(この文章は2020/2/22に書きました)
中高一貫校で社会科の教師として37年間勤務する傍ら執筆活動にも力を入れる。著書多数。
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コロナウイルスが人工的に作られたウイルスの可能性も
観光立国の中身の在り方が問われる時代
今回のウイルス騒ぎがあり、改めて分かったことは、日本の経済はかなり中国に依存した体質になっていたということです。観光立国を国の方針として掲げていますが、観光客の約30%は中国からです。現在、年間約900万人が日本に訪れています。ちなみに、今から30年前は10万人で、全体の3.5%です。この30年間の経済力の伸びが、そのまま観光の数の変化に表れています。
このことを、どう見るかです。手放しで喜んで良いのかどうか、ということです。30年前と比べて訪日外国人旅行者数が約11倍に増えて3000万人を超えましたが、中国や韓国からの観光客頼みという状況があります。今回のようなことがあると、その影響をそのまま受けることになります。地域的な偏在があると、特に日本人の場合、その国からの観光客の誘致だけを考えて、場合によっては迎合するという危険性があります。今回のウイルス対応にも、それが現れました。ウイルス騒ぎが起きた時に、素早く中国全土からの日本乗り入れを全面禁止にすれば、世界の日本を見る目が違ったのですが、中国の顔色を見て、ある特定地域からだけの乗り入れ禁止措置になってしまいました。
観光庁は、2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人の目標を掲げていますが、そのようなアバウトな数値目標だと、とにかくどこからでも良いので観光客を連れて来れば良いという、ノルマ達成の発想に陥りがちです。
観光資源として、どのようなものを開発し、そのために人的配置や地方自治体の協力をどうするかといった、総合的な施策を考える必要があると思います。そして、安定的経営を考えると、地方の観光資源を開発して国内旅行者を増やすことを考えなければいけません。
②経済力の逆転は、主導権が相手に移ったことを意味する
GDPの数値を見ると、今や中国は日本の3倍です。日本は、いつまでも過去の栄光にすがらないで、現実を直視し対応策を練って欲しいと思います。なぜ、そのような逆転現象が起きたのかと言えば、労働生産性が低くなっているからです。さらに、どうして労働生産性が低くなっているのか、と言えば人材の質が落ち、日本の教育力が落ちているからです。この大きな原因の一つは、昨日のブログに書きましたが、文科省の「大学全入政策」にあります。 どうして、そんなに多くの大学が必要だったのか。天下りポストを得るためです。文科省と大学のつながりは、2017年に文科省の違法天下りあっせん問題で、事務次官など37人が処分された事件が象徴的です。文科省の前川事務次官は、この時の責任をとって辞任しています。こういった癒着が、大学そのものの価値低下を招いたのだと思います。そんなことから、かつて文化庁に勤務されていた経歴がある有元秀文氏は「文部科学省を解体しない限り、日本の明るい姿は見えてきません」(『文部科学省は解体せよ』扶桑社.2017年)と言われます。
データは正直です。その結果、日本の大学の「地盤沈下」は激しく、世界の大学ベスト200に入る日本の大学は東京大学(36位)、京都大学(65位)の2校のみです。中国は7校、韓国は6校入っています。さらに、最先端のコンピューターサイエンス分野に限定すると、1位は中国の清華大学、2位も中国で南洋理工大学、東京大学は134位です。それらのランキングで、その国の未来が分かると言われています。このままでは、日本の未来は余り明るくないということです。
中国は、狩猟民族の国で、しかも共産主義国です。その経済力をバックにして、日本に対して攻勢をかけています。チャイナマネーが、政界、財界、教育界に流れていると思われます。
今日(2/22日)の「産経新聞」に教科書検定についての報道がありました。自由社版の「新しい歴史教科書」が中学校の教科書検定で「一発不合格」とされたとのこと。「中華人民共和国(共産党政権)成立」と書いたところ、「生徒が誤解するおそれのある表現。成立時の中華人民共和国は連合政権」という意見がつきました。明らかに、中国共産党政府に対する忖度が働いています。
アメリカや台湾との関係を大切に
日本とアメリカは安保条約を結んでいます。これは運命共同体という意味です。そのことを強く意識して欲しいと思います。多分、アメリカは最近逍遥(しょうよう)し始めた日本を見て、何となく心配をしていると思います。
それから、尖閣の近くにある台湾は、もう少し日本に助けて欲しいと思っているはずです。
先日の安倍首相の所信表明演説の中で、「台湾」という言葉があったというだけで、蔡総統は大変喜んでおられました。アメリカは、「台湾」を明確に支持し、武器も輸出していますが、日本の態度はあいまいです。
逍遥の原因は、中国が日本とアメリカの間に楔(くさび)を打っているからです。今、その手ごたえを感じているところです。主席を国賓として呼ぶということを安倍首相が表明して、現在もその方向で動いています。取り込むチャンスだと考えています。そのため、中国は反日を意識的に抑えています。もし、国賓として習近平を呼んだ場合は、日本は中国の属国への道を歩むことになると思います。お墨付きを貰ったと思って、尖閣を取りに来る可能性があります。
反対ではないのか、と思うのが日本人の感覚ですが、共産主義者は真逆に物事を考えます。しかも、経済力は日本の3倍です。国賓として呼んだということは、ひれ伏したと解釈すると思います。勝手に解釈するな、と言っても、どう解釈するかは、中国の問題と、堂々と言い切ると思います。
そういうことを予想して、太平洋の向こうから心配しているのは、共産主義が大嫌いなアメリカです。「肚を決める」という言葉が日本にあります。古来よりの日本の美的な生き方を表した言葉です。国として明確な生き方が求められていますし、それを考える時期に来ています。
国会は超党派議員で「気候非常事態宣言」を出しました。いつから、気象予報士になったのでしょうか。目を向けている方向が違います。「国会非常事態宣言」を出して、今の異常事態を何とかして欲しいと思っています。
(アイキャッチ画像は東洋経済新聞より)