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高市総理の所信表明演説を分析する (その2) ―― 「物価高・内部留保・教育危機」から見える国家運営の構造的欠陥

女性

「高市内閣の支持率が今までの内閣の中では最高の75.4%となったそうです」

「彼女の熱量が支持率を押し上げたと思っています」

女性

「一番得をしたのは、維新かもしれませんね」

「自民・維新の連立の支持者が6割を超えましたからね。もともとは大阪の地方政党でしたから、全国政党となり、勝ち馬に乗ったかたちになりました」

女性

「公明党は乗り損ねた訳ですね」

「公明党は今後は立ち位置がものすごく難しいと思っています」

女性

「中道を貫けば良いと思いますけど……」

「立憲はそれを意識してか、しきりに中道と言っています」

女性

「公明党との連携ですか?」

「あり得ると思います。ただ、公明と共産は犬猿の仲ですので、立憲がどちらを選ぶかでしょうね。心情的には共産だと思いますが、議席や票を考えれば公明でしょう」

女性

「何かますます混沌状態が続きそうですね」

「表面的には様々な動きがあると思いますが、大事なのはこの社会を動かしている官僚組織との関係です。安倍総理のように財務省と緊張関係を保ちつつ自らの政治信条に則った政治を高市総理が推し進められるかどうか、そこを見守りたいと思っています」

女性

「ここからが本論です ↓ 表紙写真は「読売新聞オンライン」提供です」

 物価高対策に有効なのは消費税を下げること

「内閣が最優先で取り組むことは、国民の皆さまが直面している物価高への対応です」(所信表明演説)と述べながら、次の文脈で語られているのは「賃上げ」の話です。曰く「継続的に賃上げできる環境を整えることが政府の役割です」。要するに、環境が整うまで物価高を我慢しなさいと言っているようなものです。実際に「実質賃金の継続的上昇が定着するまでには、一定の時間を要します」と述べています。

政策には長期で語られるものと、短期で考えなければいけないものがあります。現在の日本の生活状況を調べると、相対的貧困率がOECD(38か国)の中で、ワースト6位になっています。相対的貧困率というのは、国民の平均的な所得の半分で生活している人の割合です。中間層以下が経済的に疲弊していることがこのデータで分かります。

即効性のある物価対策は、消費税減税です食料品関係の消費税については現在軽減税率の8%を適用していますが、これをさらに下げて0~3%にするのです。これだけで大きな物価対策となりますし、実行できれば支持率も上がるでしょう。しかし、財務省に対する遠慮なのか、この点に触れていません。そもそも、消費税は消費は「悪」という発想に基づき、国境が地続きのヨーロッパで直接税では完全に捕捉できにくいために編み出された制度です。日本のような島国で採用する必然性は乏しいのです。財務省は社会保障の安定財源と言っていますが、お金に使途が書いてある訳ではありません。そのように物事を固定的に考えること自体が、政策の硬直化を生んでいます。

(「公明党」)

 企業の内部留保をどう活かすか――成長投資の視点から

高市総理の所信表明演説――「物価上昇を上回る賃上げが必要ですが、それを事業者に丸投げしてしまっては、事業者の経営が苦しくなるだけです」。大企業と中小企業は同じ事業者でも体力が大きく違いますし、中小企業の中でも成長している企業もあり、一概に言えない部分があります。重要なのは、政府が投資環境を整えることです。

企業にどれだけの余裕があるのかを知るには、内部留保の推移とその総額が分かればおよそのことが分かります。2024年7~9月期において、資本金10億円以上の全産業大企業の内部留保が 約 553 兆円(前年同期比+約26兆円)となり、過去最高を更新しています。内部留保というのは、貸借対照表上の「利益剰余金」を指すことが多く、現金・預金として手元にある資金という意味では必ずしも同じではありません。ただ、企業はこういった剰余金があれば、成長が見込まれる分野に積極的に投資をして収益を上げることを考えなければいけないのです。

内部留保の多さは、経済全体で見れば資金の滞留を意味します。家計の貯蓄とは性質が異なり、本来は「循環」させるべき資金です。経済は資金が巡回すればする程、景気が良くなるからです。それだけの資金が眠っているということは、経済全体を考えれば良いことではありません。その点が家計とは違った発想で捉える必要があるのです。高市総理もその辺りについて問題意識があり、内部留保を現預金として保持している総額約115兆円ほどの資金に金融庁を通じてメスを入れるつもりのようです。しかし、問題は取り崩しではなく、「投資できる環境づくり」です。企業がリスクを取って挑戦できる制度設計こそ、政府の腕の見せどころです。

(「ビジネスジャーナル」)

 力強い経済成長をするためには人を育てる必要がある

「中長期的には、日本経済のパイを大きくしていくことが重要です」。ここまでは誰もが納得します。どうやってパイを大きくするかが問題です。言うは易く行うは難しです。永続的にパイを大きくしようとするならば、人間を育てることを考えなければいけません。高市総理はその点、「強い経済の基盤となるのは、優れた技術力であり、イノベーションを興すことのできる人材です。公教育の強化や大学改革……」(所信表明演説)と述べています。

「公教育の強化」の具体的なプランがどのようなものか知る由はありませんが、現実を見る限り悲惨な状況です。ちょうど今日の『産経』(10/29)の1面トップは「小中不登校 最多35万人」「いじめ認知件数76万件」でした。全国の小中学生の人数は、908万3千人ですので、それを分母にして計算すると、3.82%となります。つまり、26人に1人の割合で不登校の子どもがいることになります。クラスで1~2人が不登校になっている計算です。教員の側もハレンチ教員が多く出て、つい最近は小学校の副校長が盗撮で逮捕されています。教育現場では人が慢性的に不足していますし、教員採用試験の合格者の7割~8割が辞退をする県もあるほどです。組織的な教育活動が、何とかぎりぎりで保持されているようなレベルだと思います。

文科省は教育現場の経験のないキャリア官僚が中心となって全国一律一斉教育を推進していますが、限界に来ていると思います。野球ならピッチャー交代の時期です。そもそも作戦を立てる人材と行動をする部隊を完全に切り離して組織を作ったのが戦前の軍隊であり、地に足がつかないような作戦を立て、失敗を重ねました。それが先の大戦の教訓ですが、その時と同じ過ちをしています。教育をめぐる問題は構造的なものです。不登校のケアとかサポートなどで対症療法的なサポートでは事態の根本解決にはなりません。組織そのものの見直しと、公立学校の民営化を含めた抜本的改革を考える段階に来ています。「強化」どころではなく「正常化」を目指すようなレベルです。それが今の教育に求められる最優先課題です。

(「イラストAC」)

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