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消えゆく言葉、失われる文化 —— 方言が語る日本の未来 / 「方言は国の宝」、どう守り、次世代に伝えるか

「30年後には、方言がなくなるだろうと言われています」

女性

「私は方言は喋れませんが、そういう話を聞くと、なんとなく寂しい感じがします」

「私の若かりし時代は「方言=田舎者」という感じで捉えられるので、方言を喋らないようにしていました」

女性

「ご出身はどこですか?」

「名古屋です」

女性

「名古屋弁も独特ですよね」

「東京に出て来て通じなかった言葉が「まわしをしろ」と「いこみゃあ」ですね」

女性

「まわしというのは、お相撲さんのまわしですか?」

「違います。準備をしろという意味です。「行こみゃあ」というのは、レッツ、ゴーの意味です」

女性

「成る程、通じないでしょうね」

「その時に、「えっ、これは方言だったのか」と思いました」

女性

「その位、当たり前に使っていたということですね。ここからが本論です↓ 表紙写真は「JBpress」提供です」

 沖縄に集中する「絶滅危機方言」——なぜ消えそうなのか

ユネスコ(国連教育科学文化機関)は、世界でおよそ2,500の言語や方言が消滅の危機にあると発表しています。その中に、日本国内の8つの方言が含まれており、特に沖縄地方に集中しています。具体的には、【極めて深刻】な危機にあるアイヌ語、【重大な危機】とされる八重山方言、与那国方言、【危険】とされる八丈方言、奄美方言、国頭(くにがみ)方言、沖縄方言、宮古(みやこ)方言が挙げられています。

文化庁では、これらの言語・方言の保存や継承に向けた取り組みとして、実態調査や普及活動を実施しています。『日本語方言大辞典』(1992年)によれば、本土の方言は北海道を含めて20種類、琉球地方には5種類の方言が存在します。今回危機とされたものが沖縄に集中している背景には、歴史的な要因があります。

明治時代以降、沖縄では学校教育の現場で方言の使用が禁じられてきました。方言を話すと「方言札」(下の写真)を首にぶら下げるという罰を受ける制度も存在したとされます。さらに、戦後の学習指導要領でも、1950年代頃まで「標準語を指導すべき」と明記されていました。加えて、テレビの普及によって標準語が日常に浸透し、方言を使う機会が激減したのです。このように、制度と社会環境の変化によって、方言が急速に姿を消しつつあるのです。

(「毎日新聞」)

方言が育む地域文化と仲間意識

かつて「訛(なま)りは国の手形」と言われたように、方言はその人の出身地を表すと同時に、地域社会における重要なコミュニケーション手段でもありました。方言を通じて、地域内での仲間意識が育まれ、人と人との絆が強められてきたのです。地域文化は、そうした共同体の中から生まれるものであり、方言はその文化形成に欠かせない役割を果たしてきました。

明治以降、中央集権化を進めた政府は、富国強兵政策の一環として徴兵制を導入しました。その際、全国から集められた兵士が意思疎通できるよう、東京の中流家庭で使われていた言葉を「標準語」として定めました。これが今日の「国語」の基礎となり、教育現場でも標準語の指導が徹底されました。

しかしこの一元化の動きは、方言を排除する結果を招きました。本来であれば、方言も標準語と並行して学び、使えるようにする選択肢が取られるべきでした言葉の多様性が損なわれたことで、明治以降の日本では、地域性に根ざした文化の新たな創出が困難となった原因ともなったと思われます。

     (「タウンワーク」)

方言は国の宝——未来へ継ぐ知恵と情感

「方言は国の宝」という言葉には、それぞれの地域で育まれた言語表現が、国の財産であるという意味が込められています。方言には、地域ごとの歴史や文化、そして言葉に込められた独自の情感が詰まっており、その多様性こそが日本文化の豊かさを象徴しています。

たとえば、NHKの朝ドラ『あんぱん』では高知弁が頻繁に登場します。高知出身の友人がいる筆者にとっては、ドラマを通じて懐かしさや温かさを感じる瞬間がありました。方言には、人の心を和らげ、厳しい内容であっても優しく伝える力があるのです。

方言をこのまま放置すれば、将来的にすべて消えてしまう危険があります。沖縄では、学校での方言教育や方言による作文コンクールの実施など、積極的に継承の取り組みが行われています。また、AIを活用した標準語と方言の自動翻訳技術など、デジタル技術を活用した保存方法も模索されています。方言の継承は、単なる言葉の保存ではなく、日本の精神的な豊かさを次世代へ伝える行為なのです。

(「産経新聞:産経ニュース」)

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