「共産主義という妖怪が、という出だしで始まるのは、どういう本か知っていますか」
「『共産党宣言』ですよね」
「妖怪がヨーロッパを徘徊しているという文面ですが、日本に多く徘徊して共産主義イデオロギーが撒き散らされています」
「どうしてそのように思ったのですか?」
「安倍元総理の暗殺が成功して良かったと、SNSで配信した大学教授がいるんです。そして、偶々その翌日に岸田総理への爆弾投げつけ事件が起きたのです」
「配信を読んで、実行した訳ではないんでしょ」
「そうではないのですが、二人に共通しているのが階級国家観です」
「すいません、どうして、階級国家観だと爆弾を投げてしまうのですか?」
「簡単に言えば、国民と国家を敵対的に捉えて、自分の政治的主張を妨害するのは国家という捉え方をします。その国家の代表者が総理大臣という捉え方です」
「彼は参院選に立候補できないことに不満を持っていたみたいですね」
「参議院選挙に出馬するためには30歳以上という年齢をクリアして、供託金を納めなければ立候補できません。それは法の下の平等に反するというものです」
「かなり無理な主張だと思いますが、年齢はともかくとして、供託金は返ってくるのですよね」
「補償金みたいなもので、有効投票数の1割以上得票すれば返ってきます」
「逮捕されて車に乗っている姿がやけに堂々としていたし、弁護士が来るまでは黙秘しますと言っていたみたいなので、何か思想的な裏付けがあるのかしらと思ったことは確かです」
「確信犯だと思います。つまり、自分の中で、自分の行動について基本的に間違っていないと思っているのでしょうね。ここからが本論です ↓ 表紙提供は「GNV」です」
民主主義国家の国家は実体がない
安倍元総理の暗殺が成功して良かったと言って批判が噴出したのですが、それに対して自身のツイッターで「暴力装置としての国家を監視すべきメディアが国家と一丸となって民を抑圧するようでは私達の居場所はさらに狭まる」と投稿していました。
国家といっても、民主主義国家と独裁国家の国家とは、その内実が違います。民主主義国家は国家の実体はありません。国家権力は、国会、内閣、裁判所の三権に集約されますが、これらの構成メンバーはすべて選挙または定年によって交代する人たちです。
例えば、北朝鮮の金正恩のように、例外的に国家の中枢にいつまでも留まることが出来る人は誰一人いません。そういう意味で、民主主義国家の国家は実体がないと言えるのです。だから、民主主義のシステムが機能している限りは、暴走することはありませんが、ただ、構成員の個々人が自身の権限を使って違法行為をすることはありますので、そういう意味の監視は必要かもしれません。
(「ABEMA TIMES」)
民主主義国家におけるテロは何の意味もなさない
民主主義国家において、元指導者、そして現在の指導者を狙う犯罪が続きました。彼らの政治姿勢に対して不満であるならば、彼らの選挙区で反対活動をすれば良いだけの話です。
そして、民主主義国家において、気に入らないからという理由でトップの人間を亡き者にしたからといって、その人を選んだ選出母体が代わりの人を選ぶことになります。組織的には、何の変化も起きません。加害者が逮捕され、その人の人生が殆んど終わってしまうということだけが残ります。「短気は損気」を地で行くようなことが起きるだけのことです。
(「fumido」)
日本の伝統的な国家観は家族主義的国家観
西洋の歴史というのは、領土を巡って、争いにつぐ争いの歴史でした。領土が増えれば、それだけ食料の獲得量が増えますので、周辺諸国との争いが絶え間なくありました。食料獲得競争に打ち勝つためには、国権を強くする必要がありました。ただ、それは民衆にとっては諸刃の刃だったのです。要するに、良い面もあるし、悪い面もあったのです。
国家の権力者は、国を守るために時には強権を発動することもありました。ところが、近代になると国民の中から、そういった権力的命令から逃れるための一つの方便として「権利」というアイデイアが生まれます。つまり、国家という暴力的装置という概念は、西洋近代政治史の中から生まれた言葉です。
それに対して日本の場合は島国のため国権を強くする必要はなく、江戸時代を見れば分かるように地方分権態勢でした。そういう中で、民衆は国は邦(くに)という意識であり、おらが邦をみんなで支えるのは当たり前という意識でした。それが現在でも、地元意識として遺っているのです。スポーツで地元選手、郷土力士、地元の球団ということで応援をしようという意識に繋がっているのです。
みんなで決めて、みんなで実行するというのが日本の国柄です。その良き面、悪しき面があります。牧歌的な平和な時代は良いのですが、現在のように危機的状況の時は、悪しき面が目に付くようになると思います。
(「ポプラ社」)
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