「今日も中国シリーズですか?」
「そうですね、今、中国から目が離せないでしょう」
「だけど、物凄く疑問に思うことがあります」
「どうしたのですか? 何か?」
「コロナの問題を境にして、中国が世界に対して非常に攻撃的になってきているのですが、この原因は何ですか?」
「実は、私も分析中なのですが、習近平の国内基盤に亀裂が入り始めたためではないかという意見が結構根強いです」
「盤石ではないので、外に打って出るということを繰り返すということですか?」
「そうではないか、という人もいます」
「であれば、習近平という人は結構、単細胞ですね」
「中国最大の国家機密をばらしてしまうと、中国に行った時に向こうの警察に捕まりますよ」
「香港も含めて、中国には行けないかなと思っています」
「中国本土で当局に逮捕された日本人が、7,8人いますからね」
「そのうちの一人が刑期を終えて出所して、日本に帰ってきたというニュースが流れていましたね」
「できれば、どこの出版社でも良いけれど、インタビュー記事を載せて欲しいと思います」
「どこの誰かも分かっていないのですか?」
「実は、そうなんです。表向きの理由は、プライバシーということですが……」
「ここからが本論です ↓」
硬直した歴史観を頑なに信じる人たち
共産主義者は、封建主義、資本主義、社会主義、共産主義と歴史は進歩し発展する、ということを頑なに信じています。それが唯一「正しい道」であり、社会も人間もそのシナリオに添って進むことが、社会の繁栄、人々の幸せがあると考えます。
社会主義、共産主義の段階に進むためには、前衛政党である共産党の導きが必要だと彼らは考えます。「歴史の必然」というならば、何もしなくてもそうなるというのでなければ論理矛盾ですが、その点については突き詰めて考えようとしていません。
それはともかく、共産党の導きに対して、反対する動きも当然予想されますが、その反革命的な誤った動きを抑える必要があります。
ただ、反対する動きと一概に言いますが、党内での反対の動きと党外の反対の動きに分かれます。党外の反対の動きは封じる必要がありますが、党内の反対の動きは仲間の貴重な意見と考えて吟味する必要があるのではないでしょうか。
党内の反対の動きが本当に純粋な意見なのか、外部の反革命分子と通謀しての意見なのか分かりません。そこを見極める必要がありますので、盗聴、スパイ、密告といったことを利用する必要があります。
そのような手段を使って、党内意見者が外部の反革命分子と繋がっている場合は、粛清の対象となります。それはつまり、党内で意見を発してはいますが、実質的には外部者の意見と認定できるからです。
そして実際には、純粋な意見なのか、外部の反革命分子と繋がっての意見なのかを見分けることはできません。そして、前衛党として一つの意見にまとめることが必要です。ということは、執行部原案に従うことが、全党員に求められるという理屈がここで成立し、それを「錦の御旗」にして反対派を弾圧していきます。
権力闘争の連鎖が続くことになります。
下放政策により精神が歪む
下放政策は1968、69年くらいから76年まで、7,8年続くのですが、中国の都市部の高卒青年たちを農村に連れて行って、そこで農作業体験をさせます。最初は人民公社に配属されて、そこから農村に派遣されるのですが、もちろん農作業をしたことがないので、現場では殆ど邪魔者扱いです。
そのように下放された高卒青年のことを「知識青年」と言います。約2000万人の「知識青年」がいたそうです。1977年に鄧小平が「知識青年」たちに都市部に戻ってもよいと言います。毛沢東の死によって、路線変更がなされます。
人間というのは、自分の行動に必然性があれば、そこから何かを学ぼうということで前向きに生きられますが、高校まで出て、いきなり農村に追いやられると、自分の立ち位置に困った者が相当いたのではないかと予想されます。習近平主席、李克強首相、王穀外相はすべて「知識青年」として、農村に下放に行っています。
習近平は下放をして「農村生活をスタートした直後、重労働に耐え切れず逃げ出しています。しかし北京に受け入れてくれる場所がなく、数か月後に農村に戻る羽目になった」(石平、矢板明夫『私たちは中国が世界で一番幸せな国だと思っていた』ビジネス社.2018年/50ページ)そうです。
こういった下放の体験によって「彼らはそうとう心が歪んでしまったし、精神のうちに分裂しかねないものを宿らせてしまったのでしょう。それがいまの中国が非常におかしなことになっている原因の一つではないか」(石平、矢板明夫 前掲書/50ページ)と矢板氏は分析しています。
階級社会を作ることにより、外資を呼び込む
世界に多くある資本主義国はやがて限界が来て、社会主義、共産主義に移行せざるを得ないと、彼らは考えます。社会主義、共産主義が歴史の必然ですので、最後はすべての国が共産主義国になるはず、そしてそれを導く使命をもった国が、中国であると考えるのです。
世界をリードするためには、経済発展しなければならず、そのためには外資を呼び込む必要があります。そのためには、安い賃金で働く労働力が国内に多くいることが重要です。それを目当てにして、中国に進出してくる企業があるからです。
安い労働力が中国国内にあるということは、進出してきた企業が利益を出しやすいということです。その利益の何パーセントかを税金というかたちで共産党政府が吸い取ってしまえば、中国の安い労働力によって得た利益の分け前にも預かることができるということです。
あと、共産党が君臨するためには、国民の協力が必要です。民主主義国的な協力ではなく、周りで不穏な動きがあれば密告する、そして「不純分子」は銃殺刑によって葬り去ることを多くの国民に見せることによって、共産党政府に逆らおうとする気持ちをなくさせてしまう、こういったことが体制の安定にとって重要と考えるのです。
「毛沢東が生きていた時代、毛沢東に歯向かえば不敬罪、反革命罪で一律死刑になりました。だいたいあの頃の中国には法律が存在しなかった。法律のかわりとなる数十条におよぶ暫定法を制定し、その第一条に『毛沢東主席に対し悪辣な攻撃を打った者は、何人であれ、一律死刑に処す』」(石平、矢板明夫 前掲書/61-62ページ)という規定があったそうです。
ゴミ拾いをして生計を立てていたお婆さんが、野菜を毛沢東の顔写真が掲載されていた新聞紙で包んだそうです。そのため「悪攻罪」ということで銃殺刑にされたそうです。そのような銃殺刑が、最近になってまた復活したとのこと。
習近平の暴走は、内も外も関係なく起こり始めたということです。余程、自分自身に自信がないのでしょう。
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