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日経平均5万2千円を突破 ―― 今の株高現象をどう見るか / 海外マネーと金融教育が映す、日本経済の構造的課題

女性

「日経平均が5万2千円を突破しましたね」

「何か嬉しそうですね」

女性

「日経平均に連動する投資信託を買ったので、上がると何か嬉しくなるのです。このまま持っていて大丈夫ですかね?」

「投資環境は良いと思います。勢いがあるので、もうひと伸びするかもしれませんね。人間の心理として高くなればなる程、買いたいという気持ちが強くなるものです」

女性

「それは分かる気がします」

「そして、特に日本人は付和雷同しやすい特性があります。農耕民族のDNAを受け継いでいるからだと思います。ところで、いつ投資信託を買ったのですか?」

女性

「前にNISAの話をしてもらった時に、成る程と思ってさっそく証券会社で口座を作ったのです。株はよく分からないと言ったら、そこで店員さんに勧められたのが日経平均連動型フアンドだったのです」

「NISA枠を使って買ったのですね」

女性

「ただ、あの話がなかったら、口座を作らなかったと思います」

「日本人は株式に対する偏見みたいなものを強く持っている人が多いですからね」

女性

「どうしてでしょうか?」

「金融教育がまったくと言って良いほど行われてこなかったですし、直近では1990年代のバブル崩壊で株価が1/4くらいまで暴落しました。そういった負の記憶が投資行動にブレーキをかけるのだと思います」

女性

「ここからが本論です ↓表紙写真は「読売新聞オンライン」提供です」

 急ピッチの株高、その源泉をたどる

日経平均が40,000円を突破したのは2024年3月、45,000円突破は2025年9月18日でした。それからわずか1カ月半で50,000円の大台を超え、11月27日には一時的に5万2,000円をつけました。この株高が今後どう展開するかは、どのような資金が、どこから流入しているのかを分析すれば見えてきます

現在の日本株相場は、外国人投資家の売買が全体の約7割を占めています。円安の進行によって日本株が相対的に割安に見えること、高市新政権の積極財政への期待、さらに日銀の利上げ見送りが重なり、円安・株高の流れが加速しています。輸出関連銘柄への買いが集中しているのもそのためです。

もう一つの押し上げ要因は、企業の内部留保です大企業が保有する現預金は約115兆円。そのうち自社株買いに回る資金が株価を下支えしています。2024年度の自社株買いは18兆円にも達しました。しかし、これが設備投資や人材育成といった成長投資に回らなければ、底の浅い「金融現象」で終わるでしょう。家計部門の投資行動も依然として鈍く、今回の株高はあくまで海外マネーに支えられた相場です。彼らが資金を引き上げた時、それがこの相場の転換点(反落点)になるでしょう。

(「日テレNEWS NNN-日本テレビ」)

  「放流」をためらう企業――内部留保の行方

株価は急ピッチで上がっており、上昇幅は大きいのですが、その支えは極めて脆弱です。例えるならば、三人で綱を引かなければならないのに、一人だけが全力で引いているようなものです。もう一人は休み、残る一人は力を抜いている。もし頑張っている一人が手を放せば、綱はすぐに相手側へ引かれてしまいます。「景気が良くなった実感が湧かないのに、株だけが高くなっている」といった声が聞かれます。要するに、海外マネーが押し上げているだけなのです。

株式市場が持続的に上昇するためには、企業の実際の利益成長が不可欠です。現在の株高は「円安メリット」「自社株買い」「ガバナンス改革」といった外形的要因に支えられていますが、本業による成長を伴っていません。今求められているのは、国内需要の拡大、賃金上昇と消費循環の確立、生産性向上による企業体質の強化です。つまり、「円安で儲かる日本」から「強い日本企業」への質的転換です。

企業関係者が自覚すべきなのは、内部留保は本来、社会に還流させるべき資金だということです。企業内に滞留したままでは経済の循環が生まれません。資金は市場に「放流」してこそ大きく育ち、再び企業へと戻ってきます。サーモンが川に放たれ、成長して戻るように――。今の日本企業は、その放流をためらっているように見えます。金融庁は企業が現預金を貯め込み過ぎだと見て動き出していますが、こうした滞留構造への危機感の表れです。

(「ビジネスジャーナル」)

 家計の沈黙と教育の欠落

経済の三主体――政府・企業・家計――のうち、最も動きが鈍いのは家計です。国民の応援なしに株高相場は長続きしません。家計には約1,000兆円の現預金が眠っており(下のグラフ)、これを経済の「戦力」に転化させることが鍵となります。つまり、日本人は資産を預金で保有する割合が多いのですが、いかにこれを株式投資に向けさせるかが一つのカギを握っています。

そのためには、情報と教育の力が必要です。投資をしてみたいと思うような情報提供と中高生対象の金融教育の実施が考えられます。ただ、問題なのは、社会科ではなく家庭科で教えていることです。金融教育というのは、お金の流れを教えることによって、社会全体がどのような仕組みで動いているかを理解させることです。しかし、文部科学省が進めている「金融リテラシー教育」は、残念ながら家計簿のつけ方やクレジットカードの金利計算といった「消費者教育」にとどまっています。これでは金融教育になりません。

経済学の世界では、家計の常識と真逆のことが「合理的」とされる場合が多々あります。借金は悪ではなく、投資のための信用創造であり、社会の成長を支える行為です。その視点を育てるのが金融教育の本質です。本来なら社会科(「公民」、「現代社会」、「政治経済」)で扱うべき内容を家庭科に押し込んでしまった結果、教育は中途半端なままです。ある情報によると、金融庁は“投資教育”を求めているのに対し、文科省は“家計教育”と言っているそうです。全国一律ではなく、教師の裁量で柔軟に教えればよいものを、官僚的発想で一本化しようとしている――。日本の教育行政の硬直性こそ、金融リテラシーの最大の壁といえるでしょう。

(「日本経済新聞」)

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