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移民問題を考える ―― 難民と移民を分けて考えるのが「日本流」/ 「入国管理法」を改正するも現状に合っていない

「現代を「大移民時代」と呼ぶ人がいるくらい、移民の数が増えています」

女性

「どの位、増えているのですか?」

「1960年で7700万人、2020年には2億8千万です」

女性

「途上国からの流出が多いのでしょ?」

「いえ、必ずしもそうとは言えません。一番多いのが、メキシコからアメリカです。1千万人を超えています」

女性

「その数は凄いですね。1日あたり約2.7万人になる計算です! 」

「トランプが国境に高い壁を作ると言った気持ちが分かります。そして、意外に多いのがインドからの移民です。アメリカとサウジアラビアにそれぞれ250万人位移動しています」

女性

「インドは階級社会が根強く残っていると言いますので、その影響ですか?」

「カースト制度ですね。あれは征服民族のアーリア人が導入した制度です。インダス文明を築いた原住民は、みんな奴隷階級にさせられます」

女性

「何かそれ、酷(ひど)くないですか?」

「当時は、それがある意味常識だったのでしょうね。インドはやがて世界第三位の経済大国になるだろうと言われています。それにも関わらず、そういった内部の歪みのようなものが移民として現れているのだと思います」

女性

「ここからが本論です ↓ 表紙写真提供は「gooddo.jp」です」

 移民問題をどう捉えるか

第二次世界大戦後、途上国を中心に、移民が年を追う毎に増えている。移民の数は1960年が7700万人であったのに対して、2020年には2億8000万となりました。そういう状況を踏まえて現代を「大移民時代」と呼ぶ人がいます。

奇しくも、日本をはじめ、先進国の多くは人口減で悩まされています。ただ、渡りに船とばかりに何でも受け入れれば良いというものではないと思います移民政策という名の国境開放では国内に弱肉強食の無秩序の世界が蔓延ることになります。『産経』の報道(2023.9/2日付)によりますと、川口市では一部クルド人と市民との軋轢が表面化したとのこと。

だからと言って、その反対に移民を全く受け入れない、という強硬論を言う時代でもありません。何らかの条件を付けて、受け入れ態勢を作って、時には国民の合意を取りながら移民政策を進めていくというという時代だと思います。移民政策の現代の論点は、移民政策を取るのか、取らないのかということではなく、今の時代に相応しい受け入れ方を考えることです

(「Wikipedia」)

 難民と移民を分けて考える

難民と移民を区別するのは実際上難しいのですが、厳密に区別して対応しているのが日本です。その根拠は、難民条約です

移民の国際法上の定義はないのですが、難民については国連の難民条約があり、そこにやや複雑な定義が書かれています。要するに様々な理由により自国で迫害もしくは迫害を受ける恐れがある者がその対象者となるのですが、その難民に対しては難民条約に加盟する各国に保護を義務付けているのです。日本は難民条約に1981年加盟しているので、難民として認定されれば受け入れ義務が発生することになります。

そのため、難民なのかどうなのかを審査することが必要ということで、入国管理法を制定して管理局を設置して対応しているというのが現状です。難民に関する実際の実務はどうなっているのかということですが、まず当人の入国管理局への申請から始まることになります。次に難民調査官による面接等が行われ、そこで難民認定を受けると、日本人とほぼ同等の権利と義務が生じ、国民健康保険にも加入できますし、パスポートの取得や定住プログラムへの参加も可能となります。

(「読売新聞オンライン」)

 「入国管理法」を改正—— 支援者のもとでの生活が認められる

認定されない場合は、祖国へ原則的に送還することになります。認定されるか、されないか。天と地ほどの違いがあるので、自ずと認定は厳密にならざるを得なくなります。認定に時間が掛かるのはそのためだと思っています。申請をして決定まで平均して2.5年だそうです。10年以上かかったケースもあったそうです。ただ、長い時間をかけても、難民として認定される数はわずかです。2016年以降の難民申請は年間1万件を超えているのですが、認定者数は2019年→44人、2020年→47人、2021年→74人です(「NPONEWS」)。申請した殆どの者が母国へ送還されているのが現実です。

入国管理局の審査が行われている間は入国管理センターで生活をすることになります。何年か前にそこに収容されていたスリランカ人の女性が死亡したことをきっかけに、その際の対応が問題となり、「入国管理法」を改正して、現在は「監理人」と呼ばれる支援者のもとでの生活が認められるようになりました。そしてその間、つまり難民申請中は「特定活動」ということで就労が認められるようになりました。ただ、健康保険には入れないので、病気になった場合は全額自己負担となります。本人がやる気になれば、申請中に技能を獲得することも出来ますが、反対に逃亡の恐れもあります。制度は導入されたばかりなので、今後は実態を見ながら改善していくことになると思います。

ただ、難民と移民を区別するのは、実際上難しいのです。原因に於いて、他律的なのか自立的なのかの違いだけですが、微妙なものもあります。例えば、ある政治勢力からの迫害の可能性が高まったため、それを恐れての出国は難民なのか移民なのか。難民として認定されれば、国際的に保護義務が発生しますので生活全般にわたって面倒を見なければなりません。移民は本人の自由意志なので、当該国に義務は発生しません。

(「朝日新聞デジタル」)

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