「Z世代っていう言い方、聞いたことありますか?」
「イエ、今初めて聞きました」
「実は今日の『池上ベンチャーズ』という池上彰さんのテレビ東京の番組を見て、初めて知りました。その後、調べてみたのですが、1990年代半ばから2000年代の初めに生まれた若年層のことだそうです」
「どうして、『Z』なのですか?」
「そもそもこの言葉はアメリカで生まれた言葉です。1960年から74年をX世代、1975年から90年代をY世代なので、自動的に1990年代半ばから2000年代がz世代ということらしいのです」
「要するに、余り深い意味はないということですね」
「そう言ってしまうと身も蓋もない感じがしますが、今日の『池上ベンチャーズ』にオンラインで出演したその世代の起業家たちの発言を聞くと、日本も捨てたものではないなという感想をもちました」
「いつも、ガッカリしていますものね」
「番組に出演した方の中には、11歳、14歳で起業した人もいます」
「11歳というと小学生だし、14歳は中学生でしょ。例えば、どういう会社を作ったのか、簡単に紹介してもらえませんか?」
「11歳の「みのんちゃん」という女の子は、海岸で集めた自然石を材料にして腕輪などの装飾具を作り、それを販売する会社を立ち上げたそうです。海を奇麗にしながら収益も上げる、さらに売り上げの1部を環境団体に寄付しているそうです」
「まだ、小学生でしょ。すごいですね」
「番組には、10代、20代の若き起業家10人がオンライン出演をして、それぞれの仕事の内容を語っていました」
「今は、資本金が1円で起業できますものね。その番組を見て、刺激を受けて起業する人が続くでしょうね」
「そうなることを期待して、配信したのだと思っています。日本は起業が数的には少ない国なのです。人がつくった会社に就職するという発想がまだまだ強いのです」
「今年のNHK大河ドラマは、渋沢栄一なので、風向きが変わるかもしれませんよ」
「ここからが本論です ↓」
資本主義経済は起業によって発展する
経済は生き物なので、健全であれば倒産する企業よりも多くの企業が創業を開始し、国全体の経済活動の規模が大きくなるはずです。実際に、戦後の経済復興期に昭和の経済成長期を牽引した企業が産声を上げています。
倒産を防ぐことはできませんし、すべての企業を守ることは出来ません。市場原理に基づく自由競争が原理ですので、体力がなくなった企業や社会的な存在意義がなくなった企業は、速やかに競争市場から撤退する、それが本来の在り方なのです。
髪の毛に例えることが出来ます。若い人でも髪の毛は抜けますが、それ以上に髪の毛が生えてくるので、全体として増えます。老齢になれば、抜け毛の方が多くなって、全体として減少に向かいます。老齢になっても、生えない訳ではありません。生える力と本数が少ないだけです。
経済も同じように考えることができます。経済成長率が下がっているということは、単純に生えてくる毛が少なくなっているということです。生産性の上がらない企業は整理淘汰した方が良い場合もあるでしょう。老舗企業という言い方がありますが、企業は公益財団法人ではありませんので生産性という指標で判断すべきでしょう。そして、その活動が社会的意義を無くした場合は、活動を止めることを考えるということでしょう。
一方、学校といった公益に基づいて活動している組織は、なるべく存続させるようにします。何故なら、伝統の重みが周りからの尊崇の念を集めることになり、それが子供たちへの教育力として作用するからです。戦後の日本は、学校を潰して、企業を残そうという、真逆のことをやってきたと思っています。
起業教育を学校教育のカリキュラムに組み込む時代
『池上ベンチャーズ』(2021.3.7日放送)に登場したZ世代の若者たちの特徴は、物怖じせず前向きです。14歳の起業家の女の子は、日本の学校教育がつまらないというところから出発して、自分で教育事業を立ち上げてしまいました。今までの世代にはなかった発想だと思います。
もっとも、彼女の場合はアメリカンスクールでの経験がベースになっているのですが、日本の受け身主体の教育を直感的に否定したところが彼女の出発点になっています。
ただ、起業の基本は、そこにあると思います。つまり、ある視点で現象を見つめ、そこから問題意識を導きだし、それが普遍的な価値を有すると判断できれば起業できるからです。しかしながら、日本の従来の教育は、そういった素朴な疑問を育てるようなことを大切にしてきませんでしたし、起業について学校現場で何も教えていません。そんなこともあり、起業しても成功率は約10%と言われています。多くの人が手探りで起業を始めて、そのうち9割の人が失敗しているということです。
日本には「授業」という言葉があるように、座学中心の記憶力を専ら使うような教育が施されてきました。現在の日本の一律一斉授業は工業社会には合っていますが、これからの時代には合いません。新しい価値をいかに生み出していくか、しかも他の国より半歩でも一歩でも早く走り出す必要があるのです。新しい教育システムを開発していく必要があるのです。
(「THE KEYPERSON」)
経済社会に対するポジションを自由に決めて良い時代
小学生や中学生の起業家だけではありません。中には、難病を患って寝たきりの身でありながら起業をしている人もいます。「寝たきり社長」ということで『朝日』に連載記事が掲載されていましたが、ウエブ制作会社「山拓」の社長さんです。生まれつき難病の脊髄性筋委縮症にかかっていていながら、大学院で修士号まで取得しています。
そのように、自身の病状を考えて起業に向けて歩みだす人もいれば、フリーランスということで会社という組織に属さないで働いている人たちもいます。ちなみに、数字を示しますと、国内全体の就業者数は6724万人(2019年)ですが、フリーランスが462万人で、全体の約7%を占めます。単発の仕事を簡単に探すことができるアプリも開発されたということもあり、派遣社員(141万人)で働いている人の約3倍が、自分で時間を考えて仕事をしているのです。
副業を認め始めている企業も増えています。起業、副業、あるいはフリーランスと、自分の考え方に合わせて経済生活を組み立てる時代になったということです。
(「itpropartners.com」)
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