
「ウクライナ問題をめぐって、米ロの首脳がアラスカで会談を行いました。ところで、何故アラスカなんですか?」

「こういう類の会談は中立国が選ばれるのが常道ですが、適当な国がなかったのでしょう。アラスカは確かにアメリカ領ですが、もともとはロシアだったところです。経済的な理由で1867年にアメリカに売却されましたが、ロシアにとっても馴染がある地ということで選ばれたのだと思います」

「ロシアとアラスカであれば、距離的に近いですからね」

「プーチン大統領は、「隣国」という表現をしていましたね」

「ところで、肝心の首脳会談の成果はどうだったんですか?」

「3対3の会談だったようですね。まさか、何の成果もなかったとは絶対に言えません。仮になくても、何らかの意義があったということを探して言う必要があります。そんな記者会見でしたね」

「具体的な話は一つもありませんでした」

「皆さんに紹介するような具体的な成果が一つもなかったということです」

「記者の質問を一切受け付けませんでした」

「受け付けてしまったら、大変なことになるだろうと思ったからでしょう。オブラートで包んで話したのに、そのオブラートが剥がされてしまいます」

「まだこれから戦闘は続くということですね」

「今回の記者会見の感じからすると、そのように読み取れました」

「ここからが本論です ↓ 表紙写真は「You Tube」の提供です」
ロシアとウクライナの共通の源 ―「キエフ・ルーシ国家」
ロシアとウクライナの関係をたどると、「キエフ・ルーシ国家」という歴史に行き着きます。10世紀半ば、現在のウクライナの首都キーウ(かつてのキエフ)を中心に誕生したこの国家は、ウクライナだけでなくベラルーシ、ロシア西部までを含む広大な領域を治めていました。当時の支配者は親族を地方に配置し、それぞれの地域で独自の発展が進みました。その流れの一つが後のモスクワ公国となり、12世紀後半にはウラジーミル大公のもとで大きな発展を遂げます。
「ロシア(Russia)」という名前は、もともと「ルーシ(Rus)」に由来しており、ロシアもウクライナも同じ源流を持っていることがわかります。言語もロシア語とウクライナ語で大きな差はなく、方言程度の違いとも言われるほどです。つまり両国は「兄弟」のような存在であり、文化的にも深く結びついてきました。
プーチン大統領が歴史に強い関心を持ち、ウクライナを「ロシアの故郷」と捉える感覚を持っていることは理解できます。彼のウラジーミルの名前はウラジーミル大公から取ったものでしょう。現代の国際関係は単純ではありませんが、彼の行動の背景には、こうした歴史的意識が影響していると考えると、現在の領土への執着も少し見えやすくなるのではないでしょうか。
(「NHKニュース」)
苦難の歴史を歩んだウクライナ
ウクライナの歴史を振り返ると、度重なる苦難に直面してきたことがわかります。1917年、ロシア革命の混乱の中で一時は「ウクライナ人民共和国」として独立を果たしましたが、ソ連はそれを認めませんでした。両者の間で戦争が起こり、最終的には1922年にソ連邦に組み込まれます。その後も波乱の時代が続きます。
第二次世界大戦では独ソ戦の舞台となり、ウクライナの国土は焦土と化しました。兵士や民間人を合わせた死者は800万人から1400万人とされ、その犠牲の大きさは想像を絶するものです。ロシアが「大祖国戦争の勝利」を誇る裏側には、実はウクライナ人の多大な犠牲があったことを忘れてはなりません。
そして現代に目を向けると、再びロシアの軍事侵攻にさらされています。当初は短期間で終わると予想された戦争も、すでに3年半が過ぎました。ロシア軍の死傷者は10万人規模とされますが、その多くが少数民族出身者で、モスクワなど大都市の若者は比較的避けられているという調査もあります。そうした実態が、戦争が続けられてきた一因とも言われます。しかしロシア経済は制裁で疲弊し、金利は17~18%という高水準に。国民生活への影響も深刻化し、プーチン大統領が外交交渉に応じざるを得なくなったのは、こうした背景があるからだと考えられます。
(「毎日新聞」)
プーチンとトランプの会談 ― 停戦条件の現実性
つい先ほど行われたプーチン大統領とトランプ前大統領の共同記者会見が注目を集めました。会見でプーチン大統領は「ロシアとウクライナは兄弟であり、対立から対話へ進むべきだ」といった抽象的な言葉を多く使い、具体的な進展には触れませんでした。これに対し、トランプ氏は「非常に生産的な会談だった」としながらも、重要な点では合意に至らなかったことを明らかにしました。
合意できなかった点とは、停戦条件をめぐる大きな隔たりです。ロシア側は①ウクライナのNATO非加盟、②クリミア半島を含む領土の割譲という条件を提示したとみられます。しかし、これはNATOにとってもウクライナにとっても受け入れられない要求です。トランプ氏が「最終的には彼ら次第」と述べたのは、この厳しい条件を示唆しているのでしょう。
結局のところ、今回の会談は大きな進展をもたらさず、戦争の長期化を裏付ける結果となりました。ロシアもウクライナも大きな代償を払いつつありながら、停戦の糸口はまだ見えていません。国際社会の努力が求められる一方で、ウクライナとロシア、両国の対立・戦闘はしばらく続いてしまう可能性が高いと感じさせられる会見でした。
(「BBC」)
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