「年の瀬も押し迫ってきました。イブには、クリスマスプレゼントを上げたのですか?」
「学校に行って、何をプレゼントしてもらったのかという話題に必ずなるので、上げない訳にはいかないのですよ」
「成る程、私の子どもの頃は、クリスマスプレゼントは話題にならなかったですけどね。これも時代でしょうね」
「そして子供たちの話題は、ゲームとユーチューブですね」
「少し前だと、スマホを持たせるか持たせないかという議論がありましたが、持たせないという選択肢は無くなりつつありますね」
「目にも悪いし、姿勢も悪くなるので、親としては心配ですけどね」
「心配は尽きないというヤツですね」
「日本のことも心配ですけど、私の場合は目線が身近なことについ行きがちになります」
「それはある意味、当然かもしれません。ただ、それらは国内外の様々なことに繋がっていると思うことが大事です」
「形式的に分けないようにするということですね」
「ジャンルというのですが、特に日本人はジャンル別に考えたり、順位をつけて考えたり、肩書だけ見て判断したりという変なクセがあります」
「型にはめて考えるとよく分かることもありますよね」
「社会の問題は、型に入れないで、俯瞰することによって分かることの方が多いと思いますけどね」
「この問題もそうかもしれません。ここからが本論です ↓」
ダイハツの問題―—事実関係の報道で終始するマスコミ
ダイハツ工業で起きた品質不正事件が明るみに出て、国内の4工場が全面的にストップするとのことー―「不正は25の試験項目におよび、現在国内で生産・開発中の28車種すべてで見つかった」(『日経』2023.12.21日付)。国土交通省の立ち入り捜査もあり、工場の操業停止は2月末日までかかる見通しとのことです。
どうして、こういうことが起きるのか。組織のあり方に、何らかの原因があるはずです。マスコミの本来の役割は、その原因を探り当てることですが、表面的な原因―—「順法意識に乏しい企業風土」「経営陣が現場任せ」―—を並べているだけです。新聞が読まれなくなっているのは、こういった報道姿勢にも原因があると思っています。
(「You Tube/KYODO NEWS」)
ダイハツにとっての転機はトヨタの連結子会社になった時
ダイハツの設立は1907(明治40)年です。日本最初の国産エンジンを発明した企業であり、老舗企業です。「Wikipedia」によると、創立50周年の1957(昭和32)年に販売したミゼットが国内と東南アジアで大ヒットとなり、オート三輪部門で一二を争う企業となります。1977年にはダイハツ独自開発のコンパクトカーであるシャレードでカーオブザイヤーを受賞しています。社名もダイハツ自動車販売株式会社とし、四輪部門に本格的に参入、三輪部門で培った技術を生かして大躍進を遂げます。
ダイハツにとっての転機はトヨタの連結子会社になった時でしょう。トヨタがダイハツの全株式の51.2%を取得します。さらに2016年には100%の株式を取得して、完全子会社とします。社長もトヨタからの天下りが派遣されるようになります。ダイハツという名前は残っているものの、実際にはトヨタに丸呑みされた格好です。古参の社員の中には、このことについて納得できない人もいたのでしょう。こういう小さな感情を無視したために、大きな亀裂として広がっていったのだと思われます。
大企業が他企業を資本的に併合するというM&Aは、経済界ではよくあることです。ただ、行為が合法的に行われたとしても、そこで働いている人達の感情面の手当を同時に行う必要があります。何もしなかったのでしょう。何もしないと、下の表のように不正が起きることになります。
(「読売新聞オンライン」)
一つの組織として纏まるための「作業」をしていなかった
「Wikipedia」によると、トヨタ自動車としての出発は1933(昭和8)年です。豊田自動織機製作所から自動車部を独立させます。これがトヨタ自動車の始まりです。ダイハツの方が26年歴史が古いのです。要するに、後発企業に吸収されたのです。業績悪化によるM&Aなら諦めもつきますが、決してそうではない。自前の工場を持ち、ブランド価値も出てきた。愛着をもっている社員と技術者たち。永年の操業の歴史の中で培った社風もあったのでしょう。そこに資本の論理だけで押し寄せてきた会社があったのです。
第三者委員会は、不正が起きた原因についての報告書を出しました。そこには「チェック体制の不備」や「法規の不充分な理解」などが指摘されていますが、根本的原因は、一つの組織として纏まるための「作業」をしていなかったことに尽きます。2つの組織が1つになる。すべての構成員が心を一つに出来るような目標を設定し、新しい歩みを全従業員がイメージできるようにしなければいけなかったと思われます。多分、その作業をしていないのでしょう。
WBC決勝の前の大谷選手の「憧れるのを止めよう、彼らを乗り越えるために来た」という言葉でチームの心が一つにまとまりました。人間は感情の動物なので、その気にさせるかどうか、指揮者の腕次第だと思います。やる気を無くせば、エラーも不正も生まれます。
(「note」)
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