「ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩総書記との首脳会談が報じられていますけど…」
「北朝鮮としては嬉しいでしょうね。歓迎ムード一色の様子がテレビの画面からも分かりました」
「プーチン大統領の北朝鮮訪問は24年ぶりだそうですね」
「ということは、前回の訪問は、金正日の治世の時ですね」
「ロシアにとって、今回の訪朝の狙いはズバリ何ですか?」
「マスコミは、クライナ戦線で使う武器、弾薬の調達のため、そして北朝鮮との軍事同盟の締結の2つの目的をあげています」
「それをそのまま信じて良いのですか?」
「良い質問ですね。別の狙いがあると思っています」
「別の狙いとは?」
「一つは、領土的欲求。もう一つは、中国に対してある種のプレッシャーをかけることが出来ます」
「領土的欲求の意味が分からないのですが……」
「帝政ロシアの時代から彼らは朝鮮半島を狙っていたのです。今がある意味チャンスと考えているのだと思います」
「チャンス? 両国で戦略条約に署名をしましたよ」
「ロシアという国はターゲットにした国に近づいて、まず条約を結んで相手を取り込むということをする国です」
「別のことを考えながら条約を結んだということですね。ここからが本論です ↓ 表紙写真は「東京新聞」提供です」
ロシアにとって朝鮮半島は手に入れたい場所
人間には人それぞれ独特の性格があるように、国もその国ならではの特性・特徴があります。こう書くと、同じ国であっても、100年前と今とでは国民の構成が違うという反論が返ってきそうです。厳密な意味では、全く違った人達がその国を構成しているのですが、不思議なことに国柄というのは受け継がれていきます。
生物学的に言えば、DNAによって子や孫に性質・特質が受け継がれていきます。だからその国の構成員の人たちの特質が時代を経て受け継がれていくのだと思われます。歴史を紐解くと、当時の国民性が現代までリピートされていることが分かります。だから、ロシアは限りなくロシアなんだと思います。
そして、そのロシアが19世紀に狙ったのが、朝鮮半島です。当時のロシアは帝政ロシアですが、彼らにとって太平洋に自由に出るためにはウラジオストクから朝鮮半島の一帯がどうしても必要だったのです。
(「プレジデントオンライン」)
日清戦争の際のロシアの行動
1894年に日清戦争が起きます。戦争の終盤、日本軍は満州と朝鮮の国境の川である鴨緑江を越えてリャオトン(遼東)半島まで攻め上り、事実上支配してしまいます。そんなことから清にリャオトン半島の割譲を要求して、もらい受けたものの(下関条約)、結局三国干渉で返さざるを得なくなります。その時に、素早く行動したのがロシアだったのです。
三国干渉で日本が怯(ひる)んだその姿を見て、ロシアは清と朝鮮に素早く接近します。まず清に対しては、日本の再侵略があるかもしれないので、その防衛のためリャオトン半島の先端に位置する旅順を軍港として使用できるようにすることと、応援を可能にするための輸送設備として満州内に鉄道敷設を求めます。そして、両案件とも清に認めさせたのです。
さらに朝鮮国も日本では心もとないとの判断から、ロシアに急接近をします。だから何のことはない、日清戦争で勝利したものの、外交戦で破れて大陸や半島での足場を無くした挙句、ロシアには満州や半島の各地に橋頭堡(きょうとうほ)を築かれる有り様だったのです。この辺りのことについて、教科書できちんと書くべきだと思っています。
(「教遊者」)
北朝鮮への接近―—2つの本当の理由
ロシアのアムール川の東側一帯地域(沿海州)は、1860年代までは中国領だった地域です。現在、ロシアと中国の形勢が当時とは逆転しており、中国が領土の返還を言い出す可能性も出てきました。そうなる前に、この地域に影響力を残しておくことが祖国防衛に繋がると考えたとしても不思議ではありません。
軍事同盟を結び、武器調達を容易にするための北朝鮮への接近と見られがちですが、ロシアの狙いはそこには無いと思っています。北朝鮮が提供した砲弾は不発弾や砲身内で爆発する不良品が多く、使いものにならないとの話が現場から出ているような状況です。2つのことを考えていると思います。1つは、政権崩壊しそうになった時、介入をして政権を支える役を担うこと。北朝鮮の昨年の経済成長はマイナス6.2%です。配給制度も機能しておらず、兵士の半分近くが栄養失調状態だと言われています。今のうちに取り入っておこうという計算なのでしょう。
もう1つは北朝鮮を先陣、つまり「切り込み隊長」として使う場面があるのではないかと考えていることです。一種の捨て駒として考えているということです。独裁国家なので首領の命令一下、すぐに戦闘状態に入れます。北朝鮮が反撃を受ければ、同盟国を助けるという名目でロシア軍が出ていくことができます。そうなれば、朝鮮半島については中国よりも大きな影響力を行使することが出来るようになります。そんなことから、今回の2国の同盟について、中国は余り良い顔をしていないと思います。
(「gakuen.gifu-net.ed.jp」)
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