IR事件
IR・統合型リゾート施設の事業をめぐって秋元司衆議院議員が逮捕された汚職事件で、贈賄側の中国企業の元顧問が秋元議員のほかにも5人の衆議院議員に現金を配ったことを伺わせるメモを残していて、東京地検特捜部が事実関係を確認するため、5人の議員から任意で事情を聴いたことが関係者への取材で分かりました。NHKの取材に対し、5人のうち4人は中国企業側からの資金提供を否定し、1人は「事実関係を調査中」としています。
IRなどを担当する内閣府の副大臣だった衆議院議員の秋元司容疑者(48)は、IRへの参入を目指していた中国企業の「500ドットコム」側から3年前の平成29年9月、現金300万円の賄賂を受け取ったなどとして収賄の疑いが持たれています。(NHK News)
(毎日新聞)
今から約150年前、幕末から明治維新の頃、日本近海に押し寄せる西欧列強の国々の帝国主義的野望を肌で感じ、危機感を持ちながら日本の行く末を案じていた人たちが多くいた。
人々が共有していた情報は、アヘン戦争(1840)で清がイギリスに敗れ、黒船が浦賀に来航し、アメリカが日本に通商を求める(1853)、ロシアの船が北海道周辺に現れるといった位のものだったと思われる。
しかし、その数少ない情報を繋ぎ合わせて、日本生き残りのための戦略を考えた先人たちがいた。
その第一人者は吉田松陰であろう。
(Wikipedia)
黒船来航のニュースを聞くや否やさっそく現地に向かい、粗末な手漕ぎの小船で黒船に乗り込み、アメリカに連れていって欲しいと頼み込んだという。
その行動力は単純に凄いと思うが、そこには日本が今後どうすればよいかを知るためには、アメリカに行く必要があるという強い思いがあった。
日本にとって将来大きな存在となるだろうということを直感的に感じ取っていたのかもしれない。
「己を知り敵を知れば、百戦戦っても負けることなし」である。すでに諸国を周って己を知っている。
後は、将来敵になるかもしれないアメリカを知りたいということだろう。
そのような行動力は多分、松陰が21歳の時の1850年からスタートする諸国遍歴の旅によって培われたのではないかと思う。
遍歴の旅は全国津々浦々を巡り、各地で識者と会い現地で重要な書を手に入れ、学んでいる。
もちろんすべて草鞋(わらじ)一つの徒歩の旅であるが、結局2年間で北海道を除く全国を2回周っている。
よく政治家が現地視察といって、ピンポイントで現場に行くことが多い。
ただ、その場を選択した時点で、すでに先入観が頭を支配している場合が多い。
自分が考えている現場が、本当に正しい現場かどうか分からない。
人間は神様ではないので、思い込みがある。
そうすると、判断が狂ってくる。
松陰の諸国遍歴の意図は、自分の肌と頭に日本の姿と実情を焼き付けておきたい、1度では見逃しや見誤りがあるかもしれないという考えからくる2周の旅だったと思う。
そういう松陰の生き様に感動したのではないだろうか、司馬遼太郎は松陰が黒船来航の話を聞いて、国元の瀬能吉次郎に書き送った書状の中の「心は甚だ急ぎ飛ぶが如し」の言葉を取って『翔ぶが如く』という題名の小説を書いている。
主役は西郷、大久保であるにも関わらず松陰の言葉を小説の題にしたのは、幕末の英傑たちを動かしたのは松陰の日本を思う気持ちであったという考えがあったのではないかと思っている。
松陰の「現地視察」であるが、最初は長崎の出島、次に平戸に向かっている。
出島ではオランダ船に乗り込んでいる。
平戸ではアヘン戦争について中国人の魏源が著わした『聖武記附録』を手に入れ、イギリスの軍事力の情報を得ている。
この2か所の視察で西洋文明の技術力と軍事力に衝撃を受け、祖国日本の危機を感じたのであろう。その危機感が諸国遍歴の旅に向かわせたのではないかと思う。
それはともかくとして、松陰の無私なる行動が幕末の各藩の若者たちの心を動かしていく。
そして、彼らもまた純粋に祖国日本のために無私の心で考え行動し、短期間で日本の近代化を成し遂げることになる。
このような日本の歴史を教科書によって学ぶことはできない。
全国共通の教科書という制約があるため、必要最低限のこと、つまり事実を時系列で淡々と並べているだけなので、視野が広がることは絶対にない。
戦後75年、そういう教科書で習った人が殆どという様な時代になってしまったようだ。
無私の心が育っていないので、100万、200万という金で目が眩み、敵の術中に陥る国会議員が何人も出てしまう。
IRの誘致を巡っての汚職事件のことである。単なる刑事事件ではなく、中国が日本に対してあらゆる形で「攻撃」を加えている中で起きた事件という捉え方をする必要がある。
(産経ニュース)
中国の「一帯一路」は世界征服計画である。
スポーツの戦略も国の戦略も同じ。
「両ウイング」を狙って、相手が飛びつきそうなところに罠を仕掛け、そこから崩していく。
そのセオリー通りの攻撃にまんまとはまってしまったというのが、今回の事件の意味するところである。
「両ウイング」というのは、沖縄、尖閣、北海道。IR事業はカネに関心を持っている人が群がる。
議員とて例外ではない。カネに関心を持っている人はカネに弱い。カネをバラまいたら、本当に食いついてきた。
しかも5人も。
中国は企業と共産党が一体である。
すべての情報は共産党にいくので、思わぬ「成果」に中国がびっくりしているのではないかと思う。
しかしながら、中国共産党に一番警戒をしろと言っているのは、今のところ日本共産党だけである。
自民党はカネをもらうわ、独裁者習近平を国賓として招く予定とのこと。
どうなっているのかと思う。松陰は草葉の陰で嘆いているのではないだろうか。
とにかく、カネをもらったという国会議員は、松陰神社に行って「爪の垢」を買って、飲んだらいかがであろうか。
有権者の方も、所属政党を見て票を入れるのではなく、本人の肉声と話し方、声の出し方、話す姿勢を見てから判断して欲しい。
声に品があるか、頭がぐらついていないか、背筋が伸びて重心が下がっているか、話は論理的でまとまっているか、感情的でないか、それでおよそ人物が分かる。
大事な一票、松陰の現場主義に見習って、実物をきちんと見てから票を投じるようにして頂きたいと思う。
読んで頂きありがとうございました