「「日本の神話」伝承館、というのが東京の世田谷区(豪徳寺)にあるのですが、知っていましたか?」
「いえ、全然知りませんでした。初耳です」
「作家であり、日本画家の出雲井晶(いずもい・あき)氏が1997年に渋谷区の自宅の一部を改装して開館したのが始まりです。その後、日本文化交流財団に移管され、2014年以降作品も順次移管しているとのことです」
「私は神話については、古事記や日本書紀に書かれているということぐらいで、殆ど何も分かりません」
「今度、その伝承館に足を運んでみて下さい。土日に限り開館しています。入場は無料です。ところで、天照大神の名前位は知っているでしょ」
「ええ、それは有名な神さまですから……」
「イザナギ、イザナミの神さまは?」
「それも聞いたことがあります」
「それだけ知っていれば大したものですよ。戦後は神話教育を全くおこなっていませんからね」
「どうして、止めてしまったのですか?」
「きっかけはGHQの第三の指令(1945.12.15)です。国家と神道の分離を指示し、その中で国が神話を扱うことを禁止したのです」
「いわゆる、墨塗り教科書ですか」
「墨塗り教科書は、その指令が出るまでの移行的な措置で、その指令を受けて翌1946年に暫定教科書が配られ、2月には教科書検閲基準が制定されます」
「それが現在の教科書検定制度として残っているのですね」
「いえ、教科書検定制度そのものは、明治時代からありますので、それとは別です」
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「なんだ、今の教科書検定が反日的なのは、GHQが絡んだからだと思いましたよ」
「その辺りは戦後史の秘部として高校でも大学でも教えませんが、本来はきちんと教えるべきことでしょう。そして、彼らの指令はもう有効ではないのですが、その延長線上で物事が進んでいます。それもまたおかしなことです。改めて日本の国家として何をどのようにするのかをきちんとする必要があります」
「戦後総決算と言っていたのですが、何も進んでいないのですね」
「国内で足を引っ張る勢力がいますからね」
「その点でいつも不思議に思うのは、反米を掲げる人に限って、占領政策に対して無批判ですよね」
「何も考えていないということでしょう」
「ここからが本論です ↓」
日本神話は民族の貴重な文化遺産
神話が日本の教育現場から排除されて久しいのですが、神話は先人が生み出した貴重な文化遺産です。神話を有すること自体誇っても良いことです。まさか、神話を教えると、軍国主義者になると真面目に思っている人は誰もいないと思います。神話の復権を考える時代だと思います。
神話は科学的ではない、という反論が聞こえてきそうですが、「科学」が教育の基準と考えるとおかしなことになります。実際に、高校の『現代社会』や『倫理』では4大宗教をはじめ、様々な思想を教えています。科学とは言えない、共産主義思想も教えています。それらは、科学という基準ではなく、人類が長い歴史の中で築いた知的文化遺産という捉え方だと思います。神話も同じです。
ましてや、日本の国土と風土の中で先人たちが、この国に様々な思いを込めて書いたものです。日本人として学ぶ必要があると思います。
神話を学ぶことにより右脳を鍛える
神話を学ぶメリットは右脳を鍛えると同時に、古き昔の日本を考えるきっかけを子供たちに与えることです。小学校の低学年の子供たちの右脳を鍛えるのには、神話は大変良い教材なのです。
脳の研究が進む中で、右脳はイメージ力、左脳は論理力を司っていることが分かってきました。人間が方程式や論理的な文章を理解できるのは左脳のお陰、ボールを打っている自分のイメージ、設計図を見ただけで建物のイメージを頭の中でつくり上げることができるのは、右脳の力によります。脳も一種の「筋肉」ですので、身体の筋肉と同じように鍛えることができます。というか、発達できるタイミングがありますので、それに合わせて教材を提供することが重要なのです。
幼児期は、周りのものを擬人化して捉えようとします。それを発見したのは、スイスの発達心理学者ジャン・ピアジェ(1896~1980)です。
幼児にしてみれば、身の周りのことが、すべて謎だらけです。疑問が多すぎると、次に進めないという心理が働き、一種の自己防衛本能が働き、すべての現象を自分と同じように生命あるもの、擬人化して理解しようとします。
太陽さんは今日は、元気かな? 星さんは隠れているね、こんな具合です。思想的には、アニミズムと言います。その時に太陽の光と熱は単なる化学反応、星が見えないのは雲のためなどと「科学的に説明」をすると、せっかくイメージを膨らませて創造の世界に入ろうとしたのに、幼児期の発達のチャンスを潰す可能性があります。幼児期の教育では、科学は万能ではないのです。
話を元に戻します。小学校の低学年は、発達段階的には、周りのものを徐々に客観視できるようになっていきます。自分が住んでいる地域や国に対しても関心を寄せ始める頃です。そして、神話は全く荒唐無稽な話ではなく、「ある史実を背景として、日本人の創造力が生み出した物語」(池田雅之、三石学編『熊野から読み解く記紀神話』扶桑社新書.2020年/17ページ)なのです。
だからこそ、子供たちの創造力を掻き立てることができるのです。時代を遡って日本の国土をイメージする、多くの神さまがどのような思いで、何を考えたのか、右脳を鍛練するには最適の教材です。
芸術やスポーツの分野で活躍しようと思う場合は、右脳を鍛える必要があります。「スポーツ選手と右脳?」と思うかもしれませんが、例えば野球選手のバッティングは完全に右脳を使って打っています。ボールを見て、考えて打っているならば左脳ですが、140キロのボールを見ようとして打てるものではないと言います。投げられた瞬間にボールの軌道をイメージして、それに合わせてバットを出していくということだそうです。確かに、見て打っているならば、プロなのだから打率が7割、8割あってもおかしくない、それが3割で1流バッターということは、見ないで打っているということなのでしょう。
ゴロも同じだと言います。ショートバウンドはイメージを作っているので取れるそうです。その時に、「バウンドを合わせる」「1点差勝負、慎重に取ろう」とか余分なことを左脳が考えると、エラーをすると言っています
AIが弱いのは、人間の右脳の働きの部分です。AIというのは、数式ですべて処理しようとします。人間で言えば左脳の働きです。左脳をいくら鍛えても、AIにはかなわないでしょう。つまり、これからの時代は、右脳の鍛練を意識した教育を考える必要があるのです。
神話教育の話は、さらに続けたいと思います。
もう時代は21世紀、令和の時代です。いつまで占領政策の呪縛にしばられるのでしょうか。教育内容、教育システム、教員養成、すべて抜本的に考える時期です。
読んで頂きありがとうございました。
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