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『男の子の脳、女の子の脳』(1) ―— 脳にも性別がある / 男と女は脳の構造も機能も違う

「翻訳本ですが『男の子の脳 女の子の脳』(草思社、2006)という書を紹介したいと思います。本の写真は下に載せました。」

女性

「結構、前に出版されたのですね」

「そうですね。18年前ですからね。著者のレナード・サックス氏は内科医であり、心理学者です。全米別学公教育協会の創設者です。男女の性別による違いを尊重する学びを推奨しています」

女性

「いわゆるジェンダー平等の流れに対するアンチの動きとして理解しても良いですか?」

「良いと思います。当時のアメリカの状況と日本の現在が同じような状況になってきているので、紹介しようと思ったのです」

女性

「私は別学で育ったのですが、今は何でも共学が良いみたいな雰囲気になっています。敢えてここで別学を主張する理由は何ですか?」

「脳科学的に見て、男と女の脳は、構造的に違うからというのが大きな理由です」

女性

「社会の中で男になる、女になるのだという主張とは違いますね」

「男と女は社会の中でつくられるというのがジェンダー平等の「出発点」です。子供は生まれた時には中性であるという説が根拠ですが、それは科学的に崩れ去ったと言っています」

女性

「頭から性器まで、それぞれの性を持って生まれるということですか?」

「そのため、男と女では遊び方、学び方、ケンカの仕方、世界の見え方や聞こえ方、すべてが違うと言います」

女性

「違うのだから、別々に学んだ方が良いという主張ですか?」

「簡単に言えばそういうことです」

女性

「違うからからこそ、その違いを認識するために共学という考え方も出てくるのではないでしょうか?」

「共学によるマイナスの要素の方が大きいと言うのです」

女性

「その辺りは、本論でお願いします。ここからが本論です ↓ 表紙写真は「学研キッズネット」提供です」

 脳にも性別があるーー男と女は脳の構造が違う

「脳が性的な器官であり、脳の性別が人間のジェンダーアイデンティティを決定するうえで最も重要であることを示す証拠は、さらに増えている」(コロンビア大学小児内分泌学博士、ガヤ・アラノフ、ジェニファー・ベル)。近代的な性差の研究は、1964年に始まったばかりだそうです。男性と女性、その持っている感性や感覚、体験的に違うものをお互い感じつつも、脳科学的な解析や心理学的な分析は、実はまだ端緒に就いたばかりなのです。

そして、21世紀に入ってからの研究で、動物のオスとメスの脳も含めて人間の男と女も脳そのものが「本質的に異なっている」ことが明らかになったそうです。実は、従来の見解は、ホルモンの分泌の違いから、男女の感性や感覚の違いが生まれると考えられていました。だから、男性ホルモン、女性ホルモンが分泌していない乳幼児の時期は、「中立状態」と考えて良いと考えられていたのです。ところが、そうではないという研究結果が多く発表されています。

女性の脳と男性の脳の大きさを比較研究した方が約100年前にいました。ドイツ人医師パウル・ユリウス・メビウスという方です。彼は同じ身長の男女の脳の大きさを比較した多くのサンプルを分析した結果、女性の脳の方が男性の脳より8~10%小さいことを発見します。そこから、彼は女性は男性よりも知能が低いと決論付けてしまうのですが、後々の研究で容量の小ささをカバーするように、血流が女性の脳の方が速いことが分かります。だから、知能的に劣るということは無いのです。

(「草思社、2006年」)

 構造が違うので、機能も違う

男女で脳の構造が異なっているので、機能も当然違います。どのように違うのか、これについても、実は現在研究の蓄積がなされているところです。1980年代に未熟児に対して音楽療法の効果について実験・研究された方がいます。フロリダ州立大学の大学院生のジャネル・ケイン氏です。彼は、月齢と体重がほぼ一致する未熟児に対して、ベビーベッドの横から音楽を流して、その発育と入院期間を調べたそうです。

一番効果があったのが、女の赤ちゃんで、男の赤ちゃんは効果が無かったそうです。そのことから女の新生児は音がよく聞こえることが分かったそうです。ルイジアナ州のキャシディ教授は、男と女の赤ちゃん、それぞれ350人を調べたそうです。その結果、女の子の聴覚は男の子より遥かに優れていることが分かったそうです

その頃に心理学者のコリン・エリオットは、11歳の女の子は同じ年の男の子と比べて、およそ10倍も小さな音に気を散らされやすいという見解を発表しています。教室内の喧騒が気になるのは女の子の方が多いはず。だから、それについての苦情も女子生徒からのものが多いはずだし、教員たちはそのことを体験的に知っているはずです。教室で耳を塞いでいるのは、女の子が多いと思います。

(「イラストワールド」)

 「女の子は名詞を描き、男の子は動詞を描く」(ドナ・トゥーマン)

ケンブリッジ大学のグループが、新生児の赤ちゃんに対して、何に対して興味を持つのかということで、簡単な実験をしたそうです。若い女性の顔と上から吊り下げた動くモビールのどちらに関心を持つかという実験です。結論的に言うと、女の赤ちゃんは若い女性の顔に興味を示し、男の赤ちゃんは動くモビールに関心を示したそうです。

何故なのかということですが、目の構造の性差から来ていると言います。目の網膜に光が入り視覚として認識されるのですが、その後の処理が男女で違うとのこと。男はM細胞で処理されるのですが、女はP細胞で処理されます。P細胞が集めた情報は、大脳皮質内の質感と色の分析を司る部位に送られますが、M細胞は大脳皮質内の空間関係と物の動きの分析を司る部位に送られます。そして、実際に男性の網膜が女性の網膜よりもかなり厚いそうです

そのような情報処理の特性があるため、「女の子は名詞を描き、男の子は動詞を描く」と心理学者のドナ・トゥーマンは言います。どういうことか。白い紙に自由に絵を描きなさいと言うと、女の子は人物や花などを明るい色を使って描こうとしますが、男の子は動いているものを暗い色を使って描こうとします。下の絵は、女の子が描く「典型的」な絵です。また、遊ぼうとするおもちゃにも性差が出ます。そして、実はサルにも同じ実験をしたところ、オスザルは電車とか動くものに興味を示し、メスザルは人形で遊ぶことが多かったそうです。

男女の違いは性器だけではなく、脳や情報伝達の仕方、情報処理の仕方など微妙に違っていることが分かってきたのです。性器を取ったからと言って、別の性になることは出来ないということです。

(「綺麗なママになりたい」)

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