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学校現場の充分な準備なしの拙速な導入 / 1人1台のタブレット配布――「GIGAスクール」構想

「文部科学省は2月9日、萩生田文部科学大臣が2019年度から国が進める学校教育のデジタル化政策についてユーチューブで配信をしました」

女性

「文部科学省がユーチューブを使っての配信と聞いて一瞬驚いたのですが、もうそういう時代なのですね」

「というか、その位、このことについて力を入れているかということで理解をした方がいいかもしれません。今年の4月から「GIGAスクール元年」と言っていますからね」

女性

「その「GIGA」というのは、何ですか?」

「Global and Innovation Gateway for Allの略です。Gatewayというのが入り口、門という意味なので、技術の力を使ってすべての子どもたちを世界に向けて羽ばたかせるような教育をしますということではないでしょうか。ギガバイトのギガではありませんので、念のため」

女性

「1人1台のタブレットを保障すれば、羽ばたけるのですか?」

「そういうふうに改まって聞かれると、返答が難しいのですが……」

女性

「私が心配しているのは、少し「前のめり」になっている感じを受けるところです」

「「前のめり」と言うのは?」

女性

「昨日のブログでも指摘されていましたよね。何かタブレットが万能の機械であると思っているフシがあるので、親としては少し不安なんですよね」

「タブレットはあくまでも道具であり手段です。ということは、長所もあり短所もあるということです。それを見極めて使う必要があります」

女性

「ただ、そういう感じになっておらず、「1人1台端末」だから漢字ドリル、計算ドリルいらないよね、ということで現場は動いているみたいなのです」

「ドリルは買わせないということですか?」

女性

「ペーパーレスの時代でもあるし、タブレットが導入されるのでいらないのではということで話が進んでいるのですが、小学生のうちは鉛筆を持たせて、きちんと書かせ計算させるのが基本中の基本だと思います」

「私もそう思いますが、「GIGAスクール構想」の話を聞いていると、日本人の悪い「クセ」が少し出ていると思います」

女性

「横文字に弱く、新しい流れを無批判に受け入れる、という悪い「クセ」ですね」

「お上に対して忖度が働いて、それについていく多くの民衆、そんな感じを受けます」

女性

「ここからが本論です ↓」

 現場の充分な準備なしの拙速な導入

小中学校の児童生徒への1人1台の学習者用コンピュータの配布と校内LANの整備などを通して、学習意欲の向上や多様な学習を目指すというのが、文科省の方針とのことです。もともと2023年度までに配備完了をする計画だったのですが、コロナ禍もあって計画を前倒しして、本年度中の実現を目指すということだそうです。

ただ、小学校低学年にも導入をしようとしていますが、目の健康上問題がある上、まだ字を満足に書いたり読んだり出来ない段階で端末を持たせる必要は全くありません

そして、新しいツールを導入する場合は、まず教員がそれを使いこなすための研修を重ねることを最初にするべきですが、それをすべて殆ど行うことなく導入しようとしています。この発想は結構危険な発想です

良いものは早くという反論が来そうですが、準備万端という言葉があるように、それがないままの見切り発車のような導入は現場の支持を得られませんし、却って逆効果になるだろうと思っています。

 

 賢者は最悪を考えて、最善の途を選ぶ

賢者は最悪を考えて、最善の途を選ぶものです。最悪を一応考えてみましょう。教員がタブレットの使わせ方が分からないために、児童任せになってしまい、殆ど授業に活用されないということがあるでしょう。教員の指示に従わず、授業中ゲームをしている児童生徒が出てくるということもあるでしょう。タブレットを使って変なサイトにアクセスしてトラブルに巻き込まれるということもあるでしょう。教員と生徒の間で変なやりとりがあり、そこから事件のようなことも起きるでしょう。

(「モノナビ」)

道具というのは、良く使われるか、悪く使われるかのどちらかです。言えることは、文科省の構想通りに児童・生徒たちが動くとは限りません。何故なのか。それは長年にわたって現場にいた人間の勘と言うしかありません。そして、敢えて理屈を言うならば、人間だからと言うしかありません。人間というのは、個性があり、一人ひとり見事に勝手なことを考え勝手に行動するものです。期待通りに動くという先入観を最初に捨てることが、教育の第一歩だと思っています。

 読み書き、正しい姿勢、正しい持ち方

 一番重要なことは、児童・生徒を一人の日本人として、きちんと育てるということです。それができてから学力増進を考えれば良いと思います。すべての基本が身に付いていれば、学力というのは、自ずとついてくるものだからです。テニスで言えば、正しい持ち方、正しい構え、正しい呼吸法と視点(見るべきところ)です。これが出来ていななければ、例え100年間ボールを打っても上手くなりません。勉強も同じです。マシーンを導入したからといって、上手くなる訳ではありません。

 基本とは何かということですが、1つは、読んだり書いたりする時の正しい姿勢を身に付けること、2つ目は、正しいペンの持ち方をした上で字を正しく書いたり、読んだり出来ること、3つ目が基本的な計算が出来るようになることです。

(「EXGEL」)

なんだと思われるかもしれませんが、今は小学校でこのことをきちんと指導できていないと思われます。先日、本校で中学入試が行われました。ペンの持ち方と書く姿勢、書いている字の3つがどの位できているかといったことだけを注意して机間巡視してみました。出来ている子は2割程度でした。かつての時代は、鉛筆の持ち方、姿勢をやかましく言われたものですが、そういう指導をすることの意味が分かっていない人が多くなったためなのか、まちまちの持ち方で思い思いの姿勢で字を書いていました。

 人間には2つのスイッチあり

よく生徒には、人間には2つのスイッチがあると言っています1つが、丹田。もう1つは目だよと言っています。丹田は腹筋にあるツボですが、ここに力を入れると体軸が真っ直ぐになります。今、ちょうど全豪オープンテニスが行われていますが、構えの姿勢を見ると、どの選手も2つのところにスイッチが入っているのが分かります。

スポーツをするにしても、勉強をするにしてもこの2つのスイッチを入れなければパフォーマンスは上がりません。タブレットではスイッチが入りにくいでしょう。ペンを正しく持つことにより、スイッチが入ります。あと、ペンの持ち方が悪いということは、それはイコール人差し指の使い方が悪いということになり、指先を使った細かな作業が苦手になります。

歯科医や内科手術をする場合、指先が上手く使えるかが大事になります絵を描いたり、ネイリスト、イラストレーター、歯科技工士といったミリ単位で勝負をする仕事にとって人差し指の微妙な感覚はすごく大事なのです。指先が器用という言い方をしますが、正確に言うと人差し指が器用に動くかどうかがカギなのです。ソロバンも使うのは人差し指と親指です。ただ、重要なのは人差し指の動きなのです。また、野球のピッチャーにとっても、コントロールをつける上で人差し指が結構重要ではないかと思っています。

(www.illust-box.jp)

日本人は手先が器用とよく言われますが、箸で食べる習慣のお陰ではないかと思っています箸を正しく使えるかどうかは、人指し指がカギだからです。たかが、ペンの持ち方なのかもしれませんが、すべてに連動しています。そして、正しく持った上で実際に字を書きます。字というものは、不思議なことに形の美しさというのがあります。上手く書くことにより、その美しさを味わうことができます。そうすると、脳に刺激となって記憶中枢にその字が刻み込まれます。その作業が極めて大事なのです。字というのは、筋肉と視覚を使って脳の記憶装置に働きかけて覚えるようにします。キーボードを叩いているだけでは、覚えることはできません。小学生のうちはまだ早すぎると思います。

脳科学教育研究所所長の桑原清四郎氏も「キーボードを打つよりも手書きが脳にとっていい」、「人の脳は便利さの中では成長しません」とおっしゃっています(脳科学ブログ:「教育への架け橋」より)

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