「尖閣では連日接続水域に中国の公船が出没していますが、あれはどういう意味があって彼らはわざわざ中国大陸から来ているのですか?」
「中国は既成事実の積み重ねのために、尖閣諸島周辺に日参しているのだと思います」
「既成事実の意味がよく分からないのですが……」
「中国の言い分は尖閣は中国領というものです。それを最終的に国際社会で認めてもらうためには、それを前提とした行動が必要です。それを行っていると思われます」
「この前は確か100日を超えたと言って話題になっていましたよね」
「結局、111日連続まで行きました。期間で言うと、4月14日から8月2日までです。途中、5月上旬には日本の漁船を追尾するということがありましたし、7月4日から5日にかけては39時間連続して日本の領海内にとどまったという事案が発生しています」
「接続水域というのは、学校で習った記憶がないのですが、……」
「接続水域というのは、領海内に不法に入ってくる者を防ぐために、その人たちに取り締まりや警告を与えることができる海域です。陸地の基線から24カイリ(約44キロ)と定められています」
「その接続水域というのは、当然、排他的経済水域の中ですよね」
「そうですね、重なっています。だから、厳密に言えば接続水域にとどまるだけであれば、国際法に照らして違法ではないのですが、そこで海底調査をするのは違法行為となります」
「調査をしていないけれど、調査をしそうだという場合はどう判定するのですか?」
「基本的には、善意の停留なのか、悪意の停留なのかで判断されることだと思います。現場にいれば、善意か悪意かは分かりますので、悪意に対してはすみやかに退去の勧告をするということだと思います」
「尖閣をめぐって膠着状態というのが、客観的な捉え方だと思います。日本の政府は、どうするつもりなのですか?」
「政権中枢に中国に対して寛容な立場をとる勢力があり、その辺りはきちんとした方向性が定まっていないと思います」
「二階派と公明党でしょ」
「すごい分析力ですね。どうして分かるのですか?」
「いえ、たまたまネットでそういう意見が書いてあったので、その受け売りです」
「なるほど、SNSの威力ですね。ある意味、大変な時代ですね」
「ここからが本論です ↓」
領土的野心が戦争を引き起こす最大の原因
戦争をしませんという看板を憲法で掲げておけば平和が実現するほど、現実は甘くありません。その辺りは、中国の行状を見ているので、明らかだと思います。防衛の基本は、抑止力という名の軍事力を高めることと、相手との意思疎通をはかる外交の両面の努力が必要です。
広大な領土を持ちながらも、それでは飽き足らずに、さらに周辺の領土、領海を広げようとするのが今の中国です。その根底にある発想は、極めて古い時代の発想に基づくものです。
要するに、領土、領海を多く獲得すれば、国が富むと思っての行為だと思いますが、殆ど短絡思考です。もともと狩猟民族は、領地が広がれば、そこから得られる食料や資源が増えるので、拡張主義をとりがちです。その考え方が、領土問題を生み、挙句の果てに戦争を引き起こしてきました。アジア、ヨーロッパ地域で絶えず戦火を交えてきたのは、そのような考え方をお互いもっていたからです。
そのような判断にプラスして、戦争を勝利に導いた指導者を誉めそやす文化があったのではないかと思います。だから、国内問題で行き詰ると、指導者は国民の目を国外に向けさせるために、対外強硬政策に打って出るという傾向があります。まさに、現在の中国がそういう状況だと思います。
領土拡張主義は経済的衰退を呼ぶだけ
昨日の「ポスト資本主義」のブログを読んでいただきたいのですが、現代において現実に富として支配力をもつものは、土地ではないのです。技術と技術の組み合わせ、技術と知識の組み合わせ、知識と知識の組み合わせが資本を生むのです。
そのようなものが資本を生むのは、それぞれにおいて市場経済が成り立っているからです。情報が貨幣価値をもったものとして市場で取引されるのは、それを欲している人と、提供する人がいるということです。
実際に、各種データが集められ、それに見合った情報が提供されることにより、購買力が喚起されることは当然あります。ただ、そのような市場が成り立つためには、平和であること、信用不安がないこと、市場に対する信頼感がなければいけません。
仮に、中国が尖閣周辺の海域を武力によって手に入れたとします。海域の資源を手に入れたとしても、その強権ぶりを見て、中国本土からの資本逃避が進むでしょうし、信用に基づく市場が縮小することはあっても、拡大することはありません。結局、拡張主義はトータルで見た場合、経済的にはマイナスに作用すると思われます。
国防の構えは官民一体で行う
日本人の多くは、お花畑の世界に住んでいると思っているのかもしれません。この75年間全く戦争がなかったので、そう思う気持ちも分かりますが、周りの状況を見る限り安穏としておられる状況ではありません。
逆さ日本地図を敢えて載せさせてもらいました。学校の授業でも逆さ日本地図を使うことがあります。それを生徒に見てもらって、「中国や朝鮮半島から見ると、日本列島は実に邪魔なところにあると思わないか」と質問を投げかけます。いつも見慣れている地図だと何も感じませんが、視点を180度変えると、風景が変わり、感じ方も変わります。
だからといって、日本への侵略行為は許される訳ではありませんし、万が一のことを考えて様々な準備をしておく必要があります。
中学の「道徳」の中に、国防教育の単元を入れる必要があります。こういうと、軍国主義と批判をする人が必ずいます。自国のことを我がこととして真剣に考える、あるいは考えさせることが重要です。少なくとも、自分のことよりも国の行く末を考えていた先人たちの話を紹介すべきでしょう。国防教育は利他精神を培いますし、世界の中ではある意味常識です。
そうすれば、それを範としながら、自分の属する組織に対して、どのようなスタンスをとって、どのように考えれば良いのか、一つの基軸を自分の中につくることができます。
これが、社会に出て行った時に、所属組織に対する態度や考え方、どのようなスタンスをとれば良いかといった時の指針になるのです。
読んでいただき、ありがとうございました。
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