「今日は児童虐待のことを話題にしましょうか」
「何か、思い当たることがあったのですか?」
「幼い子ども2人を車中にいれて、熱中症で死亡させてしまった事件の判決報道があったでしょ」
「虐待だったのですか?」
「虐待ではなくて、事故扱いですが、私に言わせれば、長時間締め切った車の中に放置する行為は虐待だと思います」
「ところで、知っていますか。動物虐待も増えているんですって」
「ペットの猫とか犬ですか? 犠牲になっているのは?」
「一番多いのが猫で、その次が犬ですって。うさぎやカメもいるみたいです」
「うさぎやカメはかけっこさせれば良いと思いますけど。小動物への虐待ですが、実際にはどういうことをするのですか?」
「エサを与えない、空気銃で撃つ、捨てる、危害を加える。こんなところですか」
「コロナ禍で外出がままならないので、その代わりにペットを飼う人が増えたことを聞いたことはありますけどね」
「飼ったものの、意外に手間もカネも掛かるので、捨ててしまうというのが一番多いみたいです」
「捨て猫を捨てたことはありますけどね」
「どういう意味ですか?」
「捨て猫を家で飼い始めたのですが、結局なつかなくて、これじゃあダメだと思って、飼うのをあきらめてしまったのです」
「何か、可哀そうな気がしますけどね」
「なつかない猫を飼っていても仕方がないと思ったのです。猫は全て人間になついてくれると思っていたので、カルチャーショックでした」
「動物虐待と児童虐待、根っこの部分では同じかもしれませんね。ここからが本論です ↓ 表紙の可哀想なワンちゃんたちの写真は、日本経済新聞の提供です。」
児童虐待は1990年代から始まった
子宝という言葉がある国で、児童虐待が起き始めたのが1990年代に入ってからです。
そういうこともあり、「日本子ども虐待防止学会」が作られ、その第一回大会は1995年に大阪で行われています。それ以降、毎年学術集会が実施されてきたのです。そういった関係者の努力にも関わらず、児童虐待は増え続けていきます。そのため、行政は2004年には児童虐待防止法をスタートさせます。
(「時事ドットコム」)
戦前にも児童虐待防止法があった
1933(昭和8)年に児童虐待防止法を制定しています。1929年が世界恐慌です。その経済不況の波が日本に押し寄せていた頃です。銀行も倒産した時代です。生活に困った親が口減らしを兼ねて自分の娘を芸者の置屋や岡場所に売るケースが多かったと言います。それを専門に仲介する業者もあったそうです。
子どもを危険な諸芸(軽業、曲芸)に従事させたり、乞食をさせたりということもあったようです。経済的な苦境が背景にあったことが分かります。
現代は、そのように貧困ゆえの児童虐待は殆ど無くなり、新たな原因による児童虐待が増えているのです。下のグラフは平成年間からのものです。この30年間で異常に増えていることが分かると思います。
児童虐待の4つの原因
高度経済成長もあり、経済大国になったので児童虐待とは、無縁だと思った途端に降って湧いたように起き始めています。虐待の主体者の6割は女性です。一体、何が原因なのでしょうか。
「子ども虐待対応の手引き」(厚生労働省)には、①子供時代の愛情欠如 ②生活のストレス③社会的な孤立 ④意に添わない子(望まぬ妊娠、育てにくい子)の4つが書かれています。
ただ、これだと1990年の半ば頃から急に増えた理由を説明できていません。①、④はどの時代でも一定数はあったでしょう。敢えて言えば、②と③でしょうか。男女共同参画社会と言われて、男女対等に働くような社会状況の中で、仕事のプレッシャーが前以上にかかっている。③は核家族化が前の時代以上に進んだ、ということでしょうか。
ただ、特に「1990年の半ば頃から急に」ということに対する説明としては弱い感じがします。
(「読売新聞」)
アイデンティティとライフビジョンの確立が重要
そうなると、原因を学校教育に求めざるを得ません。アイデンティティの確立も含めて、ライフビジョンをきちんと作っていないのではないかと思います。
人生というのは一つの大きな旅です。その旅が上手くいくためには、目的とルートをきちんと決め、それが現実的で実行可能なものなのかを絶えず検証する必要があるのですが、学校教育の中で家族や子育てのことをインプットしておく必要があるのです。つまり、自分の人生で叶えられなかったことを次の世代に引き継ぐということも考えに入れておく必要があるのです。
それが全く頭に入っていないと、自分の人生を子どもが妨害しているように感じるようになり、そこから虐待が始まります。すべては、学校教育の段階で学校や家庭できちんと教え込むということでしょう。児童相談所の職員を増やしたり、法改正して虐待を厳罰化するのは対症療法として行われていますが、その前に、根本的な原因を探った上で、その対策を取るということでしょう。
(「Pinterest使い方」)
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