「小学校が全学年、35人学級になりますね」
「ほとんどの全国紙が1面トップで報道していましたね。ただ、全学年一斉ではなく、5年かけて1年ずつということです」
「何となくセコい話だと思いました。せいぜい3年間ですべての学年で実施したらと思いました。しかも、中学は40人のまま据え置きですよね」
「財務省と萩生田文科大臣との妥協点が、そこだったということでしょう」
「与党議員も財務省に押しかけて圧力をかけたそうです」
「「朝日」(12.18日付)に財務省関係者の「大敗だ。萩生田文科大臣を抑えられなかった」というコメントが紹介されていますが、水面下では様々なやりとりがあったのでしょう」
「ただ、今回の措置を仮に全面実施したとしても、OECDの中の順位はそんなに上がらないでしょうね」
「細かい数字は忘れましたが、OECDの平均値は小学校、中学校ともに20人台前半です。それに少し近づいた程度という感じになるだけでしょう」
「私は親として、小学校は「2人担任制」にして欲しいと思っています」
「文科省は、教科担任制を導入しようと考えているようです」
「それは学校=勉強という発想からきていると思うのですが、小学生のうちは生活とか躾とか、きまりを守るといった生活指導も結構大事なのです。人間は得意不得意がありますので、2人の教員で分担して全体の生活や勉強を見るのが良いなと思っています」
「一考の価値があるかもしれませんね。ハレンチ教員の問題もあり、2人であれば児童・生徒との間の「密室での1対1関係」を避けられますしね」
「いじめや不登校など、勉強以外の問題が結構あって、教科担任制にすると責任の所在が分からなくなるような気がします。後、「当たりはずれの問題」があります」
「何ですか? 「当たりはずれ」って?」
「担任の「当たりはずれ」です。校長先生が組み合わせを考えるはずなので、2人いれば、両方はずれは余りないと思いますので……」
「ここからが本論です ↓」
教師による性暴力の被害が増える傾向に
教育現場で絶対にあってはいけないことは、生徒に対して性的な危害を加えることです。児童・生徒を守らなければいけない立場の者が、全く逆のことをする。被害を受けた側は長く心の傷として残ります。絶対にあってはいけないことですが、増加傾向にあります。
先日、教員からの性暴力被害について、その実態を告発する内容の番組がテレビ放映されていました。中学生時代に教員からの性暴力被害に遭い、20年以上の歳月を経てようやく被害と向き合えるようになり、「これ以上、新たな被害者を生みたくない」として実名を公表して被害を訴え、活動している方もいるのです。
国は今後3年間で性犯罪・性暴力対策を強化する方針を打ち出すとのことですが、どうしてそんなに時間が必要なのか、よく分かりません。その3年の間に今のままでは、確実に被害者が出るからです。
性暴力の実態
全国的な状況はどうなっているのか。文部科学省の「平成30年度公立学校教職員の人事行政状況調査について」(令和元年12月24日公表)を見てみることにします。
わいせつ行為等で懲戒処分等を受けた教育職員は全国で282人(男性276人 女性6人)いて、在職者数に占める割合は0.03%。ちなみに、前年度は210人なので、1.3倍の伸びです。処分者の世代分布は30代=82人、50代以上76人、20代=71人、40代=53人で、学校種別では高等学校の101人が最多でした。
都道府県別では、(1)東京都33人(2)大阪府〈政令指定都市の大阪市、堺市を含む〉28人(3)福岡県〈福岡市、北九州市を含む〉、兵庫県(神戸市を含む)の各19人が上位です。
わいせつ行為等の内容は、「体に触る」が最も多く89人。「盗撮・のぞき」が48人、「性交」41人、「接吻」27人などと続きます。行為が行われた場所で目に付くのは「保健室、生徒指導室等」40人、「教室」28人、「職員室」8人、「運動場、体育館、プール等」3人と、学校敷地内が全体の3割近くを占めているとのことです。
行為をした相手は「自校の児童」25人、「自校の生徒」99人で計44%が勤務している学校の生徒・児童。自校の教職員も41人(14.5%)いたそうです。ただ、これらは処分者の実態なので、表面に出ていないものも相当あることが予想されます。
根絶のための制度的提案
根絶するためには、どうすれば良いのか。具体的には、4つのことを提案したいと思います。
ⅰ)複数担任制の採用
セクハラ防止にもなりますし、子供たちを2人の目で見ることができます。不登校の子や勉強に遅れがちな子に対して、今まで以上に手を差し伸べることが出来るようになります。また、同僚の指導技術を見て、直接学ぶこともできます。
ⅱ)「教育サポーター」(仮称)制度の導入
地域の住民や卒業生、保護者などにボランティア的に教室に入ってもらい、教育活動を見守ってもらいます。これもセクハラ防止にもなりますし、子供たちに対しても良い刺激を生むと思います。
ⅲ)徒弟制度の導入
公立学校では、新卒で入った教員をいきなり担任として配属します。私に言わせれば、かなり乱暴なやり方だと思っています。原則として1年間は、ベテラン教員のもとでサポート的な業務をこなしながら、教員の心構え、仕事の取り組み方などを学ばせた方が、本人ならびに子供たちのためにもいいと思います。
スポーツと同じで、自己流の教え方が変に身に付いてしまうと、子供たちと上手く人間関係を作ることが出来ないということも出てきます。そうなると、この仕事をする者にとっては、つらい日々を送ることにもなり、場合によっては、それが遠因となって特定の児童・生徒にセクハラをするという図式ではないかと思っています。
ⅳ)教員養成制度の見直し
戦前は教員養成は師範学校において行われていました。人間を育てる仕事とモノづくりに関わる仕事は別との考え方から、2本立てで考えられていたのです。
そこに戻せとは言いませんが、少し近づけませんかという提案です。10年ごとに教員免許の更新講習というのを義務付けていますが、ほとんど効果がありません。現実に、現場においてセクハラ、パワハラ、いじめや不登校など問題事例は増える傾向にあります。
そのように途中で行うのではなく、最初が肝心なので、教員になった人たちに対して、6か月間研修をしてもらうのです。教育委員会、学校現場、博物館、図書館など公的な施設の見学や採用された県内の散策も行います。地域の様子を肌で実感してもらうためです。残りの6か月は、勤務校を割り振ってもらって、そこで先輩教員とペアを組んで子供たちの指導に当たります。
何か問題が発生した場合、その問題だけを解決すれば良いだろうという発想だと、長い目で見た時に良い結果を生まないものです。例えば、ハレンチ教員を監視するために、教室や職員室に監視カメラを付ければ良いだろうということで実際に行ったとします。事件に対する抑圧効果はあるかもしれませんが、それが別の問題を引き起こす可能性があります。
「急がば回れ」という諺があるように、周りを固めるように解決していく姿勢が大事だと考えます。
読んでいただき、ありがとうございました。
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