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21世紀の大学の在り方を考える(2) ―— 動くことによって大学の人気と運営資金を得る時代 / 私学の約半数が定員割れ

  • 2024年5月25日
  • 2024年5月25日
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「前回は大学の話だったのですが、それで思い出しました。ミネルバ大学って聞いたこと、ありますか?」

女性

「いえ、初めて聞きました。どこにある大学ですか?」

「本部は米国のサンフランシスコですが、キャンパスが世界各地を移動する大学なのです」

女性

「学生はアメリカ人なんですか?」

「世界各地からその趣旨に賛同した多国籍の学生たちで構成されています。1学年が150~200人位です」

女性

「その集団が世界各地を回るのですか?」

「1年滞在の国と4カ月滞在の国があり、滞在するその国で課題解決型の学習をするそうです。日本には来年来て、1年間滞在するそうです」

女性

「ちなみに、日本以外はどんな国に滞在するのですか?」

「台湾の台北、韓国のソウル、ドイツのベルリン、イギリスのロンドンです」

女性

「何か、夢があって良いですね。もう少し若ければ参加してみたいです。ただ、お金が掛かりそうですけどね」

「日本財団が資金援助するみたいです。そして、2025年の東京拠点の時に学生募集をするそうです」

女性

「ここからが本論です ↓ 表紙写真は「東京工科大学」です」

 私学の約半数が定員割れ

閉ざされた門、人気のない広いキャンパス、キャンパスの片隅の図書館には10人位の学生の姿、整備されたテニスコートとグラウンド、しかしそこで練習をする者はいない。ある首都圏にある国立大学の休日の描写です。私立大学でも同じような情景だと思います。休日だから当たり前と思うかもしれません。

ただ、これからは休日だからこそ、大学として何か地域に貢献でき、学生も成長できるようなことを立案・企画する時代ではないでしょうか。私大の約半数が定員割れになっているそうです。学生数はこれからも減少していきますので、何もしなければ、定員割れは拡大するので、経営は厳しくなります。

私大は勿論ですが、国立大も法人なので収益事業を考えて良いのです。私学高等教育研究所が出している「私立大学の収益事業」(2023、3)というレポートがあります。収益事業として、どのようなことを具体的に考えているかが分かります。下の表にまとめましたが、はっきり言って発想が貧困ですトップ3は、受託事業、共同研究、学内向けサービス、不動産事業です。受託事業、共同研究は大学の専門性を生かして企業との共同研究あるいは受託事業によって収益に繋げるというものです。学内向けサービスというのは、学生を対象にしての収益事業ですが、学生食堂や校内の売店など、これはどの大学でも従前から行っていたものです。不動産事業というのは、所有地を駐車場にして民間に貸し出すというようなものです。この枠を抜け出す発想が欲しいのです。

(「LeySer System」)

 韓国の大学の方が発想が豊か

先に紹介したレポート「私立大学の収益事業」の中で、韓国の大学の収益事業の具体的事例を紹介しています。そのうちの1つを紹介します。80 年以上の歴史を誇る韓国最大規模の私立総合大学の漢陽大学の収益事業です――「漢陽大学は、早くにオンライン授業に着手した大学の一つであり、現在、国内46 大学とコンソーシアム協定を結び、3 万人の学生に講義を提供している。‥<略>‥2004 年に産学連携事業のセンターを設立し、企業 との共同研究を活発に行うなど、様々な事業を展開している。手がける事業の中には、証券会社やホテル事業などがある。事業全体の収益を上げ、大学教育の支援に回している。学生や一般から募集した事業のスタートアップ支援事業にも力を入れている」。

いかがでしょうか。先に、日本の大学の発想が貧困と書いた理由が分かって頂けたのではないかと思います。この違いは一体どこから来ているのでしょうか。多分、日本の大学関係者は「象牙の塔」のイメージしか持っていないのではないかと思われます。大学は聖域、基本的に収益事業というのは、あくまでも「副業」的な感覚だと思われます。その内なる先入観を打ち破らなければ、いつまでもプアな発想のままです。

例えば、ということでいくつか提案をします。大学の中に講義が上手い方が必ず何人かはいるはずです。そういう方の講義をネットで各大学に発信しても良いでしょう。スポーツ指導が得意な体育科の教授がいれば、市民対象のスポーツ教室を開いたり、施設を有料で貸す、大学主催のスポーツ大会を開催するなどがあっても構わないと思います高大連携というならば、大学の講義を高校に配信して、希望する生徒に受講させる、あるいは教授の出張講演でも良いと思います。考えれば、いくらでもやり方があります。知的な刺激を高め、地域や学問に関心を持っている人との交流をするべく何らかの具体的な努力が求められます。

(「Clear Consideration/大学職員の教育分析」)

 動くことによって大学の運営資金を得る時代

具体的な動きが、いくつか出てきています。それを紹介します。山梨大学と山梨県立大学による「大学連携推進法人」が令和4年度からスタートしています。「一般社団法人 大学アライアンスやまなし」を発足させています。全国初の「大学連携推進法人」だそうです。このことによって、それぞれの大学で取得した単位が互換性を持つことになりました (30単位が上限)。そして、もともとの狙いはIT人材の育成と地域に貢献できるリーダーの育成です。そのための共同事業の立ち上げや教職員の人事交流も図るそうです。

令和5年度4月には、山口県立大学・山口大学・山口学芸大学の3大学で「大学連携推進法人」を設立して、文科省の認定を受けました。国公私立の連携法人が認定されたのは全国初だそうです。連携法人になることによって、単位の互換性が可能となります。例えば、県立大学在籍の学生が山口学芸大学での受講を単位として認められることになります。お互いの大学の特徴や強みを共有することができます。

「大学連携推進法人」の具体的名称は「一般社団法人やまぐち共創大学コンソーシアム」です。当面の目標は「文系DX(デジタルトランスフォーメーション)人材の育成」ということで、3つの大学が連携して学部・学科・科目を開設するのです。それに地元の企業が協力をし、山口県と山口市が後援をするという構造です。昨年の5月16日に発足のシンポジウムを開催しています。今後の成果に期待したいと思います。以上紹介した以外に、国立大と私大、国立大どうしの連携もあります。動かなければ、潰れる時代です。安易な学費値上げに走らず、動くことによって大学の運営資金を得ることを考えるということです。新たな地平を目指して1歩を踏み出す時代です。

(「地域活性化人材育成事業SPARK」)

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