「何か問題を解決しようとする場合、何故そうなったのかということをデータを基にして探る必要があります」
「いつも、よくおっしゃっていることですね」
「あなたは、それが当たり前のことと思うかもしれませんが、昨日話題にした「少子化社会対策大綱」ですが、きちんとしたデータ分析がされていません」
「そのことで結構、怒っておられましたよね」
「私は常に冷静です。怒ったことなど余りないのですが、仕事がいい加減だと腹も立ちます」
「この辺りだろうという当たりをつけて、アバウトに提言しているような代物だとおっしゃっていましたね」
「「少子化社会対策基本法」という法律を制定(2003年)していますが、法律を作れば問題が解決する訳ではありません」
「だから、実際に何の効果もなく、相変わらず少子化が進行しているのだと思います」
「2025年を区切りの年と考えているようですが、ダメなプランを100年継続しても、何も効果は表れませんし、時間の無駄です」
「ただ、どうすれば良いですか?」
「日本全体ではなく、都道府県、市町村など細かくデータ分析をきちんとした上で、もう一度最初から大綱を作成して、態勢を立て直す必要があると思っています」
「ご自身の見解を言って頂けますか?」
「私自身の分析によると、人口減の第一の原因は学校統廃合です。特に、公立小学校の統廃合が問題です。実は大学院の学生の頃に学校統廃合について修士論文で取り上げているのですが、それ以来問題意識をもっています」
女「あら随分、年期がはいっているんですね」
「ただ、私に言わせれば、まだ学校統廃合なんかやっているの、という感じなのです。もう時代は、小規模校をつくる時代でしょ」
「不登校の子や外国人の子どもたちのためにも、小規模校は良いと思いますけどね」
「学校統廃合は、一斉授業を前提にした発想です。AIの時代となり、人間らしい才能と能力をいかに見つけて伸ばすかという時代に入ってきました」
「ところが、頭の固い文科省は昔の時代感覚のまま教育行政を続けている、と言いたいのでしょ?」
「すごい! どうして私が考えていることが分かるのですか?」
「最近、予知能力がついてきたのです。私を軽く見ないで下さい」
「こわっ。 (ここからが本論です) ↓」
人口減の第一の原因は、学校統廃合にあり
学校統廃合は、幼稚園から高校までありますが、特に公立小学校の学校統廃合は、地域の人間関係を崩し、地域の教育力を弱め、ひいては地域を破壊する危険性があることを指摘したいと思います。そして、私自身機会あるごとに、学校統廃合はその地域の人口減を招き、ひいてはその地方の文化の担い手をなくし、地域そのものの衰退に繋がっていくことを発信してきたのですが、大きな力にならず現在に至っています。
その辺りについて、データを提示したいと思います。日本の人口減少は、1970年頃から始まっていますが、大都市を除いて人口が増えている県や市、そして町村があります。そういった自治体が何故増えたのかを探る必要があります。そこに、人口減を食い止めるヒントがあるかもしれないからです。
沖縄県は人口が増えている自治体が多いのですが、石垣市に注目してみました。石垣市は尖閣を抱える、ある意味国境の自治体ですが、1975年から現在に至るまで、コンスタントに人口を増やしています。石垣市の学校数は20校、延べ児童数が3488人、学級数は185です(2016年5月統計)。生徒数で割ると、約19人です。つまり、文科省の基準が40人学級(1年生は35人)ですので、そのおよそ半分です。
ということは、統廃合の話が当然どこかであったはずです。文科省は共産主義国のような発想をする省庁ですが、21世紀の時代に中央集権的な教育行政機関は必要ないと思っています。その文科省ですが、地域には地域のそれぞれの「顔」と「個性」と「事情」があるにも関わらず、財政効率という1つの「ものさし」(12-18クラス/適正な学校規模)を金科玉条にして、この60年間統廃合を進めてきました。文科省の政策に特に素直に従ったのは、東北、北海道です。そのため、軒並み人口を減らしたと思っています。
沖縄は「反中央」という風土もあり、教育を地域の中で考える気風が強く、石垣市は学校統廃合の話題が出てきた時は、教育委員会が主催して地域で何回も「意見交換会」を開催しています。
その当時のものがインターネットで検索できましたので、それを紹介します――「石垣市の幼稚園・小中学校の適正化計画を検討している石垣市教育委員会の於茂登、開南地区住民を対象にした意見交換会が、5日午後8時から於茂登集落センターで行われた。……(略)……『小規模校ならではの利点は多く、のびのびやっているので統合は必要ない』『少子化対策といっているが、地域の特徴ある学校の存続を支援、住みやすい地域をつくるのが対策ではないか』『於茂登、開南地区にとって学校は大切な場所だし、地域の財産、学校がなくなると地域の連帯感も活気もなくなる。存続を望む』など、統合に反対する意見が多数を占めた」(「廃校は地域連帯、活気失う 学校統合問題」2005年7月7日配信)
最後の方の意見が、多分この地区の住民の総まとめ的な意見だと思います。つまり、住民たちは子供たちが学習する場所としての学校ではありつつも、学校は地域の人たちの連帯の絆を深めてくれる存在であるとの捉え方をしています。子供を通して、親や地域の住民が繋がり、そこから様々な地域行事が行われ、地域文化が根付いていったことを肌で感じているのです。
先にアバウトではいけないということを書きました。県全体が学校統廃合を推進しつつも、中にはそれに抵抗した自治体があるので、紹介します。青森県上北郡おいらせ町は廃校数0、滋賀県彦根市は廃校数1です。人口も増えています。こう書くと、人口が増えたから廃校としなかったのだろうといわれそうですが、結果的にそうなっただけです。
例えば、青森県全体は戦後一貫して統廃合を進め、2016年まで小学校472校を廃校としました。すさまじい数です。おいらせ町がかなり抵抗したことが理解できると思います。ついでに言うと、滋賀県高島市は24校減らしました。やはり人口が減っています。
どうしてこうなるのかというメカニズムが理解できない政治家は、人間の機微を多分理解できないと思いますので、政治家をやめた方が良いと思いますし、そういう人に票をいれないようにして欲しいと思います。
人口減の第二の原因は、市町村合併にあり
行政効率だけしか考えない市町村合併が、人口減の第二の原因になっています。日本人は土地にこだわりが強い民族だということを、お互い自覚する必要があります。何度も言って申し訳ありませんが、ただ、これが判断するにおいての原点だからです。生まれた土地、育った土地、友と遊んだ場所、これらが自分の人生の血肉となっているのです。
そして、地域の薫りは、できればいつまでも変わらないで欲しいものとして、自分の心の糧として存在しているのです。行政側からすれば、単に行政区画の線引きを変えるだけ、地名を変えるだけと思うかもしれませんが、そこにこだわりを持っている人もいるのです。
アフリカの国境は直線的です。あれは、西欧列強が植民地分割をした名残です。分ける側は何も考えていません。ただ、西欧列強の勝手な都合により分割された領土を巡り、そこに民族や宗教の問題が絡み合って、その後様々な問題が起きています。
ただ、人間というのは、そういうものなのです。人間というものは、ある意味小さなこだわりをもって生きているのかもしれません。なくて七癖と言います。これを読んでいるあなたにも、きっとあるはずです、1つくらいは。
町名にプライドを持っていたところ、違う町名にされた、漢字を勝手にひらがなにされた、例えば海部郡だったのに、読めない人が結構いるからという単純な理由であま市になる。その瞬間に、地域への愛着が急速に冷めていく、それは感情の世界のことなので本人はどうしようもないのです。
統廃合の結果、母校がなくなり、思い出もなくなる。統合先の学校名も変わってしまうこともあります。「本陣」「則武」「亀島」が合体して「ほのか小学校」(名古屋)と命名される。学区の人間からすれば、やるせない気持ちになる。こういう小さなことが、日本列島の中で、いろいろ積み重なり、一つの現象として結実していくことになります。少子化というのは、こういうふうに地域の人の、地域への愛着という気持ちを踏みにじるというメカニズムの中で発生していることなのです。
問題は根深いところにあります。少子化は何か1つの原因があって起きているのではなく、長い間かかって地域社会を弱体化させるベクトルの働きの中で起きていることです。従って、何か法律を一つつくったり、待機児童対策をしたり、児童手当を増やしたりすれば解決するような単純な問題ではありません。それでは、どうすれば良いのか。
原因が分かれば、対策は簡単だと思います。要するに、これの逆を行えば良いのです。負のスパイラル、つまり統廃合するので、減る、減るから統廃合するという悪循環に陥っています。
病気で言えば、がん細胞が転移してしまっています。精密検査(データ分析)をして、執刀医(責任者)を決めて、その元で治療方針を策定する必要がありますが、早くしないと手遅れになります。手遅れになれと願っている反日勢力も国内に潜んでいます。そのうち、チャイナに呑み込まれることになります。
とりあえず、学校統廃合と市町村合併を止めることです。例えば、大阪都構想をまた提案するようですが、あのプランを実行すれば、線引きが変わりますし、多くの町名が変わります。行政は財政効率化よりも、地域の文化をいかに育てて遺すかに腐心をし、特色あるまちづくり、まちおこしを考えて欲しいと思います。
私案はタイミングを見計らって述べたいと思っています。
読んで頂きありがとうございました。
よろしければ、「ぶろぐ村」のクリックを最後お願いします↓