
「昨日はイブでしたが、家族で何かしましたか?」

「サンタクロースという年齢ではありませんが、一応子どもにプレゼントを渡して、ささやかに皆でケーキを食べました。ただ、驚いたのは、ケーキの値段が高くなっていたことです」

「高級店で買ったからでしょ(笑)」

「いえいえ、普通のお店です。ケーキだけでなく、物価が全般的に上がりましたね。買い物をすると実感します」

「日本は長い間デフレ経済が続きましたからね。物価は上がらないものだと思い込んでいる人もいるのではないかと思います」

「素朴な疑問ですが、私は物価が上がらないデフレ経済は大歓迎ですが、一般的な評価はそうではないのですね。あれが不思議です」

「デフレ不況という言葉はありますが、デフレ好景気とは言いませんからね。経済的には好ましくない現象と考えられています」

「現在はそのデフレから脱したのですか?」

「日銀が政策金利を0.25%上げて、0.75%にしましたね。あれは、今はもうデフレではありませんよ、と公式に表明したようなものなんです」

「デフレではないということは、これからインフレになるということですか?」

「というか、インフレ経済に入っていると考えた方が良いと思います」

「ここからが本論です ↓ 表紙写真は「不動産会社のミカタ」提供です」
消費者物価が上昇している
経済を読み解く場合の指標としてよく使われるのが、長期金利と消費者物価指数です。『日経』(2025.12.21日付)が「蘇った『経済の体温計』」という見出しで長期金利が「19年ぶり2%台」になったと報じました。「経済の体温計」というのは、言い得て妙です。生きて活動していれば、体温も脈拍も上がります。日本経済が活性化し始めた、という意味を含んだ内容となっています。
活性化と言っても、すべての分野が活性化する訳ではありませんし、すべてのモノの価格が上昇する訳ではありません。現象面においては、偏在があります。一番敏感に反応するものが土地や株式、さらには金やプラチナといった資産関係のものです。都心のマンションはトンデモナイ値が付き、日経平均は5万円台をつけていますが、これらはインフレ経済を象徴する出来事です。
実は、問題なのは、ここからです。「失われた30年」の教訓が生きるかということです。1980年代は日本経済が世界をリードしていた時代です。そういった期待もあったのでしょう。1989年12月に日経平均が史上最高値(38,915円)を記録します。そして、都心の土地やマンション価格が軒並み上がります。それに驚いた当時の大蔵省はバブルと認定して規制したのです。公定歩合を6.0%(1990年)にまで引き上げてしまいます。これにより、日本経済は完全に窒息することになります。この影響が、その後長期にわたって続くことになります。

(「インカムラボ」)
「バブル」になった後の対応が重要
6.0%の金利ということは、仮にどこかの会社が工場を建設するための事業資金として100億円を用意していたとします。それを止めて1年間金融機関に預けると6億円の利子収入が入る計算となります。工場を建設して業務を拡張したからといって必ずしも上手くいくとは限りません。失敗すれば、社長の地位も危ないかもしれない。そんなことを考えると、今は「冒険」しないで確実に利子収入を得て、おとなしくしているかという判断が出てきてもおかしくはありません。というか、実際にそういう動きを見せた会社が多くあったのです。
そうすると、次に何が起きるかということです。工場を増設すれば、当然人を増やさなければいけません。新入社員も多く採用するでしょう。ところが、金を預けるだけならば、人を雇う必要はありません。金利上昇は事業者の投資マインドを冷やし、就職氷河期(1998~2006)を引き起こすことになったのです。一番ひどい時は、2001年の77.4%です。大学新卒の4人に1人が就職できなかった計算です。
そして、さらにこの期に消費税を導入しています。1997年に消費税5%を導入します。さらに、2014年に8%、そして2019年に10%にします。就職氷河期が1998年から始まっています。これで消費者マインドが冷やされることになります。「失われた30年」はこういった状況の中で起きたのです。どこで躓いたのかというと、一番最初です。株が上がり、土地やマンションが上がったため、慌てて金利を上げて、なおかつ新規の不動産融資をストップさせた上、止めを刺すように消費税を導入します。これで完全に日本経済は「窒息」したのです。「バブル経済」が何か悪いことの象徴のように言われることがありますが、「バブル」自体は悪いことではありません。資産が増える訳ですから。要は、その後の対応が大事なのです。

(「あおい経営支援」)
アメリカはわざとインフレを起こしている
日本経済の今後を占う上で大事なのは、アメリカの経済動向です。「アメリカがくしゃみをすれば、日本が風邪をひく」と言われていますので、注視する必要があるのです。トランプ大統領は実業家出身のため、アメリカ経済を良くすることに強い関心を持っています。そんなこともあり、ベッセント財務長官をはじめ、マーケットに詳しい人員を政権中枢に入れています。
今、行っていることは国債を大量発行した上で、減税を実施しています。来年はアメリカでは中間選挙があります。投開票は2026年11月3日です。上院の議席の1/3と下院の全議席が改選されます。それを意識して減税をするので、カネが市中に出回りインフレとなります。要するに、わざとインフレを起こしているのです。インフレというのは、ハイパーインフレでなければ大丈夫です。文明社会で自由競争が闊達になれば、新製品が市場に出回りますので、消費者の購買意欲が高まり、カネが市中に出回り、モノも増え、様々なサービスが登場します。そうなると経済規模は大きくなるので、右肩上がりになります。これが健全な経済状態です。トランプはこういうイメージでアメリカ経済を導こうとしていると思います。そのシナリオ通りに行けば、選挙も勝てると思っているはずです。
ドルはご承知の通り、基軸通貨です。基軸通貨であるためには、ドルを世界中にバラまいて世界の人や企業が何不自由なくドルを使える環境を維持しなければなりません。基軸通貨国ならではの気苦労です。ただし、それを行うと、どうしてもドル安傾向となります。ドル安が進まないためには、アメリカに資金が絶えず流入する「仕掛け」を作っておく必要があります。金利を高くするというのも一つの手です。アメリカへの投資は、大歓迎でしょう。日本はトランプ関税の時に、赤沢経済相が何回もアメリカに行って、5500億ドルの投資をすることを約束してきました。何にどのように使われるかは、まだはっきりしませんが、5,500億ドルの投資資金を使ってアメリカで行う事業に日本企業が参加しても構わないので、日本にとってそんなに悪い話ではないのです。

(「www.japannetwork.co.jp」)
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