「前回に引き続いてロシア関連の話題でいきたいと思います」
「前回の話の中で、プーチン大統領がスターリンを尊敬していたという話があったと思います。プーチン大統領は社会主義・共産主義を標榜しているのですか?」
「彼は共産党を指導したスターリンを個人的に尊敬はしているけれど、共産主義はダメと言っています」
「それは、何故ですか?」
「彼の見てきたソ連の共産主義社会では、あまり良い思い出がなかったからだと思います」
「経済的に上手く行かなかったということでしょうか?」
「意外と、それがすべてのような気がします。彼は20兆円位の資産を有し、豪華な宮殿も建てていますからね」
「国は大きくて、経済的に繫栄していれば良いということですか?」
「そして、軍事力が強く、他国がひれ伏すような国をつくりたいのでしょうね。そういう価値観の持ち主だと思います」
「そういう意味では、分かりやすい人なんですね」
「現代の皇帝を目指しているのだと思います。ロシアの中で名前を残しているピョートル大帝やエカテリーナ女帝は領土を奪っていますからね」
「それに倣おうとしているのですね」
「ロシア国民自体が、そういう強い指導者を求めるところがあると思います」
「クリミア半島を奪った時は、大変な支持を得たそうですものね」
「ウクライナへの本格的な侵攻が始まって2年が経過しました。現在の状況について見ることにします」
「ここからが本論です ↓」
「支援疲れ」のため、局面がロシア有利に
ロシア側の初期の戦略的な間違いと、欧米からの軍事支援もあり、ロシア側の敗戦もあるのではないかと思わせたこともあったのですが、ここに来て東部要衝のアブデーフカを制圧する等、ロシア側がじりじりと攻勢に転じています。
ウクライナ側の後退の原因は、一言で言えば欧米の「支援疲れ」です。肝心のアメリカが議会の共和党勢力の反対に遭って援助のための予算が議会を通過しません。また、EU諸国の中にも自国優先を掲げて、支援に反対することを堂々と口に出す国も出てきました。ここに来て、足並みの乱れが目に付くようになりました。
守るウクライナ側にとって、支援が命綱のようなものです。それが途切れれば、軍事力の上で圧倒的に有利なロシアが戦線を巻き返すのは、至極当然ということでしょう。
(「ABEMA TIMES」)
ロシアの統治に少しずつ綻びが出ている
ロシアは21の共和国と195の民族から成る連邦国家です。多くの国と民族を巨大な権力によって一つにまとめて生きてきた国の姿、それがロシアのアイデンティティだと思われます。というのは、ロシアは特に中世以降領土を拡大してきた国であり、そのことを国民が後押ししてきたようなところもあります。
常に強き指導者でなければならない、それがロシアの指導者の宿命なのかもしれません。弱みを見せることはないし、それは出来ない。特に、今年は大統領選があるので、強いリーダーであることを国民にアピールしなければならないと思っているでしょう。
ただ、その統治にも少しずつ綻びが出ているように見えます。カスピ海と黒海に挟まれた地域にアゼルバイジャン共和国とアルメニア共和国がありますが、アゼルバイジャン内にあるアルメニアの自治州ナゴルノ・カラバフをめぐって紛争となりました。結局、ナゴルノ・カラバフをアゼルバイジャンがすべて接収するかたちになりました。アルメニアはロシアの仲介を期待していたようですが、それがかなわず今後はロシアとは一線を画すと思われます。チェチェン共和国はかつて独立を図ろうとしましたが、それ以外に「脱植民地化」を模索する動きがあります。求心力が弱くなれば、当然そういった動きが強くなっていきます。
(「ニューズウィーク」)
ロシアも経済的にかなり苦しい状況
『日経』が「経済制裁効かぬロシア」と題した記事(2/21日付)を掲載しました。その記事によると、昨年のロシアが発表したGDPは3.6%とのこと。ただ、他のデータと照らし合わせると、その数字は俄かには信じられません。経済関係のデータの中で誤魔化すことができるものと、できないものがあります。GDPの数値は簡単に誤魔化せます。ソ連の時代は常に誤魔化したデータを出していたことが崩壊後の情報公開で分かったことです。
誤魔化せないデータは為替レートと株価指数、そして貿易統計です。ところが、ロシアの場合はルーブルが制裁のため国際決済できない通貨になっていて公的なレートが出ません。株価指数は下のグラフを見て下さい。データが少し古いのですが、ロシア一人負けが分かると思います。貿易統計ですが、歳入の柱となっている石油・ガス収入は22年と比較して24%減です。外資も逃げています。ちなみに「日系企業は約6割が事業停止」(『産経』2/22日付)とのこと。そして侵攻以降約100万人が国を離れました。当然彼らは資産をロシアから持ち出しますので、資産流出が起きていると思います。昨年の8月に政策金利を8.5%から13%に一気に引き上げていますが、通貨防衛のための予防措置です。それにしても13%というのは凄まじい数字です。国内にいる人たちも資産を海外に移そうという動きがかなりあるのだと思います。それを予防するために金利を上げて止めているのです。
61万人の兵員がウクライナにいます。その中に傭兵も多くいます。傭兵というのは、国が給与の支払いなど契約した上で雇い入れた兵員のことです。外国人の傭兵も3千人位いるそうです。これらに対する費用がかかりますし、約60万人分の食費や日用品の手当の費用がかかります。ロシアも経済的にかなり苦しいのではないかと推察します。
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