「『日経』の記事(2021.3.29日付)によると、賛成67% 反対26%ですが、『毎日』(2020,12,13日付) になると賛成49% 反対24%とあります」
「賛成の数が随分違いますね」
「これは昨日このブログで話題にしたと思いますが、質問の仕方、どの数字をどう解釈するかという問題が絡むので、このように数字が変わってくるのです」
「ただ、こんなに数字が変わるのでは、意味がないと思いますけど……」
「もし、夫婦別姓制度が通った場合というのが質問項目にあって、『夫婦で別々の苗字を選ぶ』というのは13%しかありませんでした」
「ちなみに、それはどちらの新聞ですか?」
「『毎日』ですね。『日経』は情報量が少なく、賛成と反対のパーセンテージだけが書いてあるという感じです。『日経』の方が思い込みは強いので、そういった数字は載せないと思います」
「『日経』はいわゆるおじさん世代が読んでいるイメージですが、読者層は反対の方が多いのではないでしょうか」
「ただ、起業経営者たちが、「選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会」というのを立ち上げるようです」
「あくまでも、こだわるということですね」
「それと、最近は同性婚の問題があるでしょ」
「あのニュースは驚きました。さすがの私も。確か、札幌地裁の判決ですよね。同性婚を認めないのは、憲法に反するという判決ですよね」
「いや、あれは凄い判決だなと思いました。14条の「法の下の平等」違反を根拠にしたのですが、24条はどうなっちゃうのと思いました」
「24条は昨日のブログで話題にした条文ですよね」
「そうですね。両性の合意と書かれているので、同性婚はどう考えても無理ちゃうかなと思っとりますねん」
「最後は、関西弁でっか? ここからが本論です ↓」
善意の推進派の論理は、「選択肢を増やすだけ」というもの
2人の会話の中で紹介していた『有志の会』の共同代表の夏野社長のコメントを紹介します。「当たり前のことを当たり前にできないことが日本の生産性の低さにつながっている。身近な問題から変えていきたい」(「選択的夫婦別姓実現へ 経営者らが有志の会」『日経』2021、4,1日付)というものです。
まず、夫婦別姓と労働生産性を結び付けて考えていますが、それがどうして結び付くのか、エビデンスがありませんので、これは論理的に成立しません。さらに、夫婦別姓の問題は決して「身近な問題」ではありません。
これは昨日のブログで書いたように、日本のアイデンティティそのものに関わる問題です。だから、自民党議員の中には、これが実現したら大変なことになるということで、阻止に向けて動き始めていますし、岡山県議会では反対の決議を上げたのも、そういう危機感の表れとして理解して欲しいと思います。
この問題で推進する側において、善意のグループと悪意のグループがあります。『有志の会』は善意のグループです。夫婦別姓が実現すれば、選択肢が増えることになるし、それがひいては女性の活力を引き出すことになるだろう的な考え方に基づいています。
そういった善意のグループに乗って、悪意のグループが暗躍しているというのが現在のこの問題を巡る運動構造です。つまり、日本社会の根底に焦点を当てたイデオロギー攻撃の性格をもったものです。反日の勢力や共産主義者たちが、地方議会やマスコミを動かして世論作りをしようということで組織的に動いています。
(「京都・アイデンティティプランディング」)
変えるべきものと変えてはいけないもの
国も組織である以上、不具合なところも当然出てきます。組織もメンテナンスが必要です。場合によっては、根本的な改良が必要なことがあります。ただ、具合が悪いからということで、何でも周りに合わせて改良すれば良いのかというとそうではありません。変えるべきものと変えてはいけないものがあるからです。
その国のアイデンティティに関わるものについては、安易に変えてはいけません。国柄そのものが変わってしまうからです。企業と同じです。高級家具がその企業のアイデンティティであり、セールスポイントなのに、安価な家具を売り始めて結局上手くいかなくなってしまうということです。
日本は農耕民族の国なので、その点が大陸や半島の国々とは違います。日本以外の国は選択制(ドイツ、フランス)や別氏制(中国、韓国)を採用していて、日本のように同氏制と戸籍制度をセットで採用している国はないと思います。ただ、これは日本の国づくりの考え方から採っているシステムなのです。
国 | 夫婦の氏 | 子の氏 |
日本 | 夫か妻の氏 | 父母と同じ |
ドイツ | 夫か妻の氏。各自の氏でも可。
結合氏も可。 |
父母が別氏の場合は、どちらかに合わせて、兄弟は同じ氏とする |
フランス | 各自の氏。妻は夫の氏も可 | 父か母の氏。父母の結合氏も可だが、兄弟は同じ氏とする。 |
中国 | 各自の氏 | 父か母の氏。第三の氏の選択も可 |
韓国 | 各自の氏 | 父か母の氏。兄弟は同じ氏とする。 |
結合氏という耳慣れない言葉がありますが、これは例えば「田中」と「山中」が結婚して「田山」あるいは「田中山」とするということです。
旧姓の通称使用を拡大もしくは法制化すれば良い
夫婦別姓が仮に導入された場合、2つの問題点が発生します。1つは、戸籍制度が崩れるということです。「戸籍」という言葉の通り、家族単位でその家のルーツについての情報を管理しているのですが、それが出来なくなります。言ってみれば「個籍」を新たに作るのか、住民票あるいはマイナンバーカードで済ますのか、といった問題が出てきます。
もう一つは、親子別姓が必ず発生することです。そう言うと、子供が出来た場合は、その時点で夫婦同姓にすれば良いと言う方がいますが、その程度の動機ならば最初から同姓にして、仕事の上で具合が悪い場合は、通称を使用するようにすれば良いと思います。
ただ、企業の通称使用の許可が思った以上に進んでおらず、普及は半数以下とのこと。場合によっては、社会全体で通称使用を促す意味で法制化を考えるということだと思います。具体的には、各職場においては勿論のこと、パスポート、預金通帳、住民票、各種証明書なども通称使用可能とすれば良いのではないかと思います。その辺りが、この問題の落としどころだと思います。
読んでいただき、ありがとうございました。
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