「昨日に引き続いて、日英同盟について話をしたいと思います」
「2回連続ですね」
「コロナ禍後の日本にとって、イギリスや台湾といった島国との「同盟」が重要だと思っているからです」
「私は感覚的にしか言えないのですが、日本とイギリスはウマが合う感じがしています」
「私も感覚的な話をしますと、島国の人は磯の香りをDNAの中に多く取り込んでいるため、爽やかな香りが漂っているのでしょう。お互いその臭いに惹かれるのではないかと思っています」
「朝鮮半島と台湾、戦前の日本は同じように統治したのに、片方は感謝して、片方は悪口三昧で反応が全く違いますが、臭いの違いなのですか!?」
「それは半分冗談として、日本政府の戦後の対応が悪かったということを差っ引いたとしても、半島の反応は殆ど異常ですね。日本は朝鮮と戦争をした訳ではありませんからね」
「反日一色になるところがよく分からないですね」
「イギリスでは、捕虜の扱いをめぐって反日の動きが戦後すぐの時期に高まります」
「死亡率が高かったと聞きました」
「『新・日英同盟』にデータが紹介されていますが、日本軍の捕虜となった英兵は約5万人で、死亡率が25%です。ドイツ軍の捕虜となった英兵の死亡率が5%だったのです」
「捕虜虐待があったと疑われた訳ですね」
「ビルマという過酷な環境下、自然災害ありマラリアありという中での重労働の結果だと言われています。あと、戦時中のことですので、何らかの虐待があったとしてもおかしくはないでしょうね」
「そういうことがありつつも、何とか講和に持ち込むことができた。そこまでの努力と、そこからの展開を見つめたいですよね」
「国と国との講和というのは、政府関係者だけでなく、民間レベルでの交流や努力が大事なのです。イギリスとは、その辺りの関係改善が上手くいったということですね」
「どこかの国とは対照的ということですね。ここからが本論です ↓」
目次
日本は「アジアの最大のパートナーで、like-minded(同志)の国」(メイ首相)
2017年8月、当時のイギリスのメイ首相は安倍首相と会談、その時に使った言葉が「like-minded」という言葉ですが、この言葉はイギリスと関係が深い国に対してしか使わない言葉だそうです。両者は「不思議な磁力で引き合っている」(岡部伸『新・日英同盟』白秋社、2020年、29ページ)とのことですが、その磁力を作り出しているのは両国の政府関係者ならびに国民の努力の賜物だと思います。
岡部氏が著書の中で書かれている「美談」を簡単に紹介したいと思います。
第二次世界大戦のビルマ戦線でイギリスの2隻の戦艦が日本艦隊に撃沈され、乗組員422人は脱出し海上を漂流すること約21時間、それを日本の駆逐艦「雷(いかづち)」が見つけ、救助活動を行ったのです。「雷」の常務員は120名で、その4倍近くの422名を救助し、衣服、食糧を提供して様々なケアをしたのです。
具体的なやりとりは詳しく著書の中に書かれていますので、そちらを参照して欲しいのですが、その中に紹介されているイギリス兵の話が面白いです――彼は日本の駆逐艦に見つかった時死を覚悟したそうです。ところが、国際信号旗を掲げて、救助艇が下ろされ日本の乗組員たちが救助する姿を見て夢かと思い、何度も自分の手をつねったそうです。
そして、救助活動が終了した後、工藤艦長は英海軍士官だけを乾板に集めて「貴官たちは日本帝国海軍の名誉あるゲスト」であると英語でスピーチしたそうです。そして、彼らに士官室の使用を許可し、厚遇したそうです(岡部伸 前掲書、291ページ)
イギリス宰相チャーチルの粋な計らい
日本に対して騎士道精神を発揮したイギリス人は、チャーチルではなかったかと言っています。戦後一貫して日本との関係改善に乗り出した政治家であったと、岡部氏は評価しています。
1953年にエリザベス女王の戴冠式に明仁(あきひと)親王(上皇陛下)が訪英されています。戦争が終わって間もないころで、反日感情も強く、イギリスの世論調査によると日本の皇太子の戴冠式出席反対が68%であったとのことでした。
チャーチルは、そういった状況の中、粋な計らいをします。彼は反日キャンペーンを続ける大衆紙の社主約30人と日本の皇太子を首相官邸に招き、歓迎の昼食会を催したそうです。そこで、長い歴史の中で培われた日本の優れた文化と芸術を称えながら、一世一代のスピーチを行ったそうです。その他、心憎い演出もありますが、余り書いてしまうとネタバレになってしまいますので、ここで止めますが、両国の友好と親善のために一役買ってくれたことは確かです。ご興味が湧きましたならば、『新・日英同盟』をお読み下さい。これ以外に、日本海海戦でロシアのバルチック艦隊を撃破した時の連合艦隊長官、東郷平八郎にまつわる興味深い話もあります。
コロナ禍以降、イギリスのベクトルがインド、太平洋に向かう
そのような日英間の様々な交流と歴史の積み重ねがあり、現在は対中国で力を合わせる時ではないかと思います。EUを脱退し、中国の「一体一路」の終点がイギリスであることもあり、イギリスのベクトルがインド洋から太平洋に向かうようになったからです。
イギリスはかつての時代の覇権国です。意地もプライドもあります。香港の問題で、顔に泥を塗られたと思っていますし、中国に余り勝手なことをさせると世界全体が大変なことになるという思いがあるでしょう。その危機感が日本に近づいている要因となっています。
憲法を改正しないとイギリスと同盟を結べない
ところが、日本の国内を見渡すと、そういった切迫感が余りありません。これは、日本と中国が経済的に深く結びついていること、さらには中国の長年にわたるロビー活動を含めて、密かな侵食活動が進行しているためでしょう。二階派は媚中派といわれていますし、公明党にも工作が入っているのではないかと言われています。
さらに憲法的な問題で言えば、9条があるため、集団的自衛権を前提にした同盟は結べないのではないかと思います。集団的自衛権というのは、簡単に言えば侵略してくる国に対して複数の国が共同してそれを防ぐということです。現代は、抑止力を高めて平和を維持する方法が効果があるとされている時代です。力がない国が巨大な軍事力のある国に対して同盟を組むのは、至極自然な行動であり、国連憲章もそれを認めています。
ところが、日本の憲法は個別的自衛権しか認めていません。そのため、5年前に安保法制を国会で通した時に、憲法に違反するかしないかという問題になったのです。憲法ありきで考えるのではなく、日本の置かれた状況から出発する必要があるのですが、中国の膨張政策を目の当たりにして、日本としてはより多くの国と同盟を組んで、国境線を死守するということが求められています。
そして、今の日米安保も双務的な条約ではなく、アメリカの軍事力に依存した片務的な条約になっています。日本もそろそろ一人立ちする必要があります。憲法を改正して、集団的自衛権に基づいて自由に同盟関係を構築できるような憲法にする必要があります。
改正案を言う人の中には、とにかく自衛隊を明記すれば良いと考えている人がいますが、根本的な問題はそこではありません。
重要なことは、日本が独立国としてどのような防衛態勢をとり、その際にどの国と同盟を組むかといったことなどを自由に決めることができる憲法の規定にする必要があるということです。
読んでいただき、ありがとうございました。
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