「北朝鮮の韓国に対する方針が変わったそうですね」
「今や不倶戴天の敵になってしまいました」
「前の大統領の時は、お手手つないで軍事境界線をまたいだ上、2人の指導者だけで話をしたこともあったのに……」
「国際政治ではよくあることです。昨日の友は今日の敵です」
「軍事境界線に沿って高い塀を築いているそうですね」
「地雷も埋設しているようです。境界線はあくまでも停戦ラインであって国境ではないので、本来的に高い塀を築くとか、造作を加えてはいけないのです」
「そこで固定をしようということですか?」
「今までは「南北統一」が一つの目標でしたが、もうそれはしないという決意の表われと捉えて良いかと思います」
「停戦ラインが事実上の国境になってしまったということですね」
「同じ民族ですが、政権が違うだけで長い年月の中で国柄がまったく違ってしまう。ある意味不思議ですが、今世紀の悲劇でもあります」
「悲劇で思い出しましたが、韓国のドラマを見ただけで処罰されるんですって!?」
「昨年までは労働教化刑だったらしいのですが、つい最近の情報(「朝鮮日報」)は中学生約30人を処刑したとのことです」
「それはやり過ぎだと思いますけど……。ここからが本論です ↓ 表紙写真は「You Tube」からのものです」
北の統一路線転換の最大の原因は南北の経済格差
今年の1月に、金正恩総書記が韓国を「第一の敵対国」とする演説を最高人民会議の中で行いました。同じ民族が停戦ラインで分断され、不幸にして別々の道を歩むことになったのですが、いつかは統一をして共に力を合わせて新たな国づくりを進めるといった目標であり路線を180度転換したのです。
転換理由について「明確な理由は分かっていない」と「産経」(2024.6.27日付)は書いていますが、少し考えれば分かることです。経済的な差が余りにも開き過ぎてしまったからです。この状態で仮に統一をすると、今までの「失政」が分かってしまい、「北朝鮮住民」の怒りの矛先が金一族に向けられる可能性が高いからです。
韓国のGDPは世界14位(2023年/IMF集計)です。北朝鮮のGDPは100位くらいです。「くらい」と言うのは、彼らが正確な数字を発表していないからです。国連がデータを提出するように促して2021年に朴正根(パク・ジョングン)副首相(国家計画委員長)の署名を添えて提出したものがあります。それによると、2019年は335億400万ドル(3兆6763億円程度)です。名目GDPなのか実質なのかは記されていませんが、その数字は世界100位くらいに該当します。さらにそれを人口(約2500万)で割ると1人あたりのGDPが出ますが、そうすると180位くらいになります。最貧国のレベルです。
(「You Tube、読売テレビニュース」)
核に頼って政権を維持する道しかない
昨年、韓国銀行がコロナや自然災害もあり北朝鮮は3年連続のマイナス成長であったとして推計データを発表しています。ということは、2019年の約335億ドルが殆んど変化していないと考えて良いということになります。韓国のGDPが2022年は1.67兆ドルというのは、ほぼオーストリアと同じ規模、北朝鮮の約50倍のGDPとなります。
経済力と軍事力は、ほぼ比例しますので、この経済格差は北朝鮮にとって脅威だと思います。実際に韓国の今年の国防予算は約411億ドルなので、この金額は北朝鮮の1年間のGDPを上回っています。多分、まともに軍事衝突をした場合、完全に駆逐されてしまうくらいの差があるということです。普通に考えれば、北からの軍事侵攻は99%ないということです。中学生と大リーガーが試合をするようなものです。勝負にならないということです。
その差を埋めるためには核兵器を開発せざるを得ないということでしょう。核兵器は貧者の兵器とも言われています。1つだけでも保有していれば、相手にとっては脅威ですので、軍事力で上回っていても手出しができにくい状況がつくれます。今や北朝鮮にとって核に頼って政権を維持することしか道が無くなっているということです。
朝鮮学校―—子供たちを中心に考える
北朝鮮本国の方針転換に大きく影響を受けているのが日本の朝鮮学校、というニュースが飛び込んできました。「産経」の報道(2024.6.27日付の1面記事/下の記事)によりますと、「統一」に関する言葉の使用を禁止する指令が朝鮮総連に出ているそうです。今まで「自主的平和統一」という総連綱領の方針を受けて学校運営が行われてきた手前、ここで急に言われても困るということでしょう。
一番考えなければいけないのは、子供たちのことでしょう。今までは平和統一という方針があったので、韓国籍の人たちも朝鮮学校で共に学ぶことが出来たと思います。そして、統一を睨みながら、その時を新たな祖国の再建の日とすべく朝鮮の言語や歴史・文化を学ぶという意義もあったと思います。
北朝鮮本国の方針通りに敵対教育に転換することはあってはいけない選択だと思っています。失政を繰り返して今や最貧国になった国の言うことを聞いて子供たちを教育すれば、彼らの未来を奪うことになりかねません。関係者の賢明な判断を期待したいと思います。
読んでいただきありがとうございました。
よろしければ「ブログ村」のクリックをお願いします。
↓