(この文章は2/21日に書きました)
中高一貫校で社会科の教師として37年間勤務する傍ら執筆活動にも力を入れる。著書多数。
詳しくはトップページプロフィールに書いてあります。
問題意識を持たなければ何も見えない
『古事記』は先人が我々に遺したメッセージ
胸襟を開いて意見を交わして、出てきた結論について力を合わせて協力する。そうすれば、様々な難問にも立ち向かうことができる。このメッセージを先人たちは『古事記』神話の中に残しました。
場面は、天照大御神(アマテラスオオミカミ)が天岩戸に隠れる有名な場面です。
天照大御神の弟の須佐之男命(スサノオノミコト)の悪行が止まりません。そして、場面は小屋で女が機を織っている場面です。その後の彼の行動の描写を少し長いのですが、紹介します
「須佐之男命はその小屋の屋根に穴をあけ、尻の方から皮をはいだ馬を落し入れました。その時、機織女(はたおりめ)はびっくりして、梭(ひ/機の横糸を通す道具)で陰上(ほと/女性器)を突き刺して死にました。これには天照大御神も黙っていらっしゃいませんでした。天の石屋戸(いわやと)をお開けになって、洞窟の中にお引き籠もりになったのです。すると、高天原(たまがはら)は暗闇に包まれました。葦原中国(あしはらのなかつくに)もことごとく暗くなりました。昼が来ない夜だけの世界になり、万(よろず)の神の声が夏蠅のように満ちあふれ、万の災いがことごとく起こるようになったのです」(竹田恒泰『現代語古事記』学研.2016年.64~65㌻)。
葦原中国というのは、現実の世界のことです。『古事記』神話をどう見るのかということについては、いろいろな見方があるのですが、私は先人から現代人へのメッセージの書だと考えています。
なぜ、奇想天外な描写(下線部の部分)になっているのか。単なる言葉だと、どこの箇所を読み取って欲しいのかが伝わりません。そして、言葉は時代によって変化してしまいます。映像的な表現としてデフォルメすることが出来れば、伝わる可能性は高くなるからです。後は、その部分をどう解釈するかです。
まず小屋や家は、家族を象徴しています。馬は生殖本能が強い動物です。そして陰上を出して、それを突き刺して駄目にしていますので、家族制度が崩壊して、子供が生まれなくなるという暗示と解釈できます。須佐之男命のそれまでの乱暴狼藉については、天照大御神はすべて良い方に捉えて大目に見ていたのですが、今回のことは我慢ができないくらい悲しかったのでしょう。引き籠って、世の中は真っ暗になり、様々な災いが起こると言っています。
須佐之男命のそれまでの乱暴狼藉を文面から推察すると、それは多分、人間による自然環境破壊と神を冒涜するような唯物論の横行だと思います。ただ、これについては、それほど怒ってはいません。
馬を尻から落としていますが、これでは上手くカップリングができないことによる嘆き悲しみ、絶望の余りの引き籠もりという描写になっています。具体的には、少子化の進行あるいは女系天皇容認論が出ているので、皇統の危機を指しているのかもしれません。
それに対して、最近の台風災害、川の氾濫、土砂崩れ、そして今のコロナウイルスで天の意志を示しています。天はその感情を自然災害という形でしか人間に示すことが出来ないのです。
『アセンション入門』の中で「3.11」を予言
そして、実は今回の一連の災害は第三弾なのです。第一弾と第二弾については、吉住昌美というペンネームで2010年に『アセンション入門』(幻冬舎新書)という本を出版して、その中で警告しています。
少し長いのですが、引用します――「その第一弾が、世界で起きている異常気象や新型インフルエンザの流行・まん延です。2009年から日本でも新型インフルエンザの流行が始まりましたが、そもそも夏から秋にかけてインフルエンザが流行ること自体がおかしなことだとおもいませんか。一瞬でも良いので、立ち止まって真剣に考えて欲しいのです。また2010年には、1月にハイチ、2月にチリで大地震が起き、何十万という数の被災者が出ています。これらが第二弾になるでしょう。このあとも依然として人々の気付きが進まなければ、アセンションの前年の2011年に大事変が多く起こることになります」(30ページ)。
2011年は「3.11」が起きてしまいました。民主党政権下での出来事です。皇統にとって危険な政権と判断したのかもしれません。日本という国を、立憲主義とか共産主義のような近代西洋社会で形成された概念を持ち込んで解釈しようとする勢力がありますが、大いなる間違いです。それよりはるか昔に天皇制は形成されています。
日本を国という見方ではなく、古代より連綿と続いている王朝と理解した方が正確だと思います。今、与党の自民党の中からも女系天皇容認論が出ている始末で、皇統が危機にさらされています。天は危機感をもって見ていると思います。
少子化を解決するために『古事記』が教える方法
天照大御神が隠れてしまったので、地上世界も天上世界もすべて真っ暗闇になります。そこで多くの神々が集まります。『古事記』には、とにかく難問が出てきた場合は、集まって仲良く話し合えというメッセージを遺しています。今の国会のように、ケンカ腰でやり合っていても良い知恵は出てきません。
神々は集まって話し合いをしますが、良い知恵が出ません。それで知恵ある神に相談したところ、「祭り」をしなさいという答えです。この「祭り」をどう解釈するかというのが、次の問題です。
日本には多くの祭りがあります。地域ごとに、それぞれ特色があります。神社に老若男女が集まり、神に感謝の宴をささげて、五穀豊穣を願います。邦人という言葉が日本には遺っています。もともと、日本人は国ではなく、邦(くに)、つまり自分が生まれ育った故郷(地域)を単位に考え、生活をしていた民族です。故郷意識を高める方言が段々消えていく感がありますが、地方を中心に共同体を作り直す中で、カップリングを考え、少子化を解消しろというサジェスチョンとなっています。
人口減少社会という言葉がすっかり定着して、多くの人がそうなるものだという思い込みの中にいます。新聞、テレビなどのマスコミ、公民科の教科書には、人口減少社会という言葉がふんだんに出てきます。こうなってくると、日本全国思考停止状態となります。
冒頭で問題意識をもつことの大切さについて書きました。逆に、思考を停止させるものは何かと言うと、先入観であり思い込みです。「こうあるべき」とか「絶対的な真理」と勝手に自分で決めてしまうと、解決の途が見えなくなってしまうことがあります。
読んで頂きありがとうございました