「これは石平氏が『産経』(7.18日付)に書いた情報ですが、中国には青年養老院というのがあるそうです」
「何ですか、それ?」
「彼が地元紙を読んで見つけたと思うのですが、重慶、鄭州、合肥、洛陽などで相次いで青年養老院が誕生して静かなブームになっているそうです」
「入所している人は青年なんでしょ?」
「入居条件が45歳以下ということですが、実際の入居者は殆どが20代、30代の若者だそうです」
「入居費用はどのくらいですか?」
「月3万3千円が平均的な相場のようです。炊事と掃除は原則的に当番制とのことです」
「それ以外は自由に過ごして良いのですね」
「散策、スポーツ、農作業など何をしても自由、時には入居者同士の音楽交流、読書会などで気ままに時を過ごします」
「そういう生活も短期間なら良いなあと思いますけどね……」
「そのまま一生というのはイヤですか?」
「何のために生まれて来たのか、分からなくなるじゃあないですか」
「確かにそうですね。ただ、もともと共産党の目標とする社会というのは、必要に応じて必要なものが手に入る社会です」
「青年養老院が理想のコミュニティということですか? ここからが本論です ↓ 表紙写真は「産経新聞:産経ニュース」提供です」
青年養老院に入居希望の若者が増えている――中国
青年養老院というワードで検索すると、確かに様々な情報が出てきます。これは「かとチャンと仏教ブログ」からの情報ですが、7月上旬にオープンした青年養老院の場合、何百人という入居希望者が列をなしたとのことです。数年前に話題になった「寝そべり族」たちが、今度は青年養老院に移ったということなんでしょう。
この現象をどう見るかということです。中国は中央集権国家であり、完全な監視抑圧社会です。社会に対して不満を発すれば、拘束されるか弾圧されてしまう。それは時には親類縁者にも害が及んでしまう。かと言って、就職しようにも働き口がない。若者たちが現実逃避の場所として選び始めたということなのでしょう。
これは憶測ですが、青年養老院に入所している人の多くは短期入所を想定しているのではないかと思っています。様々なストレスから解放されたい、そんな欲求が社会逃避の場所として選んだのが青年養老院だと思います。ただ、この現象が拡大、永続化するようなら、中国社会の先行きは暗いものとなります。
(「GOtrip.hk」)
外部に発信すべき情報を秘匿している
どちらかというと中国に対して好意的なポジションから記事を書いていた『日経』が結構厳しい論調で社説をこの間続けて発信しています。「中国は経済への懸念にきちんと答えよ」(7/17日付)と「中国不況を真剣に論じたのか」(7/20日付)です。中国との商取引をメインとしている日本企業が多く存在する中、中国経済の先行きが見通せなくなっています。そんな苛立ちが反映された文章になっています―—「習近平政権は状況をきちんと説明しようとしていない」(7/17)。
つい最近、「3中総会」が開かれました。「3中」は、党大会の後に開かれる3回目の中央委員総会という意味です。会議は非公開で行われ、閉会後に国営メディアを通じて概要を発表して記者会見というのが従来の流れですが、今回は記者会見を取りやめたのです。都合の悪いことを聞かれたくないからでしょう。
それでは困るというのが、『日経』の主張です。日本企業も今後どのように対応して良いのか、判断に困るということです。不動産不況の対策とその見通しを現状でどのように考えているのかといったこと位は話して欲しいということです。
(「NHKニュース」)
米中間の対立―— 今以上に先鋭化する恐れ
記者会見を開けば、手の打ちようのない苦境を白日のもとにさらすことになりかねないという判断だと思いますが、逆にそれが日系企業に不安感を増幅させています。さらに技術移転の強要や貿易の制限といった経済的威圧を受けたりする中で、撤退を決意する日本企業が出ています。それに加えて「経済安全保障の観点から、現地での事業展開を敬遠する向きも顕在化している」(『産経』2024.7.19日付)とのことです。
さらにそこにアメリカ大統領選の行方が絡むことになります。バイデン氏が立候補を取りやめたので、「もしトラ」というより「かなトラ」(かなりトランプ)になってきました。そうなると、中国に対して厳しい態度をとることが目に見えています。バイデン米政権は、トランプ前政権が発動した3700億ドル(約55兆円)相当の対中制裁関税の大部分を維持していますが、トランプ政権になればそれを厳しくすることはあっても緩めることはありません。中国依存を減らすために同盟・友好国との貿易やサプライチェーン(供給網)を重視する「フレンド・ショアリング」を進めるだろうと思われ、中国からの輸入は今後さらに縮小する可能性が高いと思われます。
米中間の対立は、今以上に先鋭化すると思われます。そういう中で、日本としてどのポジションに立つのか、曖昧な態度を許すようなトランプ氏ではないと思います。
(「ニュースイッチ」)
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