「「もしトラ」が「ほんトラ」になりましたね」
「アメリカ大統領選挙のことを言っているのですか?」
「そうです。1年前はバイデン再選だろうと言われていましたからね。そのうち「もしトラ」という言葉が出始めたのです」
「もし、トランプになったらと言うことですね」
「だけど、そう言いながら、可能性としてはゼロに近いのではないかという感覚だったと思います」
「党首討論から潮目が変わったというのが、私の認識です」
「そうですね、バイデンとトランプの党首討論で、バイデン無理論が出てしまいます」
「すぐにハリス氏が出てきた時は、実は私は感動しました」
「すんなり後継者が決まったからですか?」
「普通なら代わりに誰を出すかで揉めますよね。自民党の総裁選は9人も立候補者が出たのですよ」
「日本と比べることではないと思いますが、確かに手際が良かったと思います。民主党の支持層にも合った候補者でしたね」
「初の女性大統領誕生かなと思いましたけどね」
「私もそう思いましたので、今回のような結果になるとは全く予想できませんでしたね」
「本当にトランプになってしまったという感じです。ここからが本論です ↓ 表紙写真は「産経新聞:産経ニュース」提供です」
トランプ氏が予想を上回る大差で大統領に
接戦との予想でしたが、激戦7州をすべてトランプ氏が抑え、大統領選挙人の獲得数で言うと312人に対してハリス氏が226人となり、予想以上の大差となりました。トランプ氏は前回の大統領選挙に破れた時から、選挙準備をしていたと言います。そういった努力もありますが、強いアメリカを望む国民の気持ちがトランプ氏を大統領に押し上げる力になったと思います。
現職の大統領として臨んだ選挙で敗れたあと、再び大統領に就任することになるのは132年ぶりだそうです。その位、大変なことをしたということです。演説の内容は時には暴言、さらには相手への誹謗中傷何でもありのように繰り出しながら、国民の中にある愛国的な気持ちを巧みに引き出そうとしました。
かつてトランプ氏はヒトラーについて「良いこともやった」と言及していたそうです。ヒトラーは選挙戦を打ち勝って独裁者になっていくのですが、選挙演説を最も研究した人だったと思っています。演説をする時間、照明の当て方、演説の抑揚やその時の表情、どのようにして聴衆を惹きつけるのかなど、細かく研究しています。もしかしたら、ヒトラーの『わが闘争』を読んで演説の仕方を学んだのかもしれません。彼のスピーチを見ていると、そんな感じを持ちます。
(「ラクマ」)
国際関係の不安定要因が増える
トランプ氏の政策の立ち位置はアメリカ中心主義です。そして、彼は共和党ですが、実は上下両院も共和党が過半数を占めています。共和党は白人の富裕層に支持基盤を持つ保守的政党です。トランプ氏の考え方がストレートに国政に反映する条件が揃っています。
トランプ氏は「関税は辞書の中で最も美しい言葉」と言い、自らを「タリフマン(関税男)」と自称していました。大統領になれば、自国産業を守るためということで、関税をかけまくるつもりだと思います。すでに中国からの輸入品には60%、他国には10%の関税をかける方針を示しています。2日前には、メキシコからの輸入車には100%の関税をかけると表明しています。
かつては関税が原因で戦争になったことがあるように、国家間の親善に直接影響を与えます。彼はそういうことはお構いなしということでしょう。ただ、関税をかけると、相手からの報復関税が予想されます。中国は黙認する国ではないので、必ず対抗措置を取ります。国際関係の不安定要素が増える要因となりそうです。
(「テレ東BIZ」)
移民制限の強化、環境問題に無関心
移民制限が強化されるのは確実です。アメリカは移民大国です。毎年100万人くらいの移民が国境を越えて国内に流入しています。中国からの移民も年間2~3万人位います。生まれた国を捨てるというのは、余程の覚悟がなければ出来ませんし、ここで失敗できないという切迫感も持っていると思います。アメリカはそういった移民の持っているエネルギーを使って大国にのし上がった国です。
移民をどの程度制限するのかは、現在のところ未知数ですが、完全なシャットダウンをすれば、人手不足で賃金が上昇し始めますし、そもそも彼らのエネルギーを採り入れることが出来なくなります。極端な制限はアメリカの息の根を止めることに繋がります。
環境問題に対して全く関心がないのがトランプ氏の特徴です。アメリカの二酸化炭素排出量(総量)は中国に次いで世界で2番目です。一人当たりに換算すると、世界で1番目になりますが、トランプ氏は「(石油、天然ガスを)掘って掘って掘りまくれ」と言っていますので、自然環境は良くはならないのではないかと見ています。
(「日本経済新聞」)
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