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『シン・日本共産党宣言』(文春新書) について ―― 共産党にとって党員とは何なのかを定義することがまず重要

女性

「このブログは週3回配信(火、木、土/但し休日は休)しています。改めて、お知らせ致します。前回は講座派、労農派のお話でした。私自身、初めて聞いたことばかりで驚きました」

「教科書には、載っていませんからね。今は、大学でも教えないでしょう」

女性

「質問なんですが、その講座派、労農派のそれぞれの学派は、その後どのように展開、あるいは収斂(しゅうれん)していったのですか?」

「両派は激しく論争し、対立します。そして、前回お話したように、講座派の立場の人たちが日本共産党の主流派となります。今の共産党は、分派を物凄く嫌がります。それは、労農派との論争の歴史があったためだと理解しています」

女性

「一つにまとまらないと、力を発揮できないからだと単純に思っていましたし、委員長公選もしないと思っていました」

「彼らは、同じように捉えていますが、分派の問題と委員長公選は別問題です。委員長公選を実施しただけで、党がバラバラになるようなら、元々何か問題があるということです」

女性

「自民党も立憲も委員長公選を実施しましたものね。だからと言って、結果は結果として尊重するという感じでした」

「約半世紀にわたり共産党員として活動し、政策委員会で安保外交部長を務めたこともある松竹伸幸氏が『シン・日本共産党宣言』(文春新書)を出版、その上で党首公選を求めて立候補する意向を表明しています」

女性

「実現しそうですか?」

「難しい判断だと思いますね。まだその本をきちんと読んでいないうちに結論を言うのは乱暴かもしれませんが、直感的には私は9、1で「しないだろう」と思っています」

女性

「そんなに可能性が低いのですか?」

「共産党中央は、いろいろ理屈を並べて実行しないと思います」

女性

「どんな理屈が考えられますか?」

「歴史的に行ったことはない。公選の中で論争を繰り広げて党内に路線対立が生じる可能性があり、そこから分派活動が生まれる可能性がある。そんなところでしょう」

女性

「ここからは本論です ↓ 表紙は「福岡県民新聞社」提供です」

 共産党にとって党員とは何なのかを定義することがまず重要

共産党は自他ともに認める革命政党です。そのため、党員は他の政党とは自ずと違う役割を担わされることになります。党員にまず第一に求められるのは、中央委員会の下に結束することです。意見を言うことではなく、まず中央の方針を学び、それに従って行動することが求められています。そうでなければ、いざ革命と言った時に、まとまって行動できず失敗に終わってしまいます。それでは、前衛政党としては失格だからです。

第二に求められるのは、党勢拡大です党員と機関紙『赤旗』(しんぶん『赤旗』としていますが、内容的には政党の主張を前面に出した立派な機関紙)を増やすことが求められています。時には、「拡大月間」ということでノルマ的に課されます。党勢拡大が日本の未来を切り拓くという謳い文句のもと、献身的に活動している多くの党員がいると思います。日々、党中央の方針を学びつつ、そこからの指令を忠実に実行することが党員一人ひとりに求められています。

この2つが他の政党の党員とは全く違うところでしょう。国民に参政権が与えられ、議会政治が成立している日本社会の中に於いて、そういう活動が本当に必要なのか、根本的に問題にして欲しいのですが、『シン・日本共産党宣言』には、そういう視点はありません。

(「2022年参議院選/うんどうnet」)

 

 野党共闘にこだわる理由が分からない

松村氏は「人間の顔をした資本主義」を提唱し、「『左側の自民党』をめざすべき」と言います。であれば、野党共闘にこだわる必要はありません。与野党共闘で良いはずです

野党共闘を提唱するのは、階級闘争が頭の中にあるからです資本家階級対労働者階級という今から150年前にマルクスが立てた公式を未だに信じて守っているのです。自民党や公明党は資本家階級の利益を代弁する政党なので、「敵」側のため共闘することは出来ない。共闘できるのは、労働者階級の利益を代弁する政党に限られます。彼らが、共闘の一番手として考えているのは、立憲民主党です。

ただ、階級というのは固定的身分制度という意味です。つまり階級社会というのは、生れ落ちた瞬間から、どの階級に所属するかが決まり、本人の意志でそこから抜け出すことは出来ないため、生き方もある程度決まってしまう社会のことです。

マルクスは150年前の工業社会を見て、資本家も賃金労働者も常にその身分のままであり続ける実態を見て、まるで封建時代の階級社会のようだと思い、批判的な意味を込めてつくり出した言葉が資本家階級、労働者階級という言葉です。ただ、現代世界の先進国において、そういう言葉は当てはまりません。

現代の日本を見ても分かりますが、高校生が起業しています。資本金が0円でも起業しています。共産党の「公式」を当てはめると、高校生はその瞬間に資本家になってしまいます。実情に合わない理論になっている証左です。そもそも、同じ会社や国の中で、敵味方がいるという考え方は、どう考えても変です。経営者(資本家)と従業員(労働者)は協力して利益を生み出すために、同じ方向を向いて働いています。また、喧嘩(争い)を前提に政党を結成するのも妙です。世界に日本しかないのならば、理屈は何とか成り立ちますが、国際社会の中の日本ということを考えれば、かなり無理があります。国が弱体化すれば、周りの国に滅ぼされる危険性が高まるからです。

 

 帝国主義的振る舞いをしているのは、共産主義に共感している国

日本共産党にとって最大の敵は、アメリカ帝国主義という捉え方です。これについては、松村氏も同意見です。帝国主義というのは、領土を強権的に奪う意図をもった国ということです。

ただ、実態を見る限り、帝国主義的振る舞いをしているのはロシア、中国、北朝鮮です資本主義というより、むしろ共産主義に共感しながら国づくりを進めてきた国です。それら3国に共通しているのは、反米です。反米という一点において、日本共産党もそういった近隣の3国に対して親しみを感じているはずです。ただ、現在の振舞いを見れば露骨に賛同する訳にはいかず、抑えてはいますが、内心日本の政府よりも親近感をもって見ているはずです。

ただ、本音を隠していても、そんなものは観察していれば分かってしまうことです。

(「インペリアリズム漫画1882/ホーム&キッチン」)

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