「また、円高基調に戻りましたね」
「今日の終値は130円でした。円安がかなりなスピードで進んだので、その反動と、アメリカの景気後退を予想してのドル売りが原因と言われています」
「このまま、今度は円高が進むのでしょうか?」
「「相場は相場に聞け」というのが、昔からの言葉です。私はここしばらくは円安基調で推移すると思っていますので、110円台に戻ることはないと思っています」
「経済活動は自然現象と捉えた方が良い、数字を作るのではなく、数字を見て経済活動や政策を考えなければいけないということを前々からおっしゃっていますものね」
「その通りですね。悪い円安という変な言葉を使われていたことがありますが、出てきた数字を良いとか悪いと言うことはしない。大事なことは、それに対応するということです」
「その話を聞いて思い出したのですが、最低賃金を公的機関が決めるというのは、どうなんですか?」
「何か、少し話が飛躍したと思うのですが……。すごい「連想力(笑)」ですね」
「昨日のニュースで取り上げられていたものですから。バイトの金額はこうやって決められるんだと思ったのです。そういうものの数字は、あらかじめ決めてしまって良いということですね」
「法的根拠は、最低賃金法です。賃金は払われているものの、生活できないような金額ではいけないだろうということで、最低ラインを設定しようという発想から作った法です。今から60年位前に作った法律です。ただ、いろいろ問題はあると思っています」
「例えば、どういうところでしようか?」
「各論については本論で話したいと思いますが、2つだけ指摘しておきます。私は数字を決めても構わないと思いますが、あくまでも「後追い的」に決めるべきもの。これが第一点。2つ目は、審議会を中央と地方に分けていますが、もう分ける必要はないと思っています。無駄な経費、そして無駄な時間だと思っています」
「ここからが本論です ↓」
最低賃金は中央が決めれば良い
新聞報道によりますと、中央最低賃金審議会は2022年度の最低賃金の目安を全国平均で時給961円にすると決めたとのことです。「全国平均」とあるのは、地方にもそれぞれ最低賃金審議会が47 都道府県にあって、それぞれ地域ごとに決めているためです。
中央は厚生労働大臣の諮問機関として、地方は各都道府県労働局長の諮問機関として,毎年,審議会に最低賃金に関わる調査・審議が諮問され検討されます。中央であれ地方であれ,いずれの審議会も公益代表,労働者代表,使用者代表の各同数の委員で構成され,中央審議会の場合は,各代表 6 名,計 18 名で,地方は東京と大阪は各代表 6 名、計 18 名、それ以外は各代表 5 名,計 15 名で構成されます。
丁寧と言えば聞こえは良いのですが、正確に言うと馬鹿丁寧。21世紀の現代においてはもう、中央審議会だけで全国一律で決めれば良いと思います。それで決めても大勢に影響がないからです。無駄な時間と経費を削減しましょう。
(「Yahoo! ニュース-Yahoo! JAPAN」)
最低賃金を上げれば良いと思っているフシがある
世の中の論調として最低賃金を上げれば良いと思っているところがあります。実際に、政党の中には、最低賃金を1500円と公約に掲げたところもあります。労働者の票が欲しくてこういうことを言っているのでしょうが、最低賃金の適用実態が全く分かっていないことがこれで分かってしまいます。
どういうことか。まず、大企業は最低賃金とは全く無縁です。関係がある人は、パート、派遣といった非正規で働いている人たちです。彼らを専ら雇っている中小企業からすれば、仮に最低賃金が1500円に上がれば、廃業もしくは倒産する中小企業が続出します。家族経営のような企業は、人を雇うことができず、家族だけですべてを賄うことを考えるでしょう。つまり、求人数は確実に減ります。
ただ、人件費が高くても雇わなくては無理な業種や企業があります。この場合は、無理をせず廃業するか、収益があることを見込んで従来通り人を雇うという2つの選択が待っています。積極的に人を雇ったものの、需要が伸びなければ倒産することになります。結局、1500円に上げたものの、求人数は絶対的に減るため、労働者側からすれば受け取る賃金がトータルで見れば少なくなるという皮肉なことが起きます。何が原因かというと、非現実的な賃金の金額設定をしたからです。
(「読売新聞オンライン」)
労働者を個人の存在として捉えると、判断ミスが生まれる
最低賃金の発想の原点は、労働者を完全な個人として捉え、その人が生活できるかどうかということから出発しています。
そこにどういった問題があるのか。ほんの一部の例外を除いて、人は何らかの人間関係の繋がりと、それまで生きてきた経済活動の蓄積の中で生存しています。そのことを、完全に見落としているのです。
例えば、パートで働いている40代の女性。実は、旦那は外資系企業で働くエリート社員、アメリカに赴任して何千万というサラリーを得ている。ただ、家に一人でいてもつまらないので、人や社会との繋がりを求めてパートで働いているという人もいるでしよう。ただ、上辺では何も分からないのです。
70過ぎの初老の男性。年金をもらいながら、週3回くらい軽微な仕事のアルバイトをしている。周囲は年金だけでは足りないから、働いているのだろうと思っているが、本人は健康とストレス発散のために働いていると思っている。実際に、億単位の金融資産があり、働かなくても充分生活はできるのです。
何を言いたいのか、もうお分かりだと思います。要するに、現象面だけ見て、政策を決める、最低賃金の金額を決めることの危うさを言っているのです。この延長の発想に、高齢者へのバラマキ給付金があります。高齢者はすべて生活困窮者だと思い込んでしまっています。ただ中には、母子家庭で本当に生活が困っている人もいると思います。ただ、その区別を外観では分からないのです。分からないまま、実は勝手な推察を入れて手探り状態で金額を決めているのです。
最初に地方の審議会は無駄であり、必要がないと言ったのはそういうことです。審議会で議論ではなく、労働市場を調べれば今は簡単に適正で客観的な数値を掴むことができると思います。「下手な考え休むに似たり」です。
(「アキラ海外ブログ」)
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