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部活軽視の「波」が全国大会を押し流そうとしている ―— 部活動も教育を受ける権利として捉えるべき / 全国大会ができるよう行政も最大限の援助を

女性

「残念なニュースが入ってきました。全国中学体育大会の競技数が半減となるそうです」

「学校の部活動に関心があるのですか?」

女性

「中学の時は、「部活命」でしたからね。部活のために学校に通い続けたようなものでした」

「そうだったんですね。ちなみに、何の部活に入っていたのですか?」

女性

「ソフトボール部です。今回、審議の対象になったみたいですが、存続が決まって良かったなと思っています」

「体育連盟の理事会では、部活設置率20%で線引きしたそうです。ソフトボール部は19%でしたが、登録者の数を勘案して存続が決まったそうです」

女性

「一安心ですが、遅かれ早かれ全国大会が無くなる日が近いように思います」

「このままの状況が続くようなら、そうなるでしょうね」

女性

「部活動は大事な教育活動という認識がないと思っています」

「その認識を改めてもらわないと、縮小の方向は変わらないと思います」

女性

「ここからが本論です ↓表紙写真は「全国中学校体育大会/カンコー学生服」提供です」

部活動も教育を受ける権利として捉えるべき

『産経』がこの問題で中体連を統括する立場の方、過去に中体連の大会に出たスポーツ選手、そして大学の教員の三方を登場させて、それぞれ意見を聞いています。いつも思うことですが、なぜこういう時に「当事者」ではない大学教授を登場させるのかということです。彼らは、現場を知らないし、部活動などどうでも良いと内心思っている方が多いのです。その方が今回掲げた標題が「教育の目的考えて」です。部活動は教育ではないと思っているのです。前向きな意見が出るはずがありません。意見を聞くならば、現場で部活動を指導している教員がふさわしいと思います。

過去に中体連の大会に出たスポーツ選手ということで、五輪の金メダリストの萩野公介氏の意見が掲載されていました。彼は全中に参加して、水泳連盟主催のジュニアオリンピックとは別の意義があったと語っています。そして「子供たちの経験といったお金で買えない価値を大事にして欲しい」と言っています

憲法26条に子供の教育を受ける権利が明記されています。主体が子供なので、部活動や部活動の大会についても子供を中心にして考える必要があるのです。少子化とか教員の負担軽減といった勝手な指標で判断するのは、まさに憲法違反なのです。

(「ソフトボール-全国中学校体育大会」)

 全中の大会を支えているのは教員のボランティア精神

実は、全国中学校体育大会の運営を支えているのは、全国の部活動を指導している公立、私立中学校の先生方なのです。それぞれの競技には中体連の全国組織と地方組織があり、そこが主催して全国大会、地方大会を行っていますが、報酬はなく、すべてボランティアです。

手当ての話をしますと、公立と私立では扱いが違うかもしれませんが、出張あるいは引率扱いで業務として運営に携わることになります。公立、私立ともに交通費は出ると思いますが、手当ての額については都道府県によって違うと思いますし、公立と私立では考え方が違いますので金額も差があります。

ただ、いずれにしても大した金額は出ていないということです。まさに普段熱心に部活指導を行っている先生方がボランティア精神を発揮して手弁当で大会運営を子供たちのために支えてきたというのが中体連の大会だったのです。私自身もその一人でしたが、現場のことも知らずに大学の教員が評論家的に「全中が縮小の方向にかじを切ったことは、当然の帰結といえるだろう」と書いているのを読むと腹が立ちます。

(「第36回全国中学校バスケットボール大会」)

 全国大会ができるよう行政も最大限の人的、資金的援助をされたし

今回の問題の根底には、国が教育に予算をかけてこなかったという問題があります。例えば、公的教育費の対GDP比は世界132位(2023年)です。小中学校の教師一人当たりの生徒数が15.9人ですが、OECDの平均が14.5人より多めです。そして、小学校は35人学級、中学校は40人学級ですが、ドイツは24人(中学28人)、イギリス、アメリカは30人学級です。

以上紹介した数字は単純に生徒の数と教員の数を基にして出したデータですが、日本の教員は他国の教員とは異なり、部活指導や清掃指導など授業以外の業務を多くこなしますそれらをすべて教育活動と捉える伝統的な日本の教育観があるからです。世界の多くは教員は授業だけをしていれば良いという考え方ですが、それらの国よりも悪い数字が並んでいること自体が問題なのです。

教員を増やす措置を講じなければ、今までのような活動を中体連としては出来ないということだと思います。全国大会は部活動をしている生徒にとっての目標であり、励みです。極端かもしれませんが、それを目標にして活動している生徒が一人でもいる限りは関係者はその存続に向けて努力しなければいけないし、行政は人的にも資金的にも援助しなければいけないと思います

(「特集:子ども応援便り」)

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