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教員採用が危機的状況 ―— 教育軽視政策の転換を考える時 / 新任をいきなり現場に放り出すのは乱暴

「文科省が35人学級や教科担任制の拡充のため、来年度7,700人増員の方針を打ち出しました」

女性

「全国で7,700人増やすという意味ですよね」

「そうですね。単純に教員を増やすだけではなく、生徒指導担当教員を全校に配置したり管理職をサポートする人材を配置したりする人を増やすそうです」

女性

「現場の先生を見ていると大変そうですので、総論は賛成ですが、対応が後手に回っている気がします」

「省庁は原則として、対症療法しかできないと思います」

女性

「それはどういうことですか?」

「法制度を作るには、政治家のリーダーシップが必要だからです。教育に問題意識を持っている政治家がいないのではないかと思います」

女性

「だから教育審議会があるのでしょ」

「審議会のメンバーだからと言って、必ずしも教育現場の状況を把握している訳ではありません」

女性

「それはどうしてですか?」

「大学や学会、各種方面からの推薦があって選ばれているのですが、一種の名誉職のようになっています」

女性

「ここからが本論です ↓ 表紙写真は「横浜高等教育専門学校」提供です」

 新任をいきなり現場に放り出すのは乱暴

生徒数は減っているのに、教員の数は増員する。要するに、現場が年々大変になっている状況の表われです。新人教員については、来年度より割り当て時間数を減らすとのこと。ある意味、当たり前の措置がようやく令和の時代になって少し実現したということです。

新人教員については、1年間は担任を持たせないで、学級か学年の副担任として処遇し、教員としての心構えを含めて、日々の業務を指導する人間を付けるべきなのです。教員は一種の技術職なので、我流で指導されると被害が子供たちに及ぶからです。

どの仕事をするにしても、新任で入った年は右も左も分からないような状態です。企業はオリエンテーションや研修期間を設けたり、先輩社員を指導係として付けたりして、戦力として使えるような人材に育てようとします(下の写真参照)。ところが、公立学校の教員は、いきなり現場に放り出されます。発想とやり方が乱暴です。「一事が万事」という言い回しがありますが、すべてこの発想で教育行政が行われています。

(「インソース」)

 減少の一途をたどる教員採用試験の応募者

教員が不足しているという声をよく耳にするようになりました。各自治体が実施する教員採用試験に応募する人が年々減っています。昨年度のデータを見ると、さすがに1倍を切った自治体はありませんでしたが、1倍台の自治体が24ありました。一番低かったのは、秋田県の1.0倍です。全国の平均は2.3倍でした。

事態がかなり深刻化してから慌てて対策を講じていますが、実はその兆候は約20年前から現われています。その時に、今回のような措置を取っていれば、傷口は広がらずに済んだと思われます。病気と同じで手当てのタイミングがズレれば、手遅れになることがありますが、そんな状態になってきています。

(「東京新聞」)

 教育軽視政策の転換を考える時代

この原因をどう捉えるかということですが、当局は手当てを上げたり、勤務条件を良くしたりすれば志願者の回復ができると思っているようです。現行は月給の4%を調整額として上乗せしていますが、文科省は13%上乗せを考えています。さらに「勤務間インターバル」ということで終業から始業までを11時間とするルールを導入し、さらに残業時間の目安を月45時間以内とする予定だそうです。そういった小手先の手直しの効力は短期的なもので終わるでしょう。

こういった原因の根底には、戦後からの教育軽視政策があることは間違いありません。GDPに対する公教育費の支出割合は2.8%( OECDの平均4.1%)であり、OECD37か国中36位でした。そのため、教育費を各家庭が負担する割合は当然高くなります。大学などの高等教育を受ける学生の私費負担の割合は67%と高く、OECDの平均31%の倍以上です。

お金をかけて、ヒトを養成しなければ、何事も上手くいきません今年度より教職大学院大学修了者で正式に教員になった者に対して、在学中の奨学金の返還を全額免除にする措置が取られるようになりました。そういった資金面のサポートと併せて、アイデンティティが確立するような教育課程を導入して、子供たちのために働きたいと純粋に考えている人が教職の道を歩めるようにすべきなのです。

(「日本経済新聞」)

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