」

女性

「まだ二人とも小学生なので、差し迫った問題ではありせんが、選択肢として頭の片隅に置いておきたいと思います」

「就職のことを考えるなら、間違いなしだと思います」

女性

「ここからが本論です ↓ 表紙は高専塾「ナレッジスター」提供です」

 高専という独自の教育システム

高等専門学校(通称/高専)は、全国42都道府県に58校あり、日本独自の教育システムと言って良いと思います。1962年の高度経済成長期に、経済界から技術者の養成という要望を受けて創設された5年一貫の理系カリキュラムの高等教育機関です。それ以来63年、これまでに約50万人の卒業生を輩出し、卒業生の多くは製造業、建設業、IT業界などのエンジニアとして活躍しています。

高専で勉強できる学科としては、機械、電気・電子、情報、商船、化学・生物系など多彩な内容となっています。高校の普通課程では受験勉強に追われることが多いのですが、高専では5年間じっくりと理論と実践、そして技術の習得に取り組むことができます。

高専の特徴は、プロジェクト重視の実践的カリキュラムです。実際に手を動かして何かを作る作業が多いので、そういったことが好きな人には向いていると思います。また、普通科のように一斉授業による座学が少なく、探究心が旺盛な生徒には非常に向いています。

(「高専就職・転職ガイド」)

 AI 時代と高専の可能性

日本のものづくりを支えてきた高専は、これからはAI(人工知能)時代に突入する中で、ますます重要な役割を果たすと期待されています。従来の工業製品をAIによってどう進化させるか、という視点が求められるようになってきました。

東京大学大学院で教鞭をとる松尾豊氏のインタビュー記事が『日経』(2025.7.30日付)に載っていましたが、優秀な学生に出身校を聞くと、「高専」と答える生徒が多いと言っています。また「文献を読むのが大学生だとすると、高専の学生は現場を見て手を動かす」と語っています。

高専では、競技会や発表会への参加も盛んで、課題に取り組む中でチームワークや協調性も育まれます。こうした実践的な活動は、一般的な高校では得難い経験であり、高専ならではの魅力と言えるでしょう。

(「高知高専」)

 進学より実学、高専が再評価される時代

近年、首都圏の私立大学の約6割が定員割れをしていると言われています。地方の大学も厳しさを増しています。その一方で、高専は就職率が非常に高く、人気が続いています。そのため、一般の高校よりも偏差値が高く、特に上位の高専では偏差値60以上が目安とされています。こうした状況から、山梨県や福岡市では、新たな高専開校への機運が高まっていると言います。

高専での学びや人との出会いを起点に、スタートアップ企業を立ち上げるケースも増えています。そういった動きは、特に1990年代後半から広がったそうです。例えば「さくらインターネット」は、社長の田中邦裕氏が舞鶴高専の在学中に起業し、今や年商300億円を超える規模にまで成長しました。

田中氏は高専の強みについて「10代後半の5年間に実践的な技術系教育を徹底的に学べる強みがある。高校で受験勉強、大学2年まで一般教養で、3年になってからようやく専門では大きな差がついてしまう」と述べています。こうした効率的な学びの環境に、多くの人が価値を見出し始めているのです。要するに、高専では5年間を専門の勉強に充てることができるのですが、高校-大学のコースを取った場合は、半分くらいの時間が無駄になってしまうと言っています。単に、何となく大学進学するよりも、明確な目的をもって高専を選ぶことが、これからの時代の有効な選択肢となるでしょう。

(「日本経済新聞」)

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