ようこそ日本の危機へ!このブログでは主に最新のニュース、政治、教育問題を取り上げております。

誰のための米価なのか ―― 問われる農政と流通の構造 / JAの価格支配と農水省の過干渉体質を見直す視点から

「備蓄米を買いに行ったら売り切れた後だったそうですね」

女性

「備蓄米を取り扱っている近くのスーパーに行ったのですが、ダメでした。買えませんでした」

「コロナの時のマスク販売の再来ですね」

女性

「マスクの場合は、時間が経てば店舗に並ぶことが分かっていましたので、それほど慌てませんでしたが、安い備蓄米は数量限定ですからね」

「今年だけということも当然ありますからね」

女性

「変に安い備蓄米を放出したので、コメの値段が下がらなければ、そういった要求は出てくるでしょうね」

「今回の小泉農相の判断について「相場の過熱を冷まそうとの判断は間違っていない」「日経」は「社説」(6.2日付)と書いていますが、相場が過熱した訳ではありませんし、主食のように需要がコンスタントにある食料品などは耐久消費財とは違って、需要がすぐに回復して価格が元に戻ってしまいます」

女性

「耐久消費財と食料品とは、違う値動きをするということですね」

「今回の措置は、無駄とは言いませんが、打ち上げ花火で終わると思います」

女性

「結局はコメの値段は下がらないということですか?」

「私の見立てはそうですね。今日は流通のしくみや組織の体質などに焦点を当てて、その辺りの事を説明したいと思います」

女性

「ここからが本論です ↓ 表紙写真は「中日新聞」提供です」

 政府米と自主流通米

お米には、政府が買い上げていた「政府米」とは別に、生産者や民間業者が自らの判断で市場に流通させる「自主流通米」があります。これは1970年に導入された制度で、それ以前は政府が価格や需給を管理する「食糧管理制度」が敷かれていました。

「自主流通米」とは、政府による買い上げ(政府米/備蓄米)とは異なり、民間の需要に応じて、生産者や集荷業者が価格などを自主的に決定し、市場に流通させる米のことです。政府は品質や価格に介入せず、市場原理に委ねていました。

しかし、この制度は1995年の食糧法改正により廃止され、米の流通は基本的に完全自由化されました。あわせて、食糧管理制度も廃止され、「政府米」という言葉は現在では主に「備蓄米」を意味するようになりました。今日では「自主流通米」という表現はあまり使われず、「契約栽培米」や「業務用米」などと呼ばれることが一般的です

(「日本経済新聞」)

 現在の米流通と価格決定

現在、日本の米流通は完全自由化されており、主に以下の3つの種類に分類されます。①備蓄米、②民間流通米、③契約栽培米です。とくに契約栽培米は、外食産業や学校給食などに向けて、需要者と直接契約を結んで購入される米のことを指します。そして、②の民間流通米が全体の99%を占めており、米流通の主流を占めています。

米の価格や流通に大きな影響力を持っているのがJA全農です。日本の主食用米の年間流通量は約700〜800万トンとされ、そのうちJAグループ全体(JA全農+各地JA)が取り扱う割合は約40~50%にのぼります。

1995年の食糧法改正により、米の価格は建前上「市場で自由に決まる」こととなりましたが、実際には、生産者の多くがJA経由で出荷しており、JAが示す価格が事実上の「指標」として機能しています。そのため、完全な自由市場とは言えず、価格決定メカニズムに対して批判もあります。

(「JAべっぷ日出」)

 JA改革の視点がなければ米価は下がらない

米は、生産者→集荷業者→卸売業者→小売業者という流通ルートを経て、消費者のもとに届けられます。この間、それぞれの業者がマージンを取るため、最終的な小売価格は生産者価格の1.4~1.5倍になるのが一般的です。それにもかかわらず、農家への支払いはさほど増えていません。つまり、流通コストの上昇以上に、中間業者が利幅を確保している可能性があります。

米価を抑えるためには、こうした流通構造の見直しが不可欠です。たとえば、小売業者が連合を組み、農家と直接契約して「産直米」を販売すれば、価格を抑えることが可能になります。

現在のJAグループは、共済連、農林中央金庫、全国農業会議所、JA全中(旧中央会)などを含む巨大なピラミッド型の組織です。ここには農林水産省の官僚が多数天下っており、官民一体の利益共同体となっている側面がありますこうした構造に競争原理を導入するためには、JAの分社化などの抜本的改革が求められるでしょう。

このJAグループと一体で農政を担っているのが農林水産省です。その前身は、1881(明治14)年に設置された農商務省であり、農業のみならず、商業・工業の育成を担う殖産興業政策の中核を成していました。このような成り立ちを背景に、現在の農水省にも「過干渉」の体質が受け継がれていると言えるかもしれません。

(「日テレNEWS-NNN-日本テレビ」)

読んでいただきありがとうございました。

よろしければ「ブログ村」のクリックをお願いします。

にほんブログ村 教育ブログ 教育論・教育問題へ
にほんブログ村

最新情報をチェックしよう!