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子ども庁の創設について / 子どもを巡る問題は、地域を創設するビジョンの中で俯瞰的、総合的に考えるべき問題

女性

「子ども庁を創設するという話が出ていますね」

「2022年度発足ですので、準備期間はこの1年しかないことになります」

女性

「子ども庁の名前だけでは、何をしようとしているか分かりません」

「今日の『日経』(2021、4、9日付)に比較的大きく報道されていますが、それを読むと、「子育てや虐待対応」「少子化対策を推進」という言葉が見出しに並んでいます」

女性

「何となく漠然としているという印象をもちます」

「そうですね。問題意識は分かるのですが、今一歩焦点が絞り切れていないという印象をもちます」

女性

「この見出しの言葉を見る限り、教育というより福祉という感じですよね。どの位の年齢を扱うのかという問題があると思います」

「子どもと言っても、具体的には0歳から19歳までを指します。相当範囲は広いのです」

女性

「あくまでも私の印象ですが、比較的年齢の浅い子どもたちを何とかしたいという感じを受けます」

「子どもの問題といっても、大きく分けて3つあります。1つは、少子化の問題。2つ目が、貧困や虐待といった生育環境の問題。3つ目が、教育の問題です。ここには、不登校やいじめ、さらには能力開発などの問題を含みます」

女性

「どれが一番問題だと思いますか」

「どれも重要な問題で解決まで相当な時間が必要だと思いますが、比較的取り組みやすいのは2番目の問題ですね」

女性

「少子化の問題は、いかがですか?」

「少子化は一番難儀な問題ですね。ただ、大きな権限を与えてもらえれば可能だと思います」

女性

「あら、何か凄いことを言いましたね。少子化は避けられない、それを前提に様々な政策を考えようという人が結構いますが……」

「そういうのを敗北主義と言います。原因があるところに結果があります。原因を追究して、そこに焦点をあてる政策を実行すれば、必ず問題は解決に向かって進みます」

女性

「その道筋が見えていないのでしょうね。ここからが本論です ↓」

 海の牡蠣(かき)を育てるために森に木を植える

一見関係のないことが、この大自然の中では大いに関連することがあります。人間も自然の中に生き、自然の中から生まれました。困難な問題に立ち向かう時、今までの発想を変えることも大事なことです。そんなエピソードを紹介したいと思います。

宮城県気仙沼市で牡蠣(かき)漁師の畠山重篤さんが、漁師仲間と「牡蠣の森を慕う会」を結成したのが1989年のことです。そして、気仙沼に注ぐ大川の上流にある室根(むろね)山に木を植え始めたのです。そのことがやがて話題になって、現在では毎年6月の植樹祭には全国から1000人以上が集うといいます。植えた木は今までに5万本を超えたそうです

どうして、そのようなことをしようと思ったのか。1964年、高度経済成長真っ只中の頃です。海に大量に流れ込む生活排水のため牡蠣に異変が生じます。身が赤く染まる「血ガキ」となり廃棄処分を余儀なくされます。転職する漁師が相次ぎます。

海の異変を喰い止めるためのヒントがフランスで見つかります。1984年のことです。ロワール川の河口の街の磯には新鮮な魚介類、宮城県の牡蠣がルーツの「ミヤギ種(だね)」も良く育っていました。気仙沼とどこが違うのか。ロワール川を遡ってみると広大な広葉樹の大森林が現われました。豊かな海の原因が解明された瞬間だったのです。このことが畠山さんを植樹活動に向かわせることになります。

(フランスのロワール地方/wondertrip.jp)

畠山さんの植樹活動が広島や長崎、さらにはフィリピンに広がり、2012年には国連から森林保全の功労者としてフォレストヒーローズ(森の英雄たち)に選ばれます豊かな森からは栄養豊かな川の水が海に流れるため、植物プランクトンが良く育ちそれをエサにして牡蠣もすくすく育ちます。「森は海の恋人」という標語は、そんな因果関係の発見の末に生まれた言葉なのです。

畠山さんは言います。「牡蠣が『メシがまずい』と言い出したら赤信号」と。

(この段落の文章は、「人の心に木を植える」『日経』2020.3.29日付を参照)

 

 子どもを育てるために地域を創る、その視点が今の地域づくりに欠けている

子どもを巡る問題が多くあり、それを解決したいということで「子ども庁」の創設を思い立ったのでしょう。ただ、そういう発想をしている間は問題は解決しない、ということを上の事例から学んで欲しいと思います。

「牡蠣の異変」を「子どもの異変」に置き換えて読み直して下さい「牡蠣の異変」の原因は海にあり、エサになるプランクトンが育っていないということまで解明します。そこで悪戦苦闘するのですが、その時には解決に至りません。子どもを取り巻く環境ということで、学校、教員、教室、教科書というものが思い浮かびます。そこで終わっている間は、解決のメドが立たないということです

どうすれば良いのか。湾だけを見ないで、そこに注ぎ込む川とその源流にある森を含めて全体を見渡した時に解決のヒントを得ます。同じです。学校と家庭を包摂するすべての環境を俯瞰的に見る必要があります。地域の活性化プランなくして、子どもは上手く育たないということです。

(「プレジデントオンライン」)

 地域創生のプランが3つあるが、どれも「森」を見ていない

約7割の母親が日本は子どもを産み育てにくい社会と思っている、ということがベネッセコーポレーションが0~1歳児の子どもを持つ母親に実施したアンケート(調査は2020.10.29~11.2/回答数2060/調査方法はインターネット)の結果分かりました。要するに、牡蠣が『メシがまずい』と言い出しているということです。

地域をどう創るか。実は、様々なプランが提出されています大きく分けて3つです。1つは、総務省が行っているのですが、「地域おこし協力隊」派遣作戦というものです。要するに、隊員を「地域おこし」のために時には、自治体雇用で報酬を与えるなどして、地元の自治体や地域の人たちと協力して地域振興を担わせるという作戦です。家族ぐるみで移住した人もいるとのことです。隊員にスーパーマンになれと言っているようなものです。所詮、一人の人間には限界があります。これは上手くいかないでしょう。

2つ目は、NPO法人や市民団体が中心となってプロジェクトや交流会を企画し、それを地域の活性化に繋げようというものです。これは例えて言えば、打ち上げ花火です。花火が打ち上げられている間は活性化します。

3つ目は、スマートシティ構想です。社会のデジタル化の流れに乗って出てきた構想です。簡単に言えば、都市機能をデジタル化によってすべてのデータをつなげ、利便性と効率化を図ろうというものです。「スマートシティ・インスティテュート」という一般社団法人も立ち上げられ、多くの民間企業が会員として加盟、活動しています。自治体によっては、こういった組織との連携により地域の活性化を図ろうと考えているのです。

3つ目が良さそうに思えますが、牡蠣の例で言うと、まだ海しか見ていないことが分かります。だから、これも上手くいかないだろうと思っています。まず、森を見ること、森を含めた地域環境を創ることを考えないと海は蘇りません。この場合の「森」は何でしょうか。それが発見されないまま地方創生と叫んでも上手くは行かないと思います。紙数が尽きました。この続きは、次回に回したいと思います。

(「スマートシティ」大和ハウス工業/提供)

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