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「失われた30年」(その4) ―― 消費税と立法制度の歪み / 財務省主導体制がもたらした災厄の30年

女性

「今日もバブル経済の話題ですか?」

「官民揃っての隠蔽工作がなされていますので、白日の下に晒した方が良いと思います」

女性

「新聞やテレビ、マスコミは一切報じませんからね」

「そういう意味では、見事だと思います。中国のことを共産党独裁国家と言って批判しますが、日本も官僚独裁国家と言って良いと思います」

女性

「中国では選挙はありませんが、日本では選挙がありますよ。独裁国家とは、言えないと思います。言い過ぎだと思います」

「トランプ大統領ではないですが、日本は選挙ばかりしているところがあります。だから、大丈夫と思ってしまうのですが、それは錯覚です」

女性

「どういうことですか?」

「一番権力を持っている人たちを選挙できちんと選んでいるかどうかが一番大事なポイントです」

女性

「国会議員を選んでいますよ。立法府の構成メンバーなので、権力機関の一員と言っても良いと思いますけど……」

「日本は官僚主導国家です。一番問題なのは、彼らは選挙の洗礼を受けません」

女性

「国会や内閣が政治的にリードすれば良いのではないでしょうか?」

「理屈の上ではそういう論法が成り立ちますが、専門的な知識が豊富にないとなかなかリードは難しいと思います。そして、日本の国会は150日の会期制を採っています。これは先進国で日本くらいのものです」

女性

「他の国はどうしているのですか?」

「例えば、アメリカやドイツは通期です。ですから年中議会で議論をしています。日本の国会は1年間の半分くらいは休んでいます。その機関が官僚をコントロールなどできません」

女性

「ここからが本論です ↓ 表紙は「あおい経営支援」提供です」

 戦前の制度を引きずる日本の国会制度

敗戦によって新たな日本が始まったかのような錯覚を抱く人は多いのですが、実際には戦前の制度や慣習を「遺物」として現在まで引きずっているものが多くあります。その一例が国会の制度です。帝国憲法には「法律ハ帝国議会ノ協賛ヲ経ルヲ要ス」(第37条)とあり、議会は単なる協力機関という位置付けでした。国務に関わる重要問題の審議は、天皇の諮問機関である「枢密院」(第56条)で行われていたのです。

戦後に制定された日本国憲法では、国会は「国権の最高機関」(第41条)と明記され、国会の地位は大きく変化しました。それに合わせて国会審議の期間や運営方法について新たに制度設計が求められました。しかし、1947年に制定された国会法では、通常国会の会期を150日と定め、会期内に審議未了の法案は廃案にするというルールを作ります。これは、当時の立法関係者に帝国憲法下の感覚が残っていたことの表れだと思いますが、よく考えるとおかしなルールです。

150日の会期制、審議未了の法案は廃案とする制度は、現代においては不合理で非効率です立法府と行政府が円滑に協力するには、アメリカやドイツのように通年で活動する「通期国会」への移行が必要です。官庁は休日を除いて1年中業務をしていますので、それに国会も対応すべきでしょう。通年で法案審議が可能であれば、行政との柔軟なタイアップも実現すると思われます。そして、せっかく審議したものを途中で止めてしまうのも不合理な話です。

(「You Tube」)

 消費税導入の誤算とその弊害

現在、参議院選挙戦の真っ最中であり、消費税が論点の1つになっています。経済学的に言うと、不要なものです。消費税は経済活動を抑制する効果が強く、買い控えが起きるからです。特に、食料品や日用雑貨などの売れ行きに大きく影響を与えます。売り上げが抑えられるということは、業者の利益が抑えられ、そこで働いていている従業員の給与が抑えられるということになります。この30年、実質賃金が伸びないと言われています。消費税の導入の影響は多分にあると思います

税金の原則は、あるところから取り、ないところからは取らないというものです。消費税は所得の少ない人でも払わざるを得ないものなので、公平の原理から外れています。税制の本来目的は、経済的格差を是正しつつ、集めた税金を公共の福祉に活かすことです。欧米には「ノブレス・オブリージュ(高貴な方の社会的義務)」という道徳観がありますが、富裕層がより多くの税を負担する構造になっています。日本の税制もそのような倫理観に基づいて見直す必要があります。

1989年に日経平均株価の史上最高値を記録したのですが、この年に3%消費税が導入され、1997年には5%に引き上げられますその直後、就職氷河期に突入し、1998年から80%台に落ちてしまいます。新卒者の内定率は普通であれば100%近い数字が出るのが当たり前ですが、増税のタイミングが悪かったということです。

【大卒者の内定率】

1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年
97.3% 88.7% 86.3% 80.0% 77.4% 80.5% 81.7% 82.9%

(「学校基本調査」による)

(「ヒストリスト[Historist]」)

 経済センスなき政策と公的資金の浪費

経済というのは循環で考えると分かりやすいです。経済は本来、資金や材が社会全体を巡る「循環システム」であり、その流れを円滑に保つのが財政政策の目的とするところです。ところが、当時の大蔵省(現財務省)は、財政を主婦の家計簿的な発想で、支出を抑えることに拘りました。

バブルを無理矢理に破裂させたので、当然、不況風が吹き始めます。市中により多くの資金が回るようにしなければいけません。財政出動を考える場面です。しかし、逆に消費税を5%に引き上げ、不況をさらに悪化させてしまいました。経済センスがまったくなかったということです。そして、その延長線上に大型倒産が待っていたのです。下に主だったものをまとめました。

会社名 破綻・処理時期 概要・備考
北海道拓殖銀行

(拓銀)

1997年11月 戦前から続く有力地銀。バブル期の不動産融資の焦げ付きで破綻。経営破綻した日本で初の全国地銀。
日本長期信用銀行(長銀) 1998年10月 バブル期の巨額不良債権で破綻、国有化(後に「新生銀行」へ)。長期信用供給の中核だった。
日本債券信用銀行(日債銀) 1998年12月 官民の債券業務に特化。長銀同様に国有化され、その後「あおぞら銀行」へ。
山一證券 1997年11月 四大証券の一角。簿外債務2,600億円超。自主廃業。涙の記者会見が話題に。

 

上の3つの銀行はいずれも「国策銀行」と呼ばれるような存在であり、財務省からの天下りも多数存在していました。銀行業務には現場感覚が欠かせません。単なる金貸しではなく、どの程度の融資をしてよいのかを判断する上で、担当者の人間や企業を見抜く力が試されています。机上の学問だけで物事をすべて考えているようでは、経営判断を誤るのはある意味必然だったのです。

上記の金融機関の破綻処理に公的資金が投入されます。公的資金は第一次(1995年)、第二次(1998年)、第三次(1999年以降)と全部で3回、合計50~60兆円の公的資金が民間金融機関の破綻処理に使われました。バブルを崩壊させた直後に、財政出動を行っていれば、これほどのコストは不要だったと思います。

公的資金は国民の税金です。民間の倒産処理に税金が使われるということが何故行われたのか。財務省から見れば、自分たちOBが多くいる「身内の銀行」という感覚だったと思います。公的資金投入に対しての制度的チェックもありませんでした。救済のために税金を投ずることに、何のためらいもなかったようです。官僚の判断一つで巨額な公費が動くのが日本です。冒頭の2人の会話の中で、「官僚主導国家」と言ったのは、こういう意味です。

(「朝日新聞」)

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