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「共産主義社会」という空想の目標を立てること自体が誤り ―― 資本主義ではなく自由市場経済 / 社会主義経済のソ連は破綻

「今日(1/24)の『日経』に「党首公選は規約逸脱」という記事が載りました」

女性

「前回のブログで共産党はどういう反応をするのか予想をしていたのですが、ほぼ予想通りでしたね。それにしても、反応が早いですね」

「『シン日本共産党宣言』(以下『シン』)の発売日が1月20日ですからね。わずか4日目で回答が来たということです」

女性

「何でこんなに早いのですか?」

「『週刊文春』の記事によると、この本以外に2冊、同じような内容の本が同時発売されたようなんです」

女性

「ということは、3冊が一度に出たということですね。偶然ですか?」

「『シン』の著者の松村氏が働きかけをして、同時発売を仕組んだようです」

女性

「全部、党員の方が書いたのですか?」

「そうですね。内部告発的な性格の本なので、反共本とは違います。党内に動揺が走るとマズイので、早めに見解を出したということでしょう」

女性

「『日経』の記事に志位委員長のコメントが載っていますが、何か敵視したような内容になっていますよね」

「規約違反であり、綱領から逸脱していると言っていますので、もしかしたら除名処分があるかもしれません」

女性

「党員として真面目に意見を言っただけでしょ」

「本の中で結構共産党の内部事情を書いていますので、そういう面から問題視される可能性はあると思います」

女性

「言論、表現の自由が党員にもあると思うのですが……」

「前回に書きましたが、共産党の党員の位置付けは、他の政党とは違います。簡単に言えば、兵隊の一員なんです。兵隊は普通、発言しませんよね。そういう捉え方なので、今回一党員から意見、しかも出版という形で出てきた。少し、ショックを受けているのではと思います」

女性

「ご意見有難うございます、検討させて頂きますくらい、言ったら良かったと思いますけど……」

「そういう対応が取れる政党ならば、そもそも今回の本の出版自体がなかったと思います」

女性

「ここからが本論です ↓  表紙写真は、「JBpress」の提供です」

 『シン』の内容は全般的に前向きな提言になっている

『シン』の著者の松村氏は共産党傘下の青年組織である民主青年同盟の国際部長、衆議院議員の秘書、党中央政策委員を歴任しています。2006年に志位委員長との間に大きな意見の相違が生まれたため退職をするのですが、それまで専従活動家として党内のエリートコースを歩んできた人です。

本の中では一党員と言っていますが、その経歴を考えると、党内の事情について多くのことを知っているのでしょう。いくつか具体的な内部のやりとりの紹介もあり、知ることが出来ない世界の一端が分かったようで、そういう意味では興味深い内容となっています。

『シン』の内容は全般的に、現在の共産党中央に対しての前向きな提言になっています。党首公選を採用すると、どのような良き効果が期待できるか、必要な理由を書いています。そして、著者自身が本の中で規約違反でもないし、綱領の枠内での提案だということを本文の何か所かで言っています。つまり、反旗を翻す意図はないという意味のことを重ねて述べています

(『週刊文春』1月26日号)

 「共産主義社会」という空想の目標を立てること自体が誤り

『シン』を読むと、共産党の人の思考パターンが分かります。今まで、何でそういう結論になるのか分からなかったことが、この書を読んで理解できた部分もあります。ただ、理解というのは、納得ということではなく、彼らの思考回路というものが分かったという意味です。

一番問題なのは、共産主義社会という空想の目標を立てた上で、そこから演繹的に思考を巡らしていることです。これがそもそもの誤りです。「まず強調しておきたいのは、共産党がめざす社会主義・共産主義とは、一切の戦争がない社会だということである。そもそも国家権力が不必要な社会なのだから、権力機構である軍隊も存在しない社会である」(『シン』242ページ)。この短い文章を読んだだけでも、いくつもの「?」が付きます。

強調するのは勝手ですが、社会主義と共産主義はどう違うのか? 何故、「・」なのか? どうして社会主義・共産主義になると、一切の戦争がないのか? 国家権力がなければ犯罪者をどうやって取り締まるのか? 国会や政府もないということか? 国民はどうやって経済生活をするのか? などです。どう考えても、空想の世界の絵空事としか思えません。現実の世界と論理的に全く繋がっていないからです。目標自体が、地に足がついていません。夢、幻を追い掛けて人生を棒に振ることはないと思います。夢、幻を叫んでも誰もついて来ません。100年経ってもわずか2~3%の支持率しかないのは、そこに根本原因があるのです。

 

 資本主義ではなく自由市場経済

次の誤りは、資本主義という言い方です。「主義」というのは、誰かの考えという意味ですが、経済は誰かの主義・主張をもとに動いている訳ではないので、自由市場経済が正しい言葉の使い方です。そして、自由市場経済というのは、人類の発生とほぼ同時に成立をしています。最初は物々交換だったかもしれませんが、とにかく売買市場の中で取引がなされていたことは事実です。現代経済は仕組みや態様が複雑になり、規模も大きくなっていますが、自由市場経済という原則は何ら変わっていません。人類の歩みと共に生まれたものは、人類が存続する限り続くと考えるのが自然だと思います。

共産主義者の論理の進め方は、自分に都合が悪い言葉を別の言葉に置き換えた上で、そこから論理を展開していくという手法をよく使います自由市場経済を資本主義に置き換え、あたかもどこかで命脈が尽きることを臭わせながら、その次の経済は社会主義という論法を採ります。ただ、革命によって社会主義・共産主義を目指すと言っているので、それは政治的な用語のはずです。であれば、社会主義・共産主義の対抗概念は民主主義でなければなりません政治的用語と経済的用語をごちゃまぜにして、都合の良い方を採りながら論を進めています。

(「公正取引委員会ホームページ」より)

 社会主義経済を採用している国は上手くいっていない――ソ連は破綻した

社会主義というのは、生産手段つまり工場や生産設備を国有化(公有化)するという考えです。マルクスの用語です。19世紀に出てきた考えです。時代の中で出てきた考えは、時代の中で終焉を迎えます。そして、その考えが人間の行動に適わず不自然なものであれば、命脈が尽きるのも早いものです。

現実社会を見ると、社会主義経済を採用していたソ連はわずか3/4世紀の命でした。現在なお社会主義経済を国家として標榜しているのは、北朝鮮、キューバくらいのものです。いずれも上手くいっていません。中国やベトナムは一党独裁国家ですが、経済は自由市場経済を採用しています

社会政策は、データを集めて、事実に基づいて帰納法的に判断するということだと思います。

(「https://www.youtube.com/channel/UCsi7YN3qH7LuauDBGw」)

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